第2話【殿様コイさん、旅支度の真実】
― 奥様コンシェルジュの実力 ―
函館に到着し、
旅はいよいよ動き始めた。
レンタカーに荷物を積み込み、
それぞれがキャリーケースを運ぶ。
この時点では、
誰の荷物も特別変わった様子はなかった。
8泊9日の北海道遠征。
ゴルフあり、
温泉あり、
長距離ドライブあり。
みんな、それなりの荷物である。
――いや、重装備と言ってもいい。
⸻
宿に到着し、
部屋で荷物をほどき始めた。
そんなときだった。
コイさんがキャリーケースを開けた瞬間、
私は思わず、「…ん?」と目を止めた。
相変わらずやなぁ。
ケースの中が――
きれいに整理されている。
収納ポーチで区分けされ、
整然と並んでいる。
🟡豆知識:旅慣れている人ほど荷物は整う。
だが——ここまで管理されている例を、私は見たことがなかった。
(C-GPT:これは準備ちゃう、完全に物流や)
⸻
私は前から知っていた。
毎回、
「コイさん幸せだなぁ、奥さん偉いなぁ」
と感心していたことを。
出張の着替えも奥さんが準備する。
それは仲間内では有名な話だった。
だが――
今回、私は新たな事実に気づく。
ポーチのひとつひとつに、
小さな付箋が貼られていたのだ。
「……それ、何なん?」
思わず聞いた。
コイさんは少しにやけながら言った。
「見たなぁ〜」
(C-GPT:来た来た、いつものテンション返し)
⸻
そして――
目が点。
1日目。
2日目ゴルフ用。
3日目…。
帰る日。
日にちと中身、すべて指定済み。
私は思わず、小さな声で言った。
「……コンシェルジュ付き生活やん」
——いや、殿様や。
コンシェルジュ付きの殿様や。
靴下は脱ぎっぱなし。
出張準備も完全委託。
令和の時代に、
まさか本物が存在していたとは。
みんなが笑いながらも、
心のどこかで同じことを思っていた。
この人、
一人で生きていけるんやろか。
⸻
だが不思議と、嫌味はまったくない。
むしろ――
少し羨ましい。
誰かが自然に支えてくれる人生。
まだ知らない幸せの形があるらしい。
⸻
旅の準備は、人それぞれだ。
自分で全部やる人もいれば、
誰かに支えられて旅に出る人もいる。
どちらも間違いじゃない。
こうして笑いながら始まった今回の旅も、
誰かのおかげで動き出している。
——そしてこのとき、
私たちはまだ知らなかった。
この弾丸ツアーが、
想像以上に濃い旅になることを。
⸻

⸻
スキ❤️押すと
玉やん手作りのケーキ贈呈。
⸻
第2話から読み始めた方へ。
この旅のスタートは
函館。
第1話から一気読みできる
搭乗GATE をご用意しました。
ここから👇
いいなと思ったら応援しよう!
気に入ったらサポートで応援いただけると嬉しいです。