それでもあなたに心からオススメしたい!『Lovely Writer』12の魅力
注:この記事は2021年9月1日に、「30半ばにしてやおいにハマる」にアップした記事をnoteに転載したものです。
タイドラマを見始めて1年。心に残る作品、好きな作品がいくつもできたけれど、この作品はちょっと特別。
『Lovely Writer The Series』(ラブリーライター)。原題は『นับสิบจะจูบ (Counting to 10 and I will kiss you / 10まで数えてあなたにキスする)』

いろいろなメディアやタイドラファンのブログ、noteなどでおススメされているけれど、ええ、わたしも心の底から力いっぱい叫ばせてください……『Lovely Writer』はいいぞーーーッ!!!!!
Official Trailer。日本語字幕もついてます。
正直なところ、放送前から期待はしていた。『Tharn Type The Series』を手掛けたTee Bundit Sintanaparadee氏が監督だし、主人公が"BL作家"&"その作家のドラマ化作品に主演するBL俳優"、という興味をそそられる設定は、始まる前からすでに面白そうだと思ってはいた。
『TharnType』の簡単なレビューはこちら。4番目にあります。
しかし実際に始まって見てみたら、期待をはるかに超えていた!
風刺が散りばめられた刺激的な内容、目が離せない展開や魅力的な演出、俳優陣の好演に、毎週どれほどワクワクしたことか。何よりもすごいのは、ドラマには“キュン”や“ドキドキ”が目いっぱい詰まってたんだよ……!
My名作ドラマフォルダに間違いなく入るこの作品、日本語字幕はU-NEXTでなければ見られず、英語字幕ながら無料で見られるWeTVとYouTubeは、VPNに繋げなければならない――というわけで(今はほとんどのタイドラマがそうだけど)、気軽に簡単に見られるわけじゃない。
でもやっぱり素晴らしいドラマだから、あなたにもあなたにも見てほしい――!
――というわけで、わたしが強力におススメしたい『Lovely Writer』の12の魅力を挙げてみました。好きすぎるあまり非常に長くなってしまったので、目次だけでもぜひ……!
注 この記事はネタバレがあります
1. タイBLドラマの制作現場の舞台裏が興味深い
何しろ、人気BL作品のドラマ化をきっかけに、作家のGeneと主演俳優のNubsib(以降Sib)は出会うので、ドラマの舞台裏もしっかり描かれている。
ドラマ撮影の様子はもちろん、オーディションやスチール撮影、ファンを前にしたイベントなどなどドラマ制作に関するさまざまなシーンが登場する。
ディレクターやプロデューサーなどスタッフたちの時にあけすけな発言や、スポンサーやテレビ局を忖度したセリフ、ちょっとパワハラ気味なシーンもあれば、「BL俳優のマネージャー同士は仲が悪い」という、へぇそうなんだ! と思うような裏事情、「ファンには、主演二人は本当にカップルなんだと思われないといけない」なんてセリフもちょこちょこあって、ドキッとさせられる。

そのどれもがコミカルに(時にシリアスに)、風刺を織り交ぜて描かれていて、好奇心をそそられずにはいられない。
おまけにこれまで実際に起きた”事件”を連想させる出来事もドラマの重要なシーンとしてしっかり取り込まれており、その大胆さに内心、監督はじめスタッフは刺されないかしら……?とちょっぴり心配してしまったほど。
――ああ、取り上げたいことが多すぎて書ききれないよ……! ここだけで一つのエントリーになりそうなので、この裏事情の部分はまたエントリーを改めてまとめたい。
2. BL小説のあのシーンについてモヤるGeneに共感
Geneが書いたBL小説『Bad Engineer』はドラマ化されるほど人気作品だけど、実は、出版社に頼まれてしぶしぶ書いた作品。
しかし予想外に売れてしまったため、出版社からBLをもう1作書いてほしいと依頼されてしまうGene。しかも編集長のBuaから、「ホットなNCシーン(18禁シーン)を多めにね!」という注文付き。
Geneとしては、意味なくむやみにNCシーンを入れたくないと思っているのだけど、Buaは顔を合わせるたびに、NCシーンが少ない、もっとホットに書き直せ、3章に2章は濡れ場でよいなどと言って、Geneをモヤモヤさせるのだ。
――わかるわGene、そのモヤモヤ……。日本の読者のわたしも、BLだからってNCシーンを入れりゃいいってもんじゃないって思ってるもの――と、何度も画面越しにGeneに共感したわたし。
そもそもドラマの冒頭、執筆中のGeneが作品内でNCシーンを書いていたものの、途中からすべて消してしまって「こんなのセクハラだ!」と叫ぶものね。

