あの日の太陽
第一話 出会い
学校というのは監獄だ。
夏季休業中なのに補習がある。
確かに自分の成績が悪かったせいでもある。
だが何も休業中にやることもないだろうと僕は思う。
でも唯一補習を受けに来たいと矛盾とも言われそうな気持ちにさせる理由がひとつある。
名前しか分からない同じ数学の補習を受けているいつも窓際の1番後ろの席に座る女の子と会えることだ。
話したことは1回だけ。補修初日の席で前後になった時だ。
その日僕は体調があまり良くなくて、補習も死ぬ気できた。1問とくので必死なのに、先生はスパルタで、僕が進んでないのを見るともう1枚無言で追加してきた。
それでも教師か?と思ったことは口に出さなかった。
吐き気を抑えながら解いていると不意に後ろからつつかれた。振り返ると、
『ねえ?君体調悪いの?顔真っ青だよ?』
と心配そうな顔をした女子生徒が話しかけてきた。
第一印象は、夏の太陽のような人。
擬人化したみたいな。
それくらい全身から明るさというものが溢れていた。
『ねえってば!大丈夫なの?』
《笹木!うるさいぞ!》
先生がその太陽みたいな子の声に反応してこっちに来た。
『せんせい!この子すっごい具合悪そうじゃない?
ほら、真っ青!』
《ほんとじゃないか。おい、横井、保健室行くか?》
「あ、いえ。あの.......行きます。」
《じゃあついでに笹木、横井についてけ。》
「いえ...あの1人で行けます」
『遠慮しなくていいんだよ??ほらいこ!肩貸すから!』
陽キャの勢いというのはすごい。
保健室までの道のりは長いようで短かった。
"笹木さん"はどうやら夏休み直前の中間で理数系で赤点を連発してしまったらしく、夏休みは返上だという。
可哀想だ。やっぱり学校は監獄だな。
でも僕がいちばん不思議だったのは笹木さんが返上と言っていてもずっとにこにこしていたことだ。
僕が一応デリカシーはあるので、失礼な言い方にならないように気をつけながら聞いた。
「さ...笹木さんはなんで夏休みが返上されているのにそんなに元気なんですか?」
すると。
『う〜ん笑なんだろうね。私昔からこうだからさ?ザ・ポジティブ!みたいな笑辛いこととか嫌なことがあっても笑えばどうにかなるっていうのがママの口癖でね。だから私も小さい頃から何かあっても笑顔でいれるようにしてたんだ。そういえば小学校の頃、1回だけ公園で遊んだ男の子にも、なんでそんな笑顔でいれるの?って聞かれたことあるなあ笑
その子ね1人で公園の隅でね、お絵描きしてて、だから話しかけに行ったの!そしたらその子「あ...あの?どうしましたか?」って小学生なのに丁寧に話してて笑すっごいびっくりしたの覚えてる笑それで名前教えあったんだよね!えっと...なんだっけえ.....あ!はるくん!!そう笑真面目そうだから名前も真面目かなあとか思ってたんだけど、可愛くって笑そのあと少しお話して〜ってうわあ!横井くん大丈夫?!ひえええ』
タイミングの悪いことに途中から吐き気が強くなりしゃがみこんでしまったのだ。
そのあとはもう怒涛の勢いだった。
笹木さんは慌てて僕を引きずって保健室に入れ、保健室の先生にマシンガンのごとく状況を説明したあと僕を先生と一緒にベッドに座らせて、黒い袋を持たせた。正直に言うと引きずられた背中が痛かった。うん。
まあそのあと色々ハプニングはあったものの無事に家に帰った。家に帰り、ベッドに横になった時に、そういえば親戚の家に行った時に近くの公園で女の子と仲良くなったなあとか朦朧とした頭で考えていた気がする。確かひな.....あれ...?思い出せなかったので僕はそのまま寝た。
第二話に続く➡➡
