「普通の一日」が、いちばん特別だった
仕事が終わって家に帰る時間。
正直、疲れている日も多い。
それでも玄関のドアを開けて「ただいま」と言うと、家の中から「おかえりー!」という声が聞こえる。
この瞬間だけで、不思議と気持ちが少し軽くなる。
玄関に入ると、5歳の上の子が勢いよく走ってきて、そのままジャンピング抱っこ。
毎日のようにやってくるけど、これがやっぱり嬉しい。
少し遅れて、2歳の下の子も、小さい足で一生懸命こちらに走ってくる。
その姿を見るだけで、「あぁ、今日も頑張ってよかったな」と思える。
部屋に入って少しすると、上の子が「パパ見てー!」と声をかけてきた。
指さしているのは、壁に貼ってあるホワイトボード。
子どもが自由に落書きできるように、妻が貼ってくれているものだ。
そこに書いてあったのは、
「ぱぱだいすきだよ ◯◯すきよ」
という、ひらがなの文字だった。
最近、上の子は少しずつひらがなが書けるようになってきている。
まだ全部きれいに書けるわけではなく、どこかぎこちない。
それでも、一生懸命書いたんやろうなというのはすぐに伝わってきた。
ふと横を見ると、上の子がこっちを見ている。
「パパどんな反応するやろ?」と言わんばかりの表情で、少しニヤニヤしている。
その顔を見た瞬間、なんとも言えない気持ちになった。
笑っているのに、少しだけ涙が出そうになる。
きっと時間をかけて書いてくれたんだと思う。
「パパが帰ってきたら見せよう」と思ってくれていたのかもしれない。
そう考えると、胸の奥がじんわり温かくなった。
大きな出来事があったわけではない。
特別な日でもない、いつもの平日。
それでも、
玄関での「おかえり」
ジャンピング抱っこ
小さい足で走ってくる姿
そしてホワイトボードの文字
そんな小さな出来事が重なった瞬間、
「あぁ、今ちょっと幸せやな」と思った。
昔は、幸せというともっと大きな出来事を想像していた気がする。
何かを達成したときや、大きな成功をしたとき。
でも今は、こういう何気ない時間の中にこそ、幸せがあるんだと思う。
子どもが一生懸命書いた、少し不格好なひらがな。
それを嬉しそうに見せてくれる時間。
そんな当たり前の毎日が、
自分にとって一番の幸せなんだと思う。
