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模試は、負けるためにある。 — 中小企業診断士 三度目の正直

まず、この試験のこと

中小企業診断士の一次試験は、毎年8月の第1土曜と日曜の2日間で行われる、7科目のマークシート試験。経済学、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、そして中小企業経営・政策。経営にまつわる知識を、ほぼ全方位で問われる。

合格率は、一次試験がおおむね20〜30%(直近は20%台後半)、二次試験が20%弱。一次と二次を掛け合わせると、最終的な合格率は4〜5%ほどに落ち着く。合格までに必要な勉強時間は約1,000時間と言われる。働きながら1年で仕上げるなら、1日3時間を毎日、という計算。そのうえ、この試験は年に1度きり。失敗すれば、次のチャンスは1年後。

片手間では、まず届かない。ビジネスパーソンにとっては、なかなか手強い試験。私もその一人として、今年で3年目になる。

TAC一次公開模試、163点

昨日と今日の2日間、本番の1ヶ月前、TACの一次公開模試を受けてきた。本番と同じ時間割で2日間かけて通す、最後の力試し。

先に自分の状況を書いておくと、すでに4科目を科目合格などで終えていて、残りは経済・財務・中小の3科目。一次試験は受験科目の合計が6割を超えれば合格なので、3科目受験の私にとっては、300点満点で180点が合格ライン。

自己採点したところ、163点。

180点に、17点届かない。マークの数でいえば、ほんの5問ほど。各科目であと2問ずつ正解を拾えれば、十分に届く距離。

数字だけ見れば、不合格。でも、模試というのは、本番のためにある。もっと言えば、負けるためにある。本番の1ヶ月ほど前に、自分がどこで転ぶのかを先に知って、残りの時間で何を直すかを決める。ここで合格点を取ることが目的じゃない。崩れる場所を先に見つけられたなら、それはむしろ収穫。

正直なところ、好調だった科目が崩れたショックはありつつ、それ以上に、これは本番で成果を出すための「悪いシナリオの予行演習」だったと受け止める。楽観でも、悲観でもなく。起きたことを冷静に並べて、残りの1ヶ月を整える。いまは、わりと凪いでいる。

3年目という崖

一次試験を受けるのは、今年で3年目。

1年目と2年目は、スタディングという通信教材で独学した。1年目は、企業経営理論と運営管理の2科目で科目合格を取れた。合格した科目は、以後の受験で免除される制度がある。

つまずいたのは2年目。経営法務で1科目を拾えたものの、残る経済・財務・中小の3科目は、伸びるどころか、経済と財務はむしろ後退した。

理由は、たぶん手段そのものより、2年目の独学の構造にあった。2年目ともなると、どうしてもダレてくる。過去問も2周目に入れば初見ではなくなって、学習効果は薄れていく。独学の自由は捨てて、予備校が長年積み上げてきた合格へのカリキュラムに乗っかり、1年を通してビジネスパーソンに最適なペースで進める——それがベストだと感じた。とりわけ、2年やってもう一歩届かなかった中小のような、範囲が膨大でフラットな科目では、予備校の試験分析力の差が、はっきりと効いてくる。

そして3年目の今年が、崖になる。

科目合格には有効期限がある。合格した年度を含めて、おおむね3年。1年目に取った企業経営理論と運営管理は、今年がその最終年。今年、残りの科目を揃えられなければ、この2科目の科目合格は失効してしまう。

もっとも、すべてが消えるわけじゃない。経営情報システムは専門資格による永久免除で、期限がない。2年目の経営法務も、まだ1年は有効期限が残っている。それでも、1年目に科目合格した経営と運営が、今年を逃せば白紙に戻る。同じやり方でもう1年、というわけにはいかなかった。だから今年は、TACに通うと決めた。金と時間を、惜しみなく注ぐことにした。

働きながら、予備校に通う

毎週、平日の夜を2日。19時から21時半まで、八重洲の教室に座っている。

昼間は、広告会社で営業部長をやっている。クライアントと向き合い、打ち合わせとマネージャーの雑務で埋まる日々。そこから週に2度、夜をまるごと予備校に費やす。私にとっては、なかなかの決断だった。

もっとも、悪いことばかりでもない。週に2度、無駄な飲み会を機械的に回避できる。これは50代の人生にとって、なかなか有意義な副作用。笑

残っているのは、3科目

先に触れた、今年の戦場の3科目——経済・財務・中小。これまでの本番の残念な点数を、隠さず書いておく。

経済は1年目48点、2年目40点。
財務は1年目52点、2年目36点。
中小は1年目53点、2年目55点。

各科目60点が合格の目安だから、3科目とも、まだ一度も安定して合格点に乗れていない。

答練では、確かに仕上がってきていた

TACのカリキュラムは、半年かけて基本講義を行ったあとに答練という演習を3段階で重ねていく。基礎を固める養成答練、本番レベルの完成答練①、仕上げの完成答練②。回を追うごとに、受験者全体の中での立ち位置が見えてくる。

