我が家では、ヒ素ミルクをつくるような森永製品の取り扱いを一切禁止に!

 「森永製品を今後一切、買わないことを誓います」――。ヒ素が混入した粉ミルクを飲んだ乳幼児が健康被害にあった森永ヒ素事件。ヒ素ミルクを飲んで脳性麻痺となった女性が、事件を引き起こした森永乳業に対して追加的損害賠償を求めた民事裁判で、除斥期間を過ぎていることを理由に原告の訴えが退けられた。森永は、引き続き被害者救済を続ける、とのコメントを出した。その一方、裁判では、自ら「除斥期間」を援用(権利を主張)することで追加的賠償を逃れる、という二枚舌を使った。これは人道主義に反する反社会的な言動といえる。似非偽善者である点を自ら暴露した等しい。同社の社員らは、自社製品であれば、ヒ素入りの商品と分かっていても手にしたのだろうか? 自分の子どもにそのようなことがあっても、除斥期間だから仕方がない、とあきらめるのだろうか?

 森永の商品には、どんな“毒物”が入っているのか分からないので、食べるに値しない。乱