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わんこエフェクト。

犬とよく散歩する公園は、
親子連れも多い。

ぽてぽて歩く小さな子供が
「あー、わんわん!」って、
近づいてくることも、よくある。

「撫でる?」

そう聞くと、
後ずさりする子もいれば、

恐る恐る、
そっと手を伸ばす子もいる。

ぺしぺしって、
叩いちゃう子もいる。

そんなときは、
「こうやって撫でると喜ぶよ」って
そっと伝えることにしてる。

犬に触れて、嬉しそうな子たち。

そんな我が子の様子を見て、
嬉しそうな親御さんたち。



うちの犬たちは、そうやって、
子犬の頃から
いろんな人と触れ合ってきた。

撫でられるときはジッとしてるし、
嫌がってはないと思う。
飽きたら、また自分から歩き出すし。

うちの子たちにストレスかかるのは、イヤやもん。

その辺は様子を見つつ、
いろんな人に撫でてもらってる。



こうやって、
人と触れ合うようになったのには、
ひとつのきっかけがある。


今は9歳の犬が、
まだ1歳にもならない頃。

あまりのやんちゃぶりに、
育児ノイローゼ気味だった私。

「疲れた犬は、いい犬」という
外国の格言を目にして、

とりあえず疲れさせようと
あちこち散歩してた。


結果、
疲れたのは
私だけやったけど。



そんなときに見かけた光景。

ご老人の団体さんが、
記念撮影してた。
みんな笑顔で、カメラに向かって、
ピースとかしてたけど。

少し離れた場所に
ぽつんと1人、
車椅子のおばあさん。

介護の人が
「○○さんも、一緒に撮ろう?」とか
声をかけていたけど、
頑なに拒否してた。

強ばったその顔は、
なんにも面白いことなんてない、
って思ってるみたいで。


でも、うちの犬に気づいて、
少しお顔が明るくなった。

犬が好きなのかな?

そう思った私は、
おばあさんに近付いて、聞いてみた。

「犬、撫でる?」


嬉しそうに頷いたおばあさん。

そこで私は、犬を抱っこして、
顔の高さまでゆっくり近づけてみた。

そしたら
みるみる表情が柔らかくなって。

折れそうな細い手で、
犬の頬をそっと撫でてくれた。
何度も何度も、愛おしむように。


介護の人は驚いて、
その様子を何枚もカメラで撮ってた。

記念撮影していたご老人たちも、
こちらを見て嬉しそうで、
中には拍手している人もいた。


最初、
「ほえ?」という顔をしていた子犬は、

撫でられているうちに、
だんだんとろけた顔になっていった。


この頃の私は、
初めて飼う犬のやんちゃぶりに、
手を焼いてた。

愛情をどう伝えていいのか、
悩んでた。


でも、おばあさんの撫でる手を
嬉しそうに受け入れる子犬を見て、

想いを込めてそっと撫でるだけで、
じゅうぶん伝わるんやって、知った。


しばらくして、
おばあさんと介護の人に
ありがとうを伝えて、
その場を後にした。

振り返ってみると、
おばあさんは、団体の中に入り、
記念撮影に加わるところだった。



犬って、
私だけじゃなくて、
周りの人まで笑顔にしてくれる。

わんこエフェクト。

そんな波紋が、
これからも広がっていくといいな。

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