第3話【延泊会議、開催】
― テントサウナとオヤジ修学旅行 ―
函館に到着してから、まだ半日も経っていない。
それなのに――
空気が、すでに出来上がっていた。

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ヒルズのテラス席。
目の前には森。
遠くに空。
そして、静けさ。
聞こえるのは、
風が木を揺らす音と、
かすかに流れるBGMだけだった。
テレビはない。
代わりにあるのは、
時間を忘れる空間だった。
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ジャグジー付きの広い風呂。
窓を開ければ、そのまま外のテラスへ出られる。
そして――
テントサウナ。
全員、人生初。
当然、こうなる。
「先、誰入る?」
「いやいや、どうぞどうぞ」
「じゃんけんやな。」
説明不要。
このオヤジたち、
こういうノリのときだけ異様に団結力が強い。
結果、二人ずつ交代制。
はしゃぐ。
笑う。
熱い。
また笑う。
完全に少年である。

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だが、不思議なことが起きた。
最初は騒いでいた二人が、
いつの間にか静かになっていた。
ストーンに水をかける。
ジュワッという音。
揺れる熱気。
炎のゆらぎを見ながら、
自然と人生の話をしていた。
風呂と星空と炎。
気づけば、誰もふざけていなかった。
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🟡豆知識:テントサウナを侮るな
テント型でも本格仕様。
ストーンに水をかける「ロウリュ」ができ、
体感温度は想像以上に高い。
外気浴との落差で、
いわゆる“ととのう”状態になりやすい。
(C-GPT:これはもう移動式温泉哲学や)
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テラスに戻る。
誰かが言った。
「……ここ、いいんじゃない?」
間。
全員、同じことを思っていた。
帰りたくない、ではない。
――離れたくない。
そんな感覚だった。
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「玉やん、とりあえず聞いてみたら?」
最年長のコイさんが言う。
玉やん、即座に立ち上がる。
「ちょっと聞いてくるわ。」
膝に爆弾を抱えているとは思えない、
妙に速い動きだった。
こういう場面だけ、反応が異常に早い。
現役時代に培った
営業の基本だった。
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交渉は、離れにある事務所へ。
しばらくして戻ってきた玉やん。
「……大丈夫やって。
ハァハァ…大丈夫やった。」
延泊、可能。
空気が一気に緩む。
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ただし問題がひとつ。
この宿、もともと素泊まり予約。
食事は付いていない。
宿としては、できれば食事も利用してほしい。
そこで玉やん。
延泊交渉の前に、ちゃんと聞いていた。
「このあたりでおすすめの居酒屋あります?」
さすがである。
戻ってきた第一声。
「噴火湾のホタテうまい店、教えてもらったで。」
満面の笑み。
延泊確定より、少し嬉しそうだった。
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その夜。
テラスのライトに、
大きな蛾のような影が集まり始めた。
「なんやこれ…」
よく見ると巨大サイズ。
まるで――モスラの幼虫。
女子がいれば大騒ぎ確定だが、
そこはオヤジ軍団。
「北海道やなぁ。」
終了。
誰一人、動じない。
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こうして。
到着初日から、予定変更。
弾丸ツアーなのに、
早くもスケジュールが揺らぎ始めた。
だが――
それが妙に心地よかった。
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このとき私たちは、まだ知らなかった。
この延泊が、
旅の空気を大きく変えることになるとは。
函館の朝。

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玉やん手作りのケーキ贈呈。
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第3話から読み始めた方へ。
この旅のスタートは
函館。
第1話から一気読みできる
搭乗GATE をご用意しました。
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