息子が逮捕された日
#創作大賞2026 #エッセイ部門 #今あなたに伝えたいこと
社会人で独り暮らしの息子が、逮捕されました。
その時、母親である私は、どう動けばよいのか、インターネットで検索しても、詳しくは分かりませんでした。
手探りで過ごした始めの数か月間を書かせていただき、
少しでも同じように戸惑っていらっしゃる方のお役に立つことができれば、と思い、つづっています。
その日は突然やってくる
私は平日休みの日、銀行で手続きをしていました。
すると、スマホに見知らぬ番号から着信がありました。
お相手は弁護士と名乗る見知らぬ番号。
「息子さんが逮捕されました。息子さんに頼まれ、最初にお母様にご連絡しました。すぐに示談交渉に入ります。お金を◯十万円振り込めますか?難しければ、次のご家族にご連絡しますが」
と、丁寧ながらも、早口でどんどん話してきました。
「え?いつまでに振り込めば良いのですか?」
お金と聞いて、詐欺の疑いが頭をかすめましたが、本物の弁護士さんのご様子。私の頭はパニック。けれど必要なことをやらなければ。
「なるべく早くお願いできますか」と、弁護士さん。
「すぐ振り込めますが、口座番号などは?」
私は、幸い目の前にあった銀行窓口の振り込み用紙をひっつかみ、裏に必死でメモを取りました。
銀行で順番が来て、私の名前が呼ばれました。
(あとでお願いします)と、窓口の方に小声で伝え、振込先をメモする私。
不審な目で見る銀行員さん。
信じられない気持ちの私に、弁護士さんは、
「驚かれましたよね。振り込め詐欺だと思われても仕方ありません。どうぞ担当の〇警察署の刑事さんに確認を取ってください。」
と、警察署の電話も教えてくれました。
スマホの録音機能などが使いこなせない私は、電話番号も慌てて殴り書きしました。
銀行にいたものの、振り込みはインターネット送金の方が早そうです。
急いで帰宅し、警察署に確認を取ると
「息子さんは逮捕され、こちらの署に留置されていますよ。弁護士さんの指示に従ってください。今後ご協力をお願いすることもあるかと思います」
と、丁寧に教えてくださいました。
私の頭の中は、
「どうして?何をしたの?これからどうしたらいいの?」
「留置所は寒くないかな、眠れているかな。息子は落ち込んでいるだろう」
と、心配でいっぱいでした。
TIPS◆ 万が一のために、現金100万円くらいは、すぐ使えるようにしておきましょう( ;∀;)
弁護士さんは忙しく、電話での連絡が多かったです。メモ帳とペンも常備が必要でした。
逮捕はもっと突然に
逮捕は突然されます。
事前に知らされるはずはなく、息子の場合、住まいに早朝、警察の方が来て、息子はぼーっとして、パンツひとつでドアを開けたそうです。
息子は詳しくは語りたがりませんが、一応エアコンや電気を消し、財布と住まいの鍵だけ持ち、警察署に連れて行かれたようです。
スマホは証拠品として押収されました。
弁護士さんから来た連絡は、留置されて3日後のことでした。
息子へのメッセージに返信も無かったけれど、いつものことだと思っていたら、突然行方不明状態になっていたということです"(-""-)"
留置されると、財産に応じて、国選か私選弁護士さんをお願いします。
もともと雇っている弁護士さんなどがいなければ、その日の当番の弁護士さんになるそうです。
国選弁護士さんは、なかなか来ず、最低限の連絡しかくれませんが、無料でお願いできます。
私選弁護士はだいたい1件100万円と言う感じでした。
その時、普通に会社勤めをしていた息子は、逮捕の翌日に会社で大切な会議を控えていて、急いで連絡する必要があり、給料もあったので、私選弁護士さんをお願いしたそうです。
逮捕されて72時間は弁護士さんにしか会えません。
また、勾留期間のことや示談交渉は弁護士さんにすぐに動いてもらわなくてはなりません。
弁護士さんは、警察と交渉して、息子のスマホから、家族の電話番号を3人分聞き、息子の指示で、まず私に連絡が来たというわけです。
他の連絡先は、ほとんど音信不通の息子の勤め人の兄と、私の別れた元夫(息子の父親)。
すぐ動けるのは、幸い隣県に住んでいて、パートタイム仕事である私だけでした。
TIPS◆財布には現金1万円くらいは入れて持ち歩きましょう"(-""-)"
家族へ連絡を取る唯一の手段である手紙のための切手等は、留置所内で現金で購入できます。
家族が最初にしたこと、すべきこと
まずは弁護士さんの指示に従う。
私はお金を振り込み、身元引受人のサインをするために、その日の夜には弁護士事務所に出向きました。
逮捕直後のこういった手続きにより、示談や保釈、不起訴を目指すことができます。日本では、起訴されると99パーセント有罪になってしまうため、弁護士さんの動きが頼みの綱です。
身元引き受け書類などの作成のため、急いで当日夜弁護士事務所に行くのは大変でしたが、取り急ぎの疑問について助言をもらい、連絡先を交換し、少し安心しました。
TIPS◆弁護士さんは選べるの?
