えむのマイトンさん『週末探偵とヴィータバンドの影』感想
※ネタバレはありませんので、お気軽にお読みください。
僕は「伏線を張ること」が苦手だ。
そして、「ミステリを書くこと」も苦手だ。
その両方を見事にやってのけているのが、マイトンさんの小説『週末探偵とヴィータバンドの影』だ。
ミステリというと、どこまでも重厚になりがちである。
だがこの作品は、探偵役である響を飄々とした「軽い」人物にすることで、誰もが読みやすいポップさが漂わせることに成功している。重厚な作品が悪いというわけではないが、僕はこうした作品の方が好みだ。東川篤哉氏や、赤川次郎氏の作品が好きならば、マイトンさんのこの作品はツボだと思う。
なお、響の人物像について深く掘り下げると盛大なネタバレになるのでやめよう。そこについては、ご自身の目で確かめていただきたい。
また、相棒役となる剛士もいい。響のような人間の相棒には、実直すぎるくらいの方がいい。ミステリのバディは、正反対の二人に限る。なお、これは僕の好みの問題だ。
作品全体に漂う雰囲気は軽やかだが、事件そのものは決して穏やかではない。
身に付けていると、健康についての様々なアドバイスをくれる「ヴィータバンド」。ひとりの老人の不審死をきっかけに、そのヴィータバンドの周囲で事件が起きていく。
マイトンさんの知識量も相まって、事件そのものは怖ろしいほどにシリアスに仕上がっている。単なる「AIデバイスが関与した事件」を描いた作品にならないのは、マイトンさんの知識に裏打ちされた、圧倒的なリアリティあってこそだろう。
事件の背景、核心については、ご自身の目で確かめていただきたい。
ただ僕が言えるのは、この作品を読んで後悔することは絶対にないということ。そして、読後にはあなたも、何度でも『週末探偵』に会いたくなるということだけだ。
叶うことならば、僕はこの先も響と剛士の活躍(そして、二人のかけあい)を見たいと思う。
ミステリとして、そしてコメディとしても上質なこの作品が、より多くの読者の目に触れることを、心より願う。
マイトンさん
勝手に感想を書かせてもらいました。
もしご迷惑でしたら取り下げますので、ご一報ください…。
個人的にはシリーズ化を希望しています。とこっそり書いておきます。
素敵な作品をありがとうございました!
何度も読み返させてください。
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