日本のBL小説でもNCシーンを必ず入れるのはお約束だけど、Geneのように悩んでいる作家さん、いるんじゃないかな。
3. 有名作品をオマージュしてるっぽい劇中劇にニヤリ
ドラマ内で撮影される『Bad Engineer』。
タイの大学工学部が舞台。上級生たちは工学部のあの制服を着ている
撮影されるシーンの中には上級生が新入生を指導するSOTUS制度の一幕がある
上級生のKinは厳しく近寄りがたいが、新入生の一人、Namchaには何かとちょっかいをかけてくる
――わぁ、なんか知ってるぞ、その設定!

個人的には見ていて『SOTUS』、『Why R U?』あたりがオマージュされている気がしたし、TwitterのTLでは『My Engineer』も挙がっていた(わたしは未視聴)。とにかく、そういった工学部が舞台の人気ドラマの雰囲気をうまーくミックスしてる!? と、見ていて思わずニヤけます。
4. 広告をまったく隠すつもりがない
タイドラマといえば、作中でスポンサーの商品が使われるプロダクトプレイスメントがお馴染み。
もちろん『Lovely Writer』でもそれは見られる。ただし、広告であることをまったく隠そうとしていないのがポイント。
セリフの中で唐突に、ロコツに商品紹介をしてしまうし、「ドラマの中の1シーンで、アップで使ってよ」などと劇中作でのプロデューサーに言わせたかと思いきや、実際にGeneとSibとでそんなシーンを見せたりする。
わたしが一番笑ったのは、GeneとアシスタントのHinが待ち合わせをしているカフェ内で、フェイスマスクやペットボトル飲料がこれ見よがしに並んでいたシーン。いっそ清々しくてキライじゃないよ!

5. ジェンダーの固定観念についての疑問を投げかけている
GeneとSib以外のカップルが、Sibのマネージャー・Tumと、Sibとともにドラマに主演するAeyのマネージャー・Tiffy。
Tiffyは、原作にはいないドラマオリジナルのキャラクターとのことなのだが、このTiffy、革の上下で大型バイクを乗りこなしたり、エンストした車の修理が得意だったり……という、カッコイイ系の女性。反面、コスメに詳しくないようで、Tumに相談することも。
逆に、Tumはメイクやコスメに詳しく、Tiffyの服が破れた時に繕ってあげるなど裁縫もできる。
こうした二人のキャラクターは、ジェンダーの固定概念に疑問を突き付けているように思える。これまで何の疑問を持つこともなく男性(あるいは女性)が得意だろう、好きだろうと決めつけていたことを、女性(あるいは男性)に当てはめる、というように。

