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生物多様性に関する国際規格「ISO 17298」を発表

10月初めに、ついに ISO 17298 が公開されました。
ISO の困ったところは、内容を確認するだけでもお金が掛かる点ですね。なんとか PDF を入手しましたが、なかなか興味深い内容だと思いました。

基本的には、ISO14000の生物多様性版のような感じですが、マネジメント規定ではなく、生物多様性でやるべきことの要求事項とガイダンスのように見えます。

教えてもらった話なのですが、ISO規格の番号体系で「17000番台」は主に適合性評価や分析関係、情報開示関係が多いそうです。
そこから想像すると、ISO 17298は、「組織が生物多様性への影響・依存・リスク・機会を体系的に評価・管理し、報告する」ことに対する「適合性評価」と言う位置付けにあるように見えます。これ、結構重要なことかな、と想像しています。

特に参考になったのは、本文中に示されている図でした。
「この文書の概要」の図や「影響と依存から見た組織と生物多様性」の図などは非常に示唆的でした。
TNFDは、正直図が分かりにくい(若干センスが欠けていると言うと言い過ぎ?)ところがありました。ISO 17298の「この文書の概要」の図が、TNFDガイダンスで最初に出てきたら、もっと理解は広がった気もします。この図は今後、規定の概要を最初に示す場合の模範となりそうな気もします。
いずれにしても、この図を見るだけでも、検討に参加された方々の苦労と工夫が理解できます。素晴らしい仕事でした。

さらに、DPSIR フレームワーク(環境問題の構造的な理解と政策立案を支援するための分析モデル)が出てきたのも、ビックリでした。国立環境研究所の関係で参照したことがあり知っていましたが、これを、ISO 17298で出してくるとは思いませんでした。DPSIRは環境問題の構造を体系的に理解・分析するためのフレームワークですが、社会経済的な視点が入ることで現実社会での課題解決に寄与しています。既に広く使われているものの、センターには出てきていないように思います。実際、LEAPとDPSIRを複合的に活用するのは良いアイデアのように思います。
次の何らかのTNFDのガイダンスの中に出てくるかもしれませんね。

LEAPもそうですが、優れたフレームワークと言うのは、目的としたものだけに留まらず、汎用的に適用可能になる傾向があり、最近はそう言うフレームワークが増えてきている気がします。ある意味で、成熟してきたと言うことでしょうか?

TNFD の Goldner氏が投稿していたように、組織としては ISO 17298 を参照しつつ、実際の取り組みには LEAP アプローチを用いれば、自然資本対応のためのツールとしては十分かもしれません。

Forbes が “生物多様性が ISO の瞬間を迎える:自然会計の到来” というタイトルで、ISO 17298 を ISO 14001 の生物多様性版だと評していましたが、それ以上の存在に化ける可能性はあるように思います。

それにしても、日本では ISO 17298 があまり話題になっていないのはなぜでしょうか。コピー厳禁だから紹介するのも難しい、と言うのは理解できますが、残念です。
日本からも委員を出して良い規格を作ったのですから、まずは中身を確認してみていただきたいです。
やはり、ダウンロードにお金が掛かることがネックですね。