オーラル・トラディション
ホピ族の預言と、失われゆく言葉。
アメリカ・インディアン最古の民ホピ族は、2000年以上もの長きにわたり、先祖代々わずかな穀物を栽培しながら”聖地”で暮らしてきました。その地には、守り伝えられてきた重要な秘密が隠されていたからです。ホピ族が守り続けたもの、それは”ウラン”でした。
彼らの口承には、こんな予言が伝わっています。
「この聖地には、使い方によっては人類を滅亡してしまうものが埋まっている。人類がこれを争いではなく平和に利用できるようになる日まで、この地に留まり守り続けるべし」
ホピ族はこの教えに忠実に従ってきたのです。
しかし、その平穏は白人たちの到来によって破られます。地下にウラン鉱脈があることを発見した彼らは採掘に着手し、そのウランは兵器として利用されました。第二次世界大戦で日本の長崎と広島に投下された原子爆弾、ホピ族が「ひょうたんの灰」と予言したものでした。

ホピの予言はこれまでにも数多く紹介されてきました。しかし、確固たる物証に乏しいのも事実です。口承であるがゆえに、第二次世界大戦後のニューエイジ運動やスピリチュアル系の人々が後付けで作り上げた話ではないか、という見方も存在します。「羽を持った神々の戦い」が世界大戦の飛行機を予言したものだ、などと様々に言われていますが、何でも安易に現代の事象に結びつけるのはいかがなものでしょう。彼らの先人たちが伝えたかった言葉は、もっとシンプルで、深い意味を持つ「オーラル・トラディション」なのではないかと、私は感じています。

彼らの教えは、私たち現代人が忘れがちなシンプルな真理を伝えています。
母なる大地を大切にせよ。そうすれば大地も貴方を大切にしてくれる。
兄弟(ホピにとっての兄弟とは、自然世界のあらゆる存在のことです)を大切にせよ。
必要な物は取れ、しかし必要以上取るな。
持てる物を分かち合え。
宇宙の根源である霊に感謝を捧げよ。
これらは、人間と自然との調和を重んじる、彼らの思想の根幹を示す言葉です。
ホピ族の口承伝統と教えに触れる中で、私は現代社会が忘れがちな大切なものがあると強く感じます。かつて3000語もの語彙を持っていた彼らの言語が今や100語足らずに衰退し、数千年前の壁画の言語が誰も解き明かせないかもしれないという事実は、言葉が持つ意味だけでなく、その背後にある歴史や精神性がいかに脆弱なものかを示しています 。
「なぜ人は予言ネタを信じたがるのか」という問いは、私たち自身の心の弱さや、未来への漠然とした不安の裏返しなのかもしれません。確固たる証拠がない予言に一喜一憂する一方で、ホピ族が本当に伝えたかったシンプルで普遍的な教えには、案外耳を傾けない。このギャップこそが、現代の私たちにとっての「問い」なのだと、私は考えます。
ちなみに、7月15日は、いつも通りの火曜日ですよ。

© layer_shu Content licensed under CC BY-NC-ND 4.0
#ホピ族 #先住民族 #口承伝統 #予言 #ウラン鉱山 #コラム #永井シュウイチ