まあそんなTiffyも、Tumのことをゲイだと思い込んでいたんですけどね。ある意味、Tumのような"物腰の柔らかい男性=ゲイ"だという固定概念に縛られているという例え……だったりして。
6. セクシャリティのアウティングについて考えさせられる
わたしがこれまで見たタイドラマでは、主人公たちが自分のセクシュアリティについて親や周囲に明かそうか、あるいはどう打ち明けようか悩むシーンが織り込まれた作品が多い。そして『Lovely Writer』でもそんなシーンがしっかりと描かれている。
幼い頃から確かに仲は良かったけどまさか本当につきあっているなんて……! と、それぞれの両親、特に父親は衝撃のあまり、すぐに息子たちのことを受け入れられない。しかしSibは父親とビジネスの取り引きを条件に、Geneは父の過去に触れながら深く話し合い、各々解決する。Gene父の同性の恋人の話は切なかったなぁ……!
でも『Lovely Writer』はそれだけではない。
大学時代の友人たちとの食事会で、Geneがゲイなのかと尋ねられるシーンがある。いきなりそんなことを尋ねるのも不躾だが、「ゲイでも友情に変わりはない」「友人なんだから話してよ」などと、優しいようでその実、軽々しく無責任なセリフを連発し、アウティングを促す様子がコミカルに、でも辛辣に描かれているのだ。
優しい言葉をかけてくれるけど、目が笑っておらず真剣で、探るような友人たちのまなざしにヒヤリとする感じ。
เอาล่ะแอดว่าสถานการณ์เริ่มไม่สู้ดี บรรยากาศมันชวนอึดอัดเสียเหลือเกิน เพราะแบบนี้รึเปล่าน้าที่ทำให้คุณจีนสับสนกับนับสิบ #NubsibEP4 pic.twitter.com/bnaizhkL8J
— LovelyWriter_Series (@LovelyWriter_S) March 17, 2021
こういうシーンが挟まれているところ、センスの良さを感じるなぁ……。
7. 震えそうになるファンの反応の生々しさ
劇中劇『Bad Engineer』にはしっかりとファンがついていて、ファンたちはドラマの主人公カップル、KinとNamchaを演じるSibとAeyのモーメントを「#SibAey」のハッシュタグをつけてSNSに画像をアップしたり、あれこれ妄想してはコメントを投稿したりと、キャッキャしていて楽しそう。
その一方で、中には早くから原作者GeneとSibのカップリングに萌えるファンがいて、こちらはこちらで「#SibGene」のハッシュタグをつけて盛り上がっている。
しかしポジティブで幸せなファンの反応ばかりではなく――。
ドラマのクライマックスでは何者かによって、GeneとSibが二人ではしゃいでいる画像がSNSで拡散され、それを受けてAeyが涙ながらにSNSでLiveをして大騒動に。そしてSib、Gene、Aeyを非難、批判、中傷する投稿で溢れる。
こうした、SNSを通じて”推しのモーメント”がシェアされてファンが盛り上がったり、時にネガティブなコメントや攻撃的なコメントが拡散されていく様子が、SNSアプリの画面を通じて描かれていて、既視感があるどころか生々しいほど。
そういったSNSの反応を、俳優たちも見て喜んだり落ち込んだりしている姿も描かれていて、ハッとさせられる。
ところでイベントでの撮影会で、ファンの中のSibAey派とSibGene派で険悪なムードになるシーンはちょっと笑えました。こんな感じなんだもの……ピリピリしてる……!
เอาล่ะ งานนี้จะ #สิบจีน หรือ #สิบเอ๋ย แอดบอกเลยว่าเผ็ช 🌶 แต่ที่รู้ ๆ นะ แอดว่า สิบแอด น้าาาา แอร้ยยยยย มาติดตามกันแบบเต็ม ๆ ได้ที่ WeTV เท่านั้นน้าาาา
— LovelyWriter_Series (@LovelyWriter_S) April 17, 2021
🔗https://t.co/vVUoqTwPxM#นับสิบจะจูบ
ดูสดเวลา 23:00 น. ทางช่อง 3HD
และดูออนไลน์ Uncut Ver. ทาง WeTV เวลา 00:15 น. pic.twitter.com/dpQ3OhqZZz
8. 俳優たちの好演&熱演
これは心に強く残っている作品ならどれも共通することだけれど、『Lovely Writer』でも俳優が全員、まさにドラマのキャラクターそのもので、"役を生きて"いた。本当にこの世界のどこかにいるような感覚にさせてくれた。
Gene役のUp(Poompat Iam-samang)は、ドラマを見る前のイメージではインテリ & クールな感じで、それほど「可愛さ」を感じなかったけど、ドラマの中で彼が演じるGeneは見事に可愛く、しかもどんどん色っぽくなっていったのがすごい。押しに弱い表情やビクビクとうろたえている様子、不機嫌そうな顔つきさえも魅力的だった――舌打ちしても可愛いってどういうことなの!?
放送日翌日、わたしのTLをざわめかせていたGeneのまるでハムスターなポッキーもぐもぐシーンをご覧あれ。
มันมีแต่เสียง งุบงิบ งุบงิบ ออกมา หึยยย ตะเล้กกกมากคุณจีน #NubsibEP5 pic.twitter.com/mNO9NkYM5U
— LovelyWriter_Series (@LovelyWriter_S) March 24, 2021
Sib役のKao(Noppakao Dechaphatthanakun)も、一筋縄ではいかなそうな”企み攻め”の雰囲気と同時に、最初からGeneまっしぐらの恐ろしいほど一途な(時にストーカーっぽい)大型犬みたいな様子、そして劇中劇でのKinの傲慢な表情・態度と、いろいろな顔を見せてくれて、素晴らしかった。何かを企んでいる時やGeneを誘う時の表情もいいけど、Sibは怒っている時、ゾッとするくらい美しいね……!

