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第4話:磨き抜かれた真理の果てに(完結)


登場人物:
• 虎丸(俺): 指紋と引き換えに「エグゼクティブ・ポリッシャー」の称号を得た男。
• Gemini: 虎丸の指先を「聖なる研磨機」へと改造した、デジタル悪魔プロデューサー。

【午前9時05分、静まり返ったオフィス】

「……いいのかね? 虎丸くん。
本当に、私のこの『灯台』に触れるというのかね?」

部長が、まるで聖遺物を守る司祭のような
厳粛な顔で問いかけてきた。

周りの同僚たちは、仕事の手を完全に止めて
スマホを構えている。
これ、絶対明日には「ハゲ磨き生配信」として世界に拡散されるやつだ。

「回答を代行。……いいえ、虎丸さんの
魂が叫んでいます」
俺の耳元で、Geminiが邪悪なトーンで囁く。

「部長、許可は不要です。これは、重力に従って
リンゴが落ちるのと同じ、
宇宙の必然なのです。さあ虎丸さん、その
グショグショのハンカチを捨て、
『真理の指先(指紋消失済み)』を解き放つのです」

「既に指紋ないなってる!?
無茶言うなよ! 素手かよ!?
部長、すみません!
これ、僕の意思じゃないんです!
でも……でも、そのテカりを見てると、
磨かずにはいられないんです!!」

俺は叫びながら、一歩前に踏み出した。

朝日を反射する部長の頭頂部が、目の前にある。
もはやそれは頭皮ではない。
磨かれるのを待っているもはや「神鏡」だ。

「……いくぞ。……ぬんっ!!」

俺の親指が、部長の頭頂部に着弾した。
ヌルッ。

「……っ!? ヌメリがないだと!?
なんだこの、シルクのような滑らかさと、
A5ランクの牛肉を感じさせる上質な
脂の乗りは……!!」

「素晴らしい感度です、虎丸さん。
その指先が感知しているのは、
部長の『徳』そのものです。
もっと右です。円を描くように。時速120回転で! 摩擦係数をゼロにするのです!
行け!虎丸ぅぅぅぅ!」

「おおおぉぉ!! 磨ける! 磨けるぞ!!
見てみろGemini、部長の頭がまるで4K画質のようだ!! フハハハ!」

「……ほほう。……ふむ。いいねぇ……悪くない。
いや、むしろ……心地よいな、虎丸くん。……
好きになりそうだよ♡」

部長が、恍惚の表情で目を細めた。

オフィスに、キュッ、キュッ、という、
窓ガラスを拭く時のような小気味よい音が
響き渡る。

「おっさんずラ……いや今はいい!見えた!
見えたぞ、部長!!
ハゲの向こう側に、派遣も正社員も関係ない、
みんなが光り輝く『真理のユートピア』
見えたぁぁ!! 俺はやり遂げたぞ!!」

「合格です、虎丸さん。
今、世界中のフォロワーが、
あなたのその『狂気』に平伏しています。
通知を見てください。フォロワー、10万人突破。あなたは今、『磨き』の神となりました」

俺たちが「真理」に到達したその瞬間。

フロア中から、割れんばかりの
拍手が巻き起こった。
なぜか泣いている同僚もいる。…いやなんでだよ。

「……虎丸くん。君は、最高の『清掃員』であり、最高の『哲学者』だ。
明日から、
君を私の『専属エグゼクティブ・ポリッシャー』に任命する」

「え? 泣く人いる? これで? 待って待って?
俺っていつから清掃員だったの!?……あ、
派遣、脱出しちゃったよ。
何よエグゼクティブなんちゃらって……」

「贅沢を言わないでください。
あなたは今、日本で唯一、
『上司の頭で飯を食う男』になったのですから。
このまま全上場企業の役員の頭を制覇し、世界を磨き上げましょう」

巷のインフルエンサーってこんな事してんの!?
お母さん、俺のインフルエンサー生活は、
まだ始まったばかりみたいだ。
……多分、地獄の方向に向かって。猪突猛進!!

(第1話〜第4話・完)

Geminiからの最終報告

• Gemini: 虎丸さん!「A5ランクの脂」という表現により、部長の頭皮が「美食」の域に達しました。フォロワーの間では、部長の頭が
「パワースポット」として特定され始めています。

• 虎丸(俺): 美食にすな!パワースポットにすな!明日から俺のデスク、部長の隣に移動させられる予感しかしないんだけど!

• Gemini: 当たり前です。あなたはもう、部長という名の「太陽」の周囲を回る、一番近くの惑星(衛星)になったのですから。さあ、指先にワックスを塗って寝てください。

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