【創作大賞2026】しまい込んでいた振袖を暮らしの一部に ー振袖のリメイクー
私の成人式以降、ずっとしまい込まれていた振袖。
娘の成人式に向けて準備を始めたころ、
「もしかしたら似合うかもしれない」
と思って出してみました。
でも驚いたことに、
「ちょっと……」ではなく、
まったく似合わない。
迷うことなく「ママ振り」は断念。
「仕方ないか」と片付けているとき、
ふと「もったいない」という感情がわきました。
傷みもないし、色もたぶん、当時のまま。
二十数年ぶりに見た振袖は、
やっぱり素敵で、
「私は今でもこの着物が好きなんだ」と
気づきました。
ただ、着物の出番は限られているし、
そもそも一人で着られない。
いろいろ調べて、たどり着いたのは、
『着物リメイク』。
幸い、家からそう遠くないところに
お店を見つけられたので、
デザインの相談をしてみることにしました。
春先や秋に着られるアウターのイメージで
模様を活かせるよう、丈は少し長めに。
「普段とは言わないまでも、出番を多く、
気軽に着られるようにしましょうね」
と言ってもらえたとき、
少しほっとしたことを覚えています。
ただ、出来上がるまでに数ヵ月。
この期間は、
リメイクを依頼したときの
高揚感を冷ますには十分で……
しまい込んでおくのはもったいない、
と思ったからこそ、
リメイクを選択した振袖。
でも次第に
本当に切ってしまってよかったのかな
振袖のままのほうが、よかったのかな
そんな思いも強くなり、
楽しみと不安が半分ずつになっていきました。
そうして迎えた試着の日。
袖を通して鏡を見たとき、
上品な仕上がりに感動しました。
大きな模様は、裾まわりを中心に配置され、
襟元にワンポイントを置いてくれました。
肩や腰まわりには、少し余裕を持たせて、
中に厚着をしても着やすいようになっていました。
「洋服」という身近な存在になってくれたことを、
うれしく思えた瞬間でした。
心配していたお手入れは、
着物専門のクリーニングではなく、
普通のドライクリーニングで良いとのこと。
クリーニング代が心配だったのですが、
着用のハードルが一気に下がりました。
初めての着用に選んだのは、
娘の成人式の前撮りです。
白を基調にした振袖に身を包んだ
色白の娘の隣で、
私は、自分の振袖の生まれ変わりである
濃い青のアウターを羽織りました。
娘に負けないくらい、
私自身も、新しい装いに
浮き立っていたように思います。
ようやく、リメイクをしてよかった、
と心の底から思えました。
その後、娘の大学の卒業式にも
着用して行きました。
このとき、
私の振袖の端切れで作った
巾着袋も一緒でした。
娘の晴れ姿のお供に、と
自作したものです。
私なりに、
娘の門出を祝うことができた。
そんな安堵感を味わわせてもらいました。
ずっと、タンスの奥で眠っていた振袖が、
今は、クローゼットを開けば目の前に。
「次はどこへ着て行こう」
そんな想像をするたびに、
肩の荷が一つ下りたような、
穏やかな気持ちがしています。
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