提案と押しつけの境界線。
以前、後輩から相談を受けたことがありました。
仕事が思うように進まず、「どうしたらいいと思いますか?」と聞かれたんです。私はすぐに、「だったら、こうしたほうがいいよ。」「私ならこうするかな。」と、自分の経験をもとに話しました。これで少しは役に立てると思っていたんです。
「相談してきたのに」
でも後日、その後輩は結局、私が提案した方法ではなく、別のやり方を選びました。
最初は少し拍子抜けしました。「相談してきたのに。」そんな気持ちが、正直ありました。
でも話を聞いてみると、その後輩には、その後輩なりの事情があったんです。相手との関係。今の立場。現場の状況。私には見えていなかったものが、たくさんありました。
提案のつもりが、押しつけだった
その時に思いました。
私は提案をしているつもりでした。でも心のどこかでは、「この方法が正解だから、その通りにしてほしい」と思っていたんですよね。それは提案ではなく、押しつけだったのかもしれません。
経験が増えるほど、気をつけること
若い頃は、経験が増えるほど、人の役に立てると思っていました。もちろん、それは間違いではありません。
でも経験が増えるほど、気をつけなければならないこともある。自分にはうまくいった方法が、目の前の相手にも、必ずうまくいくとは限らない。
「あなたはどうしたい?」と聞くようにした
だから最近は、相談を受けた時ほど、「私ならこう考える。」とは言いますが、「あなたはどうしたい?」と聞くようにしています。
答えを渡すのではなく、相手が自分で答えを選べるように。そのほうが、結果が同じでも、納得感はずっと大きい気がするからです。
選ぶ自由が残っているかどうか
だから私は、提案と押しつけの境界線は、相手に選ぶ自由が残っているかどうか。そこにあると思っています。
提案は、相手に新しい選択肢を渡すこと。押しつけは、その選択肢しか見えなくしてしまうこと。
本当に相手のことを思うなら、答えを決めるのではなく、相手が自分で決められるように支える。そんな関わり方のほうが、長い目で見ると、相手の力になるのかもしれません。
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