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AIが変えるのは裁判ではない。「分譲マンション」のビジネスモデルだ。

朝日新聞で興味深い記事が掲載された。

「弁護士をつけず、生成AIだけで訴状の8割を書いて提訴した男性」

請求額はわずか3万円。

ニュースだけを見ると、「AIで裁判ができる時代になった」という話に見える。

しかし、私が本当に衝撃を受けたのはそこではない。

分譲マンション業界のリスク構造が変わるということだ。

内覧会は「品質確認」から「証拠保全」の場へ


マンションの内覧会では、

* クロスの傷
* フローリングのへこみ
* 建具の建付け
* タイルの欠け
* コーキング
* 水回りの不具合

など、多くの指摘事項が出る。

これまでは、

「直します。」
「分かりました。」

で終わることが多かった。

しかしAI時代は違う。

購入者はその場でスマホを開き、

「これは契約不適合責任になりますか?」
「補修ではなく交換を求められますか?」
「写真はどのように撮れば証拠になりますか?」
「内容証明を作ってください。」

とAIへ相談できる。

つまり、

内覧会が”品質確認”から”証拠保全”の場へ変わる可能性がある。

訴訟のハードルは一気に下がる


これまで本人訴訟の最大の壁は、

「訴状が書けない」

ことだった。

AIはこの壁を壊した。

しかも、

* 24時間相談できる
* 無料
* 書類まで作ってくれる
* 「あなたは間違っていません」と背中を押してくれる

心理的ハードルまで下げてしまった。

勝てるかどうかは別だ。

しかし、

「訴える」という選択肢が現実になる。

ここが大きい。

本当に困るのはディベロッパーではない


もちろんディベロッパーのクレーム対応コストは増える。

しかし、その先にいるゼネコンへの影響はもっと大きい。

例えば、

* 補修工事の増加
* 品質管理の強化
* 写真・検査記録の保存
* 訴訟対応
* 証拠提出への協力

こうしたコストは、最終的に施工会社にも降りかかる。

ゼネコンはますます仕事を選ぶ


現在でも、

* 建設技能者不足
* 建設費高騰
* 働き方改革
* 再開発案件の増加

により、

ゼネコンは受注を選べる時代になっている。

そこへ、

AIによる紛争リスク

まで加わる。

利益率が低く、

クレーム対応が増え、

法務リスクも上がる。

そんな案件を積極的に受けたいゼネコンは増えないだろう。

結果として、

「分譲マンションは今まで以上に請けてもらえない商品」

になっていく可能性がある。

マンション価格はさらに上がる


マンション価格は、

「土地価格」

だけで決まるわけではない。

建設費も重要だ。

そして建設費は、

人件費だけではなく、

リスクの価格

でもある。

AI時代は、

施工品質への要求水準が上がり、

クレーム対応コストが増え、

法務リスクも増える。

そのリスクは最終的に価格へ転嫁される。

つまり、

AIは裁判を変えるだけではない。

マンション価格そのものを押し上げる要因にもなり得る。

最後に


多くの人は、

「AIで弁護士が不要になる」

という議論をしている。

私はそうは思わない。

AIが変えるのは弁護士ではない。

「泣き寝入り」を前提としていた社会の仕組みだ。

そして、その影響は法曹界だけでは終わらない。

分譲マンションという巨大な産業も、AIによってビジネスモデルの見直しを迫られる時代が始まっている。

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