初恋のゆくえ【一話完結小説】
私の名前は佐藤春香。
今年で23歳の新社会人。
希望のデザイン会社に入れて、同期も先輩たちも優しそうな人たちばかりで安心しているところ。
実をいうとつい先日ずっと好意を寄せていた幼馴染にフラれた。
いや、フラれたというのは少し違うのかもしれない。
なにせ伝える前にフラれてしまったようなものだから。
彼の結婚式の招待状をもらった瞬間から。
私の家系は代々背が高いことで知られているらしい。
小さいころからよく、
「背が高いねぇ」
「スラっとしとって別嬪さんやねぇ」
と近所の人や祖父母に言われてきた。
母譲りの薄い唇と黒くてストレートの髪。
父譲りの高い鼻に明るい瞳の色。
一つ一つが私の誇りで、なくしたいものなんて何一つない。
でも。
あの人の隣にいるあの子は。
色白の肌にふわふわとしたブラウンの髪。
ぱっちりとした目に
一度見たら絶対忘れない可愛らしい笑顔。
それに。
守りたくなるような背丈。
あぁ、勝てないなぁ。
何度彼女になりたいと思ったことか。
何度あの人の隣で笑っているあの子が憎いと思ったことか。
でも全部私の弱さゆえ。
伝えればよかった。
ずっと好きだって。
昔からずっと思ってたって。
伝えないことを選んだのは私。
あの人のことだから伝えたらきっと申し訳ないと感じて、
もしかしたら申し訳なさで付き合ってくれるかもしれなかった。
でもあの人がずっとあの子を目で追っていたのは、
誰よりも私が知ってる。
一番近くで見てたから。
誰よりも一緒にいたから。
今日私は、あの人の結婚式に来ている。
あの人はグレーのタキシードがとびっきり似合ってる。
昔からグレーが特に似合うんだよね。
そして隣のあの子は薄い桃色のウェディングドレスが本当に綺麗。
本当にお似合いの二人。
ドラマみたいに
「ちょっと待ったぁ!!!」
って結婚式を止めて、彼の手を引いて逃げる妄想はいくらでもした。
でも二人を見てて思った。
私の気持ちってたぶん迷惑なんだろうなぁって。
だから。
私のこの気持ちががあなたを傷つけるだけなら。
「幸せになってね」
って言った言葉の裏に隠された、
長くて、重くてそして深い
「ずっと好きでした」を、
私の人生でたった一つの
「初恋」に
終止符を。
すぐに忘れるのは難しいかもしれないけど
きっと大丈夫。
できたら数年後には笑い話にするの。
しっかり者のわたしだから、
たぶん大丈夫。
❀Haruka Satou