劇中劇でSibとカップルとして主演するAey役のBruze(Bruce Sirikorn Kananuruk)も良かった。このキャラクター、今でも謎に感じる部分が多くて、トリックスター的な役回りだったなぁと思う。Mhok(Chap Suppacheep Chanapai)との関係が、実はイマイチまだわからないんだけど……。

SibのマネージャーでGeneの大学時代の同級生でもあるTum(Ken Prarunyu Sooksamram)、AeyのマネージャーのTiffy(Zorzo Natharuetai Akkharakitwattanakul)、劇中劇の監督のMai(Earth Nirodha Ruencharoen)、GeneとSibの家族(特にそれぞれの兄たち)などなど、キャスティングも演技もただただ最高。


個人的にはGeneのアシスタントのHin(Kenji Wasin Panunaporn)と、編集者のBua(Fongkee Papinee Yaemnatda)が好き。


9. 年下丁寧語攻めを堪能できる幸せ
Sibは、Geneと兄弟みたいな「Phii-Nong(ピーノーン)」の関係になりたくなくて、P'よりさらに丁寧な「Khun(クン)」をつけて「K’Gene (クン ジーン)」と呼んでいる。
ところがこれ、英語字幕を見ると「Gene」や「You」と翻訳されていて、敬語の雰囲気は感じられない。ちなみに日本語では「K'Gene」は「Geneさん」と翻訳されており、敬語が使われているとわかるのはありがたいし嬉しいことだなぁと思った。
あんなにグイグイ迫って下手に出ながらも自分の意思を通していく強引年下ワンコ攻めが、敬語をしゃべっているかどうかで、だいぶ受け取るイメージが違うんじゃないかしら……?