最初に国選や当番弁護人であっても、後で変更することはできます。けれど私たちは知っている弁護士さんなどはいないし、インターネットの広告も、どこまで信用して良いのか分かりません。
結果として、刑事事件に慣れている弁護士さんは地元などには少なく、国選や当番弁護士さんは一生懸命取り組んでくださり、お願いして良かったと感じています。
自分でお願いしたい場合は、ふだんから頼みたい方をチェックしておき、名前や電話番号を控えておくと良いと思います。
留置所面会や差し入れのしかた
息子のことが心配でたまらず、また弁護士さんからの助言や、息子からの「本が読みたい」という伝言もあり、翌日仕事を休み、面会に行くことにしました。
それまでに仕事の調整、息子の父親や兄など家族へ連絡しました。
また。差し入れできるものをインターネットで検索し、大型スーパーに買いに行きました。
差し入れできるものは、留置所や拘置所によって違うので確認が必要なのですが、電話では教えてもらえなかったり、持参すると係員から細かい注意があったりで、だんだん覚えていく感じです。
本人の居場所や面会できるかどうかは、当日でないと分かりません。
私は出かける準備をして、朝一で警察署に電話し居場所と面会時間を確かめ、「今日行って大丈夫」と言われてから出かけました。
2時間で行ける距離だったので何とかなりましたが、遠い方は郵送なども検討すると良いと思います。(いないと送り返されてきます)
また面会は、原則として1日1人のため、弁護士さんや家族、職場などの関係者と連絡を取り合い、「今日は私が行きますが、大丈夫ですか」と、メールしました。
元夫とは離婚後連絡をほとんど取っておらず、理解を得るのが難しく、ケンカになったり、また息子の上司とメールでは、緊張しました。
取り急ぎ、下着、スウェットなどの服、温かい上着(夏ならTシャツなど)、靴下、タオルハンカチ、おこづかい1~3万円、切手、封筒、便箋、手紙を出せるように、家族みんなの住所を書いた手紙、本3冊を準備しました。
ちなみに、留置所では下着の貸し出しは無く、一週間洗濯も無いため、弁護士さんが最初の接見の時に、コンビニでパンツを購入し差し入れてくださいました(後日ちゃんと金額を請求されました( 一一)
そのほかは、現金さえあれば、本人が留置所内で買うことができる物もあるため、弁護士さんが1万円取り急ぎ差し入れを代行してくださいました。息子の財布には、現金が無かったみたいです(´;ω;`)
TIPS◆差し入れの仕方は細かいのですが、基本としてヒモ、金属、ボタン、よけいな紙類などダメです。
私は紐の無いスエット等を買いに行きましたが、探すのに苦労しました。大丈夫だと思っていたパンツにボタンが付いていて差し入れられなかったり・・・。
後で気付いたのですが、普通のを買って、紐やボタンを全部自分で取れば良かったんです。また、面会時ハサミ等を持参し、見つけたら急いで取って再チャレンジと言う方法もあるかも?
ジッパーや金属ボタンなどはダメなので、パーカーやジーンズなどは買わない方が良いです。
本のしおり紐も切って差し入れなければなりません。線1本でも書き込みのある本はNG。古本はよく注意して買いましょう(同じ本を3回買った私( ;∀;)
一人暮らしの息子の後始末
息子に会った後心配だったのが、アパートの部屋のことです。
何点かネットショッピングをしており、不在連絡票がどうなっているか。
ポストがあふれているのでは?
