【ロンドン現地校 vs アムステルダム日本人学校】リアルな5つの比較
こんにちは!前回のケニアサファリ編に続き、今回からは我が家の「子供の教育」にスポットを当てていきたいと思います。
本格的なイギリス子育て奮闘記に入る前に、まずは我が家が幸運にも経験することのできた「イギリス(ロンドン)の現地校」と「オランダ(アムステルダム)の日本人学校」のリアルな比較についてお話しさせてください。
我が家の子供たちのユニークな経験
我が家には3人の娘がいます。
ロンドン時代: 同じ現地校に、スクールナーサリー、キーステージ1(低学年)として入学し、4年半じっくりと通いました。比較的良いエリアと言われているChiswickエリアのState Schoolです。日本語を維持するために、土曜日はロンドン日本人学校補習校に通っていました。
アムステルダム時代(現在): 転勤に伴いオランダへ引っ越し、現在はアムステルダム日本人学校に通い始めて約3ヶ月が経とうとしています。
イギリスの教育どっぷりの環境から、一転して日本の教育環境へ。このダイナミックな変化の中で見えてきた、両者の違いを「5つのポイント」で比較していきます。
1. 【子供たち】
あらかじめ担保された「多様性」vs 価値観を共有する「同質性」
イギリス現地校(多様性): ロンドンの学校の教室は、まさに縮小版の世界そのもの。人種、宗教、バックグラウンド、第一言語が異なる子供たちが集まるのが当たり前です。そこには「みんな違って、みんな良い」という環境が最初から担保されており、子供たちは自然と多様性(ダイバーシティ)を肌で学んでいきました。クラスの中には、中国人、タイ人、ベトナム人などアジア人もいましたが、アジア人だけのお友達で固まることは全くなく、国籍に関係なく気の合う友達と一緒に過ごす、という事が自然に出来る子供たちを見て、大人も頑張らなくては!という気持ちにさせてくれました。週末の誕生日会が頻繁にあり、プレイデートなど親御さん同士のコミュニケーションが頻繁にあり色々と大人も勉強になる日々でした。日本でよく言われる「〇〇人は〇〇だよね。」という国籍でひとくくりにして批判するのを耳にします。私も昔はそのように話をしていたことを反省します。スコットランド人でも非常に穏やかなパパもいますし、中国人でも親日でどの人種にもフレンドリーなパパもいて、トルコ人でもエンジニア気質のおとなしいパパもいます。日本でもいろんな性格の人がいるように、同じ国籍の中でも、様々なタイプがいることを忘れて、国単位で偏見を持つのはやめようと学びました。
日本人学校(同質性): 一方で、アムステルダムの日本人学校は「日本」という共通のバックグラウンドを持つ子供たちの集まりです。一見、多様性とは逆に見えますが、同じ言語、同じ文化的価値観をベースに持っているからこそ、深い部分での「共感」や「価値観の共有」がスムーズに生まれます。お互いの前提を説明しなくても分かり合える、安心感に満ちたコミュニティです。平均的に教養レベルが高く、才能が突出している子もいますし、よく海外の子の方が個性的という言われ方をすることもあるかと思いますが、日本の子供たちも非常に個性的に見えます。先ほどの話にも通じますが、「日本人は〇〇だよね。」というようなレッテルを貼るのではなくて、個々人の特徴に目を向ける時代だなぁと実感します。
2. 【先生たち】
ドライ+効率的な2人制 vs ウェット+手厚い1人制
イギリス現地校(ドライ&プロフェッショナル): イギリスでは、クラスに「担任(Teacher)」と「副担任(Teaching Assistant)」の2人体制が基本。1人に大きな責任や時間が集中しないよう、上手く負担を分散させている印象でした。先生たちのスタンスは、過度に生徒に寄り添うというよりは、定時にきっちり帰る「ドライでプロフェッショナルなビジネスパーソン」。夏休みなど休暇もしっかり取ります。びっくりしたのは、教員の組合がストライキで週2回学校が休校になりました。日本人の感覚からすると、そんなこと許されるのか?という感じですよね。笑
日本人学校(ウェット&圧倒的な時間と手厚さ): 日本の先生はとにかく「ウェット」で情が深いです。生徒一人ひとりに深く寄り添ってくれますが、その分、先生が背負う責任や業務量は膨大。毎日のプリント、親への細やかな報告など、ケアの手厚さは素晴らしいの一言です。ただ、その分「日本の先生の方が、圧倒的に自分の時間を削って子供たちに捧げてくれているな」という印象を受けます。もちろん、先生次第で多様なタイプがいることは承知していますが、ベースラインとして、明らかに、子供たちのために自分の時間を捧げているケースが多いと思います。
3. 【カリキュラム】
多角的な現代スキル vs 徹底された基礎学力