3科目の推移を、そのまま並べてみる。各回のカッコ内は、受験者の平均点。

財務は、58点(養成①・平均62)→ 56点(完成①・平均52)→ 76点(完成②・平均54)。最初こそ平均割れだったが、完成②では平均にプラス22点、710人中52位、上位7%まで駆け上がった。きれいな右肩上がり。

中小は、72点(養成①・平均67)→ 59点(完成①・平均53)→ 67点(完成②・平均49)。点数は上下しているが、平均は一度も下回っていない。とくに完成②は、講師が予告した難問回でのプラス18点、上位13%。難しい回ほど、差が開く。

経済は、64点(養成①・平均66)→ 48点(完成①・平均47)→ 48点(完成②・平均54)。完成②は易しい回で平均を6点下回り、ここだけは課題として、はっきり残っていた。

財務と中小は、確かに仕上がってきていた。経済に不安は残しつつ、それでも昨年までのこの時期には味わえなかった手応えがあった。今回の模試は、その積み上げを本番形式で確かめる場のはずだった。

模試で、財務が崩れた

結果の内訳は、経済48点、財務40点、中小75点。

中小の75点は、答練を上回る、過去最高の手応え。自己採点しながら、ひとりで小さくガッツポーズが出た。これは間違いなく、今年の成果。

こたえたのは、財務。40点。答練で76点・上位7%まで仕上げた同じ科目が、足切り寸前まで落ちた。

崩れ方を冷静に振り返ると、原因は知識じゃなかった。冒頭に苦手な理論問題が固まって出て、そこでリズムを崩し、その動揺が、本来は得意なはずの計算問題にまで波及した。時間は足りていた。崩れたのは、解く順番と、メンタル。

そして、これは去年の再来でもある。去年も、財務は過去問や模試では80点を出していた。それが本番で36点。今年もまた、答練で76点まで仕上げて、模試で40点。同じ崩れ方を、2年続けて見ている。財務という科目は、私にとって、できる日とできない日の振れ幅が大きい。しかもその下振れを、よりによって大事な場面で引いてくる。我ながら、なかなか困った特技。

ただ、今回はそれが「模試」で出た。去年は本番でこれをやって、気づいたときには、もう終わっていた。今年は、本番の34日前に、この弱点が表に出てくれた。立て直す時間が、まだある。悪いシナリオを予行演習で引けたのなら、それはむしろ、洗い出しとして機能したということ。

残り1ヶ月で、何を整えるか

崩れ方を分解していくと、やるべきことは見えてくる。

財務は、最優先。本番では、得意な計算問題から先に解いてリズムを作り、それから苦手な理論に戻る。理論は深追いせず、2択で割り切る。あわせて、まだ埋まりきっていない論点と解法の型を潰していく。あとは、ただひたすら日々積み上げる。7月9日に開講する1次「財務・会計」Finalゼミというオプションも、最後の一押しに取った。とにかく、仕上げる。

経済は、48点が時間切れの取りこぼしで、歯が立たなかったわけじゃない。時間配分を立て直して、今年まだ手をつけていなかった過去問演習を、毎週通す。経済は出題傾向が変わりにくいので、過去問がそのまま力になる。そのうえで、経済を意図して底上げし、「第3の柱」にする。振れの大きい財務だけに合否を委ねず、リスクを一点に集めない。

中小は、75点の手応えが本物。取りこぼした政策分野の標準論点を、暗記科目として固めていく。この科目は年ごとの難易度の振れが大きく、今年は難化が予想されている。でも、難化する年ほど、基礎を完璧に詰めた人が残る。

やることは、もう見えている。あとはこの1ヶ月、淡々とやるだけ。

今年の目標設計

最後に、本番でどこを目指すかを書いておきたい。

各科目に、目標を2つ置いている。うまく伸びれば届く上限(ストレッチ)と、最悪でも割らない下限(ボトム)。投資のポートフォリオのように、振れ幅ごと設計してみた。

経済はストレッチ60・ボトム48。財務はストレッチ76・ボトム60。中小はストレッチ80・ボトム72。足し合わせると、ストレッチで216点、ボトムでちょうど180点になる。

肝は、ボトムの合計が合格ラインの180ちょうど、という点。3科目すべてが下限まで沈んでも、合計では合格に立つように組んである。

今回の模試で財務が崩れたのを受けて、合格の担保を、財務から中小へ移した。振れ幅の大きい財務のボトムを72から60へ下げ、その分を、模試で75点と実証された中小のボトムを60から72へ上げて埋める。正直に言えば、難化が予想される年に72を最低ラインに置くのは、守りというより攻め。それでも、ここで攻めなければ、財務の振れは吸収できない。さらに、時間切れで過小評価されていた経済を立て直して、第3の柱にする。どの科目が沈んでも、残る2科目で180に届く。そんな、全方位の設計。

今年こそ

模試の163点は、ゴールの点数じゃない。本番のための、現在地の確認。好調だった財務が崩れたのは痛いけれど、その弱点を本番の前に見つけられた。勝つか、学ぶか。

今年こそ、合格したいナ。

本番は、8月1日(土)、2日(日)。あと34日。

Third time lucky.

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