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「目の前から消して見えなくする。」は最悪の環境対策

「目の前から消して見えなくする。」
環境対策として最も安易でダメな手法ですが、今もなお行われています。

私が前職で環境担当だった頃も同様で、この発想から産廃の不法投棄が多発し、その対応に追われました。企業は「見えなくなれば終わり」と考え、適切な処理業者の選定を怠り、結果として山や沼に廃棄されていたのです。

EUDRも、この延長になりかねません。「森林破壊していない木材のみEUに入れる」という規制は、域内から問題を排除しても、木材が他国へ流れるだけで、森林破壊そのものは止まりません。
持続可能な森林が増える一方で、違法材は監視の外に移り、欧州企業も調達を回避します。その結果、CSDDDの対象からも外れ、問題は「見えなくなる」ことになりそうです。

欧米の大企業の場合は、契約農家や認証支援によりサプライチェーンを強化することで囲い込みによって、自社のバリューチェーンの持続可能性を高めて来ましたが、その範疇から外れた農園は「見えなくなる」ため、放置されがちでした。

近年、この構造に変化が見えています。気候変動により地域全体のリスクが無視できなくなったためです。一部だけ持続可能でも、地域全体が脆弱なら事業は成り立ちません。ランドスケープ・アプローチへの関心が高まっている理由の一つだと思います。

私が15年前、前職でスリランカの紅茶農園の持続可能性を検討していた際、この点に気づけたのは幸運でした。
私たちは認証茶葉の購入ではなく、農園の認証取得支援を選び、さらに取引のない周辺農園にも支援を広げました。地域全体が持続可能でなければ、本当の持続可能性は担保できないと考えたためです。

下記のキリンの投稿を見ると、現在もその取り組みが後輩たちに受け継がれ、茶園で働く人々の子どもたちにまで支援が広がっているのが分かります。この考え方が根付いていることが分かります。

当時は「ランドスケープ・アプローチ」という言葉すら知りませんでしたが、今ではその重要性を強く実感しています。社会貢献にとどまらず、企業の存続のためにも、「見えなくする」ことは逆効果であり、「見えないものを可視化し解決する」ところまで踏み込む必要があると確信しています。