【06】レイヤーゲーム、開幕。人間関係の魔術師になった日の話
私はこれまで、自分の感情や思考をかなり細かく観察しながら生きてきた。
それは、もはや呼吸と呼べるほど当たり前の習慣だった。
気づいたのは、つい最近のこと。
この習慣を言語化し、メソッドとして体系化することで、多くの人の人生に寄与できるかもしれない。
そう確信してから、私は思考メソッドとしての言語化に一気に着手するようになった。
レイヤーゲーム。
それは、自分の中にある「感情」「思考」「記憶」「無意識」「社会的背景」などの多層構造を読み解く行為。
一つひとつ丁寧に見ていくことで、自分自身や他者への理解が深まっていく。
これは、自分の内面を探るための「思考の地図」だ。
このレイヤーゲームを通して得られるものは多岐にわたるが、
中でも特に大きな効果は「メタ認知力」と「共感力」の向上にある。
この2つの力が高まると、具体的にはこんな変化が起きてくる。
① 自己肯定感の向上
自分が本質的にどんな人間かわかる
適切な自己主張ができ、人から大切にされるようになる
自分の好き嫌いや得手不得手にも理由があるとわかり、自己否定が減る
自分に合った環境を自然に選べるようになる
メンタルが安定する
→ 自分を深く理解することで、自分を好きになり、精神的に自立していく
② 共感力の向上
「他人にも、自分と同じような背景があるかもしれない」と想像できる
その場しのぎではない、本質的で深いコミュニケーションがとれる
どんな状況でも、冷静で共感的に話せる
深い相互理解のあるパートナーシップを築けるようになる
→ 人から好かれ、自分も人を信頼できるようになる
③ メタ認知力の向上
一時的な感情に流されず、未来を見据えた選択ができる
自分に合った人間関係・仕事・暮らし方を選びやすくなる
衝動性が減る
スケジュール管理やタスク処理が上手くなる
→ 人生全体の「要領」がよくなる
まだまだ副次的な効果はたくさんあるが、今回はこのくらいにしておこう。
少しでもワクワクしてもらえたら嬉しい。
では、ここから実践編に入っていく。
人の感情や行動は、表面的なものだけでできているわけではない。
たとえば「イライラした」「なんか違和感がある」と感じたとき、
その背後には必ず、思考・記憶・無意識・文化的背景など、複数のレイヤーが絡み合っている。
私はこの構造を見やすくするために、以下の5つのレイヤーを設定している。
【 感情レイヤー 】
表面に現れる気持ちや瞬間的な反応。「イラッとした」「寂しい」など。【 思考レイヤー 】
考え方や判断基準、信念。「こうあるべき」「こうすべき」などの論理構造。【 記憶レイヤー 】
幼少期の体験や感情の蓄積。根本的な価値観のベースになることが多い。【 無意識レイヤー 】
自覚されていない欲望や反応の癖。過去のパターンが無意識に表れる部分。【 社会背景レイヤー 】
文化・家庭環境・ジェンダー・所属組織など、自分を取り巻く外的要因。
今回はこのレイヤーゲームを使って、
私がかつて職場で体験した、ある「人間関係の変化」について話そうと思う。
会社勤めをしていたある時期、
何度挨拶しても無視をする女性の同僚がいた。
「私、嫌われてるのかな」と思い、私は心の中で静かに距離をとった。
ところが、レイヤーゲームで思考分析をしてから2週間後、
その人は笑顔で自分から挨拶してくれるようになった。
——いったい、何が起きたのか?
これは偶然の変化ではない。
私はレイヤーゲームを使って、自分の感情と反応を丁寧に読み解いていた。
その過程が、結果的に相手の反応を自然に変えていったのだ。
最初に湧いたのは、「もやもや感」。
無視されるたびに、「否定されている」「存在を無視されている」ような怖さを感じていた。
そこで私は、自分自身に問いを立ててみた。
なぜ、もやもやするのか?
本当に嫌われているのか?
似たような体験を想起して、無意識に反応しているのでは?
「無視された=否定された」と早合点していないか?
そして、少しずつ答えが見えてきた。
無視されることに、幼少期の「仲間外れにされた記憶」が結びついていた
その恐怖が、「否定される」「ここにいてはいけない」という感覚を引き起こしていた
「嫌われている」という認識自体が、私の過去の記憶から来る投影だった
こうして、「ただの出来事」だと思っていたことが、
実は私の記憶と無意識に深く関わっていた感情の再演だったことに気づいた。
このように、感情に対して疑問を持つことこそが、レイヤーゲームの出発点だ。
今回はまず「感情レイヤー」に触れたが、
この出来事をもとにして、次回以降は「思考」「無意識」「記憶」「背景」と、順に読み解いていく。
人は単純なようでいて、意外なところから影響を受けている。
自分の内面を多層的に理解することが、
他人との関係や、自分自身の見え方を変える最初の一歩になる。
次回は、「思考レイヤー」編へ。