ちなみにVPNを利用すれば、ドラマはWeTVとYouTubeでも見られるのだけど、どちらも英訳がついているものの、翻訳されている言葉や言い回しが微妙に違うのが興味深い。
さらに、U-NEXTの日本語訳はタイ語から翻訳されているとのことだけど、WeTVやYouTubeでの英訳にはあった言葉やフレーズが見当たらないこともあり、翻訳って難しいなぁと改めて思ったことだった。
10. エピソードごとにキュン&ドキドキがぎゅう詰め
素晴らしい演出と俳優の好演ゆえ、ドラマの各話に印象的なシーンがあるよ……なんて穏やかに冷静に説明することなんてできません!!
もう毎回毎回、これでもか!というほど、心がざわめくシーンが盛りこまれていて、これからドラマを見るなら、ちょっと覚悟しておいたほうがよいですよ!?
個人的に、SibとGeneのシーンで印象に残っている好きなシーンTOP3はこれだな。
9話のベッド周りの攻防
12話の、子供時代と重ねながらのSibとGeneの再会シーン
4話のGeneが酔っ払うシーン
1 は、Geneに襲いかかろうとするSibをGeneがなだめながらかわす様子がジュラシックパークっぽくて、深夜なのに声を出してゲラゲラ笑っちゃったもんなぁ……。
うまくキャプチャできなかったほど、SibとGeneの動きは速かった……ので、公式のツイートの画像をご覧ください。
2 は、いろいろあって離れていたGeneとSibが再会する大切なシーン。二人の子供時代を重ねながらの、10まで数える演出が本当に印象的だった。SibとGeneの子供時代を演じる子役俳優を見ると、Sibが年下だということを実感させられる……。
これは再会シーンではないけど、この辺りで二人は再会する。"秘密の花園"みたいな植物に囲まれたアングルが美しい。
นับสิบในวัยเด็กแสนงอลได้น่ารัก จนคุณจีนต้องยอมง้อเลยแหละ #NubsibEP7 pic.twitter.com/IAzpTYiVe9
— LovelyWriter_Series (@LovelyWriter_S) April 7, 2021
3 のGeneが酔っ払うシーンは、もうGeneの可愛さに降参って感じ。あんなに無防備にカワイイGeneが迫っているのに、「Geneさんの準備ができるまで待ちたい」とのたまって何もしないSibの我慢強さ&優しさよ……!

SibがGeneを追っかけて仲直りする7話の庭先のシーンもいいし、2話の初めてのキスシーンもいい。5話の車内で会話するシーンも好き――って、キリがないな、本当に。
11. KaoUpのケミストリーの良さにやられっぱなし
タイBLドラマでは、ドラマ終了後もカップルを演じた俳優が二人でイベントやテレビ番組に出演したり、広告のプレゼンターを務めたり、SNSでライブをしたりと、あれこれとファンに“仲の良さ”をアピールしてくれることが多い。
『Lovely Writer』で主演したKaoとUpも例に漏れず、本当に仲が良い様子。ドラマ終了後もYouTubeの配信に一緒に出演したり、二人でライブに出演したりするたびにファンを悶えさせ、結果、SNSにいろいろな画像や動画が流れている。
ドラマではSibはGeneより年下だったけど、実際に演じているKaoとUpは同い年。ライブなどでの二人の様子を見ると、ドラマではきっちりと役を演じていたんだなぁ……と感心してしまう。特にSibを演じたKaoの天然さときたら!
現在、二人はYouTubeで『KaoUp The Next Journey』を不定期で配信中。
注:この記事の投稿(2021年)後、Kaoはタイの大手テレビ局・CH3と契約し、Upは芸能事務所・プロダクションを立ち上げ、2026年現在は2人での活動はしていません。上記のYouTubeチャンネルも更新されていません。
ドラマ内ではSibGeneであり、ドラマを離れるとKaoUpと呼ばれているけれど、時にUpKaoに思えるのが、個人的に最高に好み。
そして実はドラマ内で、「BLドラマでは、カップルは本当に恋人なんだとファンに思わせないといけない」というSibのセリフがあるので、KaoとUpの仲の良さに、ムリしてないよね……?と内心ヒヤヒヤしているのはここだけの話です……。
12. こだわりぬいた演出に脱帽
「この作品について自分はとても頑固だった」とTee監督自ら明かしているように、WeTVのBehind The Scene(BTS)を見ると、確かに監督がかなりこだわって細かく演出しているのがよくわかる(このBTSを見るのがまた楽しみの一つ)。
抱き合ったときの手の位置、キャスト同士の立ち位置やセリフの言い方など、本当に細かいところまで演技指導していて、こんなに微細に指示するのかと驚かされるし、カメラアングルや効果音(タイドラおなじみ!)、BGMなどへの強いこだわりも伝わってくる。