イギリス現地校(多角化・現代的): 1年生(Year 1)の頃から、宗教教育(RE)やプログラミング(DT)など、浅く広く様々な要素を組み込んだカリキュラムに感じました。また、ナーサリー~レセプション~Year 1ぐらいまで、徹底的にフォニックスをしっかりと学びマスターさせてくれます。日本人の英語力という意味では、今後財産になること間違いなしです。やはり、英語はフォニックスから入るのが子供たちにとって最も良いと感じます。発音が綺麗になるという単純な意味ではなく、子供のうちから自分で英語の本を読めるようになる、英語のテレビを理解できるようになる、というレベルになることが重要です。その生活に慣れて、姉妹と友達と英語で遊ぶようになり、そこからは勝手に大人より英語が上手くなっていく印象です。はじめの一歩という意味で、フォニックスをマスターするのが要諦だと実感しました。計算など「基礎学力」の徹底という意味では、子供の得手不得手でレベルを分けるので、学力差が必然的に生まれる構造かもしれません。
日本人学校(伝統とアップデートの融合): 日本のカリキュラムは、とにかく「基礎学力の徹底」がズバ抜けています。昔ながらの伝統的な学習プロセスがあり、非常によく考えられた構成になっています。集団授業で古臭いという批判はあるかと思います。確かに授業スタイルをアップデートするのは一理ありますが、カリキュラムは長年教育委員会が考案した歴史を感じる、非常によくできた内容だと改めて思います。しかも、教科書も時代に合わせてアップデートされており、親が見ても「すごく分かりやすいな」と感心させられます。単純にカラー印刷で視覚的に飽きないですね。
4. 【授業スタイル】
教科書なしのアウトプット型 vs 洗練された教科書+α
イギリス現地校(教科書なし・アウトプット重視): イギリスの学校には、いわゆる一律の「教科書」が存在しません。先生が指導要領に沿って用意した最新のプリントが配られ、それをベースに授業が進みます。授業中に書く自分たちのノートこそが「世界に一つの教科書」になり、自らアウトプットしながら知識を定着させていくスタイルでした。Parents Evening(いわゆる二者面談)で初めて子供が書いているノートを見るのですが、驚くほど、綺麗に纏められています。筆記体が堪能すぎて読めないことが多々あります。笑
日本人学校(集団一方通行+現代的ユニークさ): 基本は、洗練された教科書を使った「先生から集団への一方通行(レクチャー型)」の授業とテストがベースです。しかし、ただ静かに聞くだけではなく、授業中の発言も活発。特に若い先生やクラスによっては、伝統的なカリキュラムをベースにしつつも、非常にユニークで考えられた指導スタイルにアップデートされているなと感じます。それと、学校からのお知らせや時間割がしっかりと親に情報共有されるので、子供が何をやっているのか明確であることに感心しました。イギリスの学校からはそのような親への配慮はほぼ無いので、子供からの情報と学期末の二者面談しかありません。
5. 【行事・食育・衛生】
大らかな自由 vs 几帳面な手厚さ
イギリス現地校(かなり大らか、というか野生?):
運動会: ある程度の枠組みやルールはありますが、あとは子供たちが実に自由に行います。障害物競争などもきっちりしたルールはなく、「まぁ、なんとなく形になってゴールできればOK!」という大らかさです。
食育・給食: 日本の基準から見ると、正直かなり手薄です。おやつに「りんごが丸ごと1個ドスンと渡されるだけ」なんていうのは日常茶飯事。
衛生面: 学校で手洗い・うがいの習慣をほとんど教えないため、子供たちはしょっちゅう風邪を引いて帰ってきていました(笑)。
日本人学校(ずば抜けた質の高さと几帳面さ):
運動会: 日本の運動会は本当に几帳面。ルールが隅々まできっちり決まっており、そのルールの中で全員が一丸となって競技を行います。
食育・給食: 日本の給食の質は、イギリスに比べてずば抜けて素晴らしいと思います。(アムステルダム日本人学校は給食が無いので、一時帰国した際の友人からの情報。)栄養バランスはもちろん、食べる楽しさや感謝を教える「食育」がしっかりと行き届いています。
衛生面: 手洗い・うがい、整理整頓といった生活習慣の指導もしっかりしており、親としての安心感が段違いです。
まとめ:0か1かで考えるのではなく、「どちらも経験できる」という理想
こうして5つのポイントで比較してみましたが、私が一番お伝えしたいのは「イギリスと日本、どちらの教育が優れていて、どちらが劣っているか」という話では絶対にないということです。
白か黒か、0か1か、ではありません。 どちらの教育にも、それぞれの良さがあり、それぞれに補うべき課題があります。大切なのは「双方のバランス」なのだと、娘たちの姿を見ていて痛感します。
理想を言えば、「どちらか一方だけを受け続けるのではなくて、どちらも経験させること」。
イギリス現地校で多様性に揉まれ、大らかな環境で自立心とアウトプットの土台を築く。そして日本の教育で、深い基礎学力、几帳面さ、そしてお互いを思いやる細やかな協調性を学ぶ。この両方のハイブリッドこそが、これからの時代を生きる子供たちにとって最高の財産になるはずです。
環境の変化にしっかりと適応し、それぞれの場所の「良いところ」を吸収して輝いてくれている娘たちを見て、我が家は本当に幸運な機会に恵まれたなと感謝する日々です。