ガスの元栓や電気は大丈夫か。冷蔵庫などに腐るものが無いか。
家賃や光熱費の引き落としはどうなっているのか?口座のお金は足りるのか。
部屋の鍵は?キャッシュカードは?部屋に入れるの?スマホは使えるの?
面会後、上記が心配で、息子からも頼まれたのですが、
結果として証拠隠滅の恐れから、すぐには部屋には入れず、スマホもしばらく帰ってきませんでした。
数週間後、息子の身柄が拘置所に移動してから、弁護士さんからメールが入りました。
「家の鍵やスマホをタクサゲできる手配をしたので、受け取りに行ってください」
たくさげ??
どうやら、本人の持ち物を家族等が持ち帰ることを「宅下げ」と言うらしいです。逮捕されると、そんな専門用語が飛び交います。ネット情報が無い時代は、大変だっただろうなあ。
逮捕から約1か月後、やっと息子のアパートに行き、ゴミを捨て、元栓を占め、いろいろな電源を抜き、ついでに大掃除をしてあげてしまいました(数年掃除した気配なく、換気口も詰まっていた"(-""-)")
息子も観念したようで、スマホの暗証番号やパスワード類を教えてくれました。
これで口座を確認し、サブスクを解約したり、メールの確認をして息子に伝えることができました。
これもなかなかの頭脳労働でしたが、これからを考えると、無駄なお金は1円でも節約しなければなりません。
この中で、引き落とし不能になりそうなカードローンをみつけ、返し方を調べ、慌てて送金しました。逮捕の上に、クレジットカードの信用情報まで失ったら、また私にヘルプを求められてしまう。
「今回だけ」と、息子には必要なお金を貸しました。
TIPS◆私は、離婚し一人暮らしになってから、エンディングノートを作りました。何かあったら息子たちに、なるべく迷惑をかけないためと、もう中高年になったため、延命拒否などの意志を書き残したかったからです。
けれど、「もしものときノート」は、社会人になったら、大人になったら、誰でも必要だと痛感しました。
逮捕はめったに無いとは思いますが、急病や大けがで、急に入院することはあり得ます。
若い方も、緊急連絡先や、家賃や光熱費の契約、各種IDやパスワードを紙に書き、信用できる方に置き場所を知っておいてもらう必要があると思いました。

自分の体調管理
息子の逮捕を聞いてから、おデブな私が、生まれて初めて食欲がなくなりました( 一一)高熱でも、つわりでも食べる肥満なのに、最初の一週間で2キロくらい落ちました。(今はまた過食で増加傾向"(-""-)")
私はメンタルがもともと弱かったけれど、再婚して落ち着き、安定剤などを終わりにした矢先の事件でした。
メンタルは一気に下がり、再服薬。倍増した安定剤でなんとか生きています。
私自身、これまでいろいろと辛いことがありましたが、子供のこととなると、人生で一番辛く感じました。
被害者には申し訳ないけれど、留置所の硬い床で横になって泣いている息子を想像しては、心配で心配で、毎週面会に行っていました。大荷物を抱えて、ピリピリした息子に会うのは、心身ともにへとへとでした。
心配し過ぎて、動き過ぎて息子とケンカになったり、弁護士さんの連絡が無く、やきもきしたり、仕事中も急な連絡へ対応したり、仕事の休みを調整したり、うまくいかないこともたくさんありました。
今は、少し落ち着き、自分の生活を再び取り戻しつつあります。
ご家族の皆様も、慌てず、落ち着いて、自分最優先にしていただければと思います。
やりすぎは、本人のためにも良くないと助言も受けました。
また、辛すぎて周囲に相談して、ひどい言葉を受けることもありました。加害者として逮捕されたので当然ですが、
家族がすべて背負う責任は無いんだよな・・・
と、言い聞かせながら生きています。
ご家族の皆様と、これから大変な目にあった場合の一助になれば幸いです。
また詳しく書いて行ければと思います。
お読みくださり、ありがとうございました。
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よそしければ、応援お願いいたします。