原題の『10まで数えてあなたにキスする』に絡めて、ドラマの中でたびたび、10までカウントするシーンが使用されているのもよい。
とにかく、どう見せたいのか、そのためにどうするべきなのか、(当たり前なんだろうけど)ハッキリとしたビジョンが監督の中にはあり、それを形にして見せてくれたんだなぁと感じ入った次第。
納得できるまで何度も撮りなおしたとのことで、使われていないシーンもある模様。でも、撮ったシーンのどれを使ってどれを捨てるか、厳しく吟味された結果が、わたしが見ているドラマなんだなと思うと、素晴らしい素敵凄いブラボー!の言葉しか出てこない。
エンディングは見る人に解釈の余地を残すけれど……
ドラマのラストもかなり凝っていて――Geneの小説のエンディングをめぐり、白雪姫やシンデレラ、さらにバズ・ラーマン版『ロミオとジュリエット』のラストシーンのLovely Writer風パロディを楽しめる。またしても深夜なのに大笑いさせられちゃったよ……!
そしてSibとGeneのキスシーンで終わりかと思いきや、場面が変わり、レストランを訪れたSibとGeneを見ては、何やらメモしている女性が登場するのだが――実はその女性、『Lovely Writer』の作者であり、作品のドラマ化についての電話がかかってきたところで、ドラマは終わるのだ――。
え、じゃあ、SibとGeneの物語は、ドラマの中で小説をドラマ化していたってこと!? まさかの夢オチ的な!? いや、そもそもこのドラマは『10まで数えてあなたにキスする』という小説のドラマ化で――あああ、こんがらがりそうになる!
――公式から、「こういう意味ですよ」とか「こういう解釈です」といったアナウンスは出ていないので、観た人に解釈を任せているとみられるエンディング。個人的には、ドラマを観終わった後はどう受け止めればいいのかわからず、ちょっと混乱していた。
でも今は、こんな風に自分なりに解釈している――『Lovely Writer』のあのエンディングは、いくつもの"物語の終わり方"を示してくれたものなんじゃなかろうか、と。
Geneの小説のエンディングをめぐるパロディは、小説="SibとGeneの物語"は、ハッピーエンド(白雪姫、シンデレラ)でもバッドエンド(ロミオとジュリエット)でもなく、「まだ物語を終わらせたくない」とSibが言ったように、まだまだこれから先も続いていくことを暗示しているように思える。
では、ラストに『Lovely Writer』の作者が登場したシーンはというと、SibとGeneというカップルがドラマの世界に実際にいて、その二人に萌えていたShipper(作者)が二人をモデルに『Lovely Writer』という作品を書いた――ということなのかなぁ……と。だって、作者のPCの背景画像、SibとGeneなんだもの。
考えていると、パロディと作者登場の間の、GeneとSibのキスシーン(いったん、ここで完全に終わりに見える)は、一般的なドラマの終わり方を見せてくれたようにも思えてくる。

Tee監督のことだから、あれこれ捻りを効かせているのは間違いないと思うんですけどね。
さて。
超絶に長くなったけど、なにかまだまだ言い足りない、書き足りない気がしてならない。それほど、『Lovely Writer』は心に残る作品だったし、何度も見返したくなる作品、そして見返すたびに新しいことに気づかされる作品だった。
もう、オープニング曲の『ONE TO TEN』(Gavin.D)もキャッチーで脳内をグルグル回るもんだから、思わずダウンロードしちゃったもんね。
DVDやBDが発売されたら絶対買おうと決めているし、コロナが収束した暁には、上映会をしてぜひとも友人たちと盛り上がりながら見たい!
――そうね、コロナが蔓延しているこの閉塞した窮屈な生活の中で、『Lovely Writer』は楽しみや癒やし、慰めをくれたものの一つなのは間違いない。ありがとう、『Lovely Writer』。

U-NEXTやVPNを利用できないなら、YouTubeのHIGHLIGHT動画だけでも見ていただきたく……!
わたしはもちろん、また何周目かの『Lovely Writer』を楽しみます。
