見出し画像

「それらしいAI文章」と「熱量ある人間の悪文」をAIで直す

◾️AIが書く文章は本当に読みやすいのか?

今や多くの人がAIを使って文章を作成している。だが、AIは平均的な悪文を大量に学習しているのではないか? そう疑いたくなるほど、自動生成される文章には読みにくいものが多い。

たとえばこんな文章をAIはよく生成する。

「コミュニケーションの重要性についての認識を深めることが必要です」

流暢に見えるが、主語が長く、何を誰に求めているのかが伝わらない。「互いに話し合うことが大切です」と書けば済む話だ。

AIは「それらしい文章」を生成することには長けている。

しかし、「読みやすい文章」と「それらしい文章」は別物だ。だから、私は「日本語クリアチェッカー」を作った。文章を貼り付けるだけで問題点を診断し、リライト案を提示するアプリだ。

この度、本アプリの診断結果とリライト文生成のアルゴリズムを大幅に改修した。


◾️半世紀読まれ続ける文章理論

参考にしたのが、本多勝一氏の『日本語の作文技術』(朝日新聞社)だ。

1976年刊行のロングセラーで、今も多くの書き手が手に取る名著である。この本が説いているのは、どのような文が「悪文」なのか? ということだ。

たとえば、「の」が連打されている文。「日本の子供の読書の習慣の低下」という連鎖は係り受けを不明にする。

「日本の子供たちが読書をしなくなった」と書き直すだけで、文は一気に読みやすくなる。

あるいは、受動態が多用されている文。「この問題は多くの専門家によって議論されている」より「多くの専門家がこの問題を議論している」の方が主語が明確だ。

今回の改修では、こうした本多氏の理論に基づいて診断基準を再構成して、問題箇所を具体的に指摘。もちろんリライト文の生成にも同じ基準を反映させている。


◾️ただし、現代に合わせてアレンジした

本アプリは本多氏の方法論をただ真似たのではない。

本多氏は「第一級の文章家は体言止めを愛用しない」と述べているが、現代においてはそうとは限らない。文末に変化をつける上では有用な表現方法だ。本アプリでは、文章全体の文末数に応じて、体言止めを適度に使ったリライト文を生成する。

また、現代の文章はスマートフォンで読まれることが多い。こまめな改行や空白行の挿入によって可読性を上げる必要がある。本アプリのリライト機能でも、そういった文章が自動生成されるようにしている。

本多氏の理論を参考にしつつ、現代の文章執筆に有用な技術を実装した。


◾️文章の「熱量」を消さない

今回の改修でもう一つ重視したのが、ユーザーが書いた元の文章の「熱量」を消さないことだ。

たとえば、こんな文章を考えてほしい。

はっきり言うぜ。俺はなぁ、他人の、言うことの、信用性の、大事さのことなんざ、信じちゃいねぇんだよぉ。

この文章の核心は、「荒々しさ」にある。「の」の連打が怒りのリズムを作り、読点の多さが息継ぎの荒さを表し、「信じちゃいねぇんだよぉ」という語尾が感情の爆発を伝える。

改修前のアルゴリズムでリライトすると、こうなっていた。

読みやすい版:
はっきり言う。私は他人の言葉の信頼性など、信じていない。

Web記事向け:
■ 結論 他人の言葉の信頼性は信じない。自分の判断を優先する。

ビジネス文書:
率直に申し上げます。他者の発言における信用性や重要性といったものを、そもそも信頼していません。

ビジネス文書は概ねこれでいいだろう。だが、読みやすい版とWeb記事向けは「文章の命」が完全に失われている。

だから、改修後は文章の個性を保つルールを追加した。

俗語・方言・語尾の崩し・意図的な読点の連打は、書き手の表現技法として保護する。改修後の出力はこうなった。

読みやすい版:
はっきり言うぜ。俺はなぁ、他人が言うことなんざ、信じちゃいねぇんだよぉ。

語気が完全に維持され、「の」連打も解消されている。

Web記事向け:
【はっきり言うぜ】
俺はなぁ、他人の言うことなんざ、信じちゃいねぇんだよぉ。

「悪文」ではなくなったうえ、段落分けと【】による強調で可読性もアップ。語気も生きている。


◾️ぜひ使ってみてください

以上のように、「日本語クリアチェッカー」は大幅にアップデートされた。無料で使えるので、ブログ・メール・レポートなど、気になる文章があれば試してほしい。

※本稿はアマゾンアフィリエイトを含みます。

いいなと思ったら応援しよう!

「細かすぎる」エンタメ研究所所長TSUYU|壊れた働き方を再設計する人 よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます☺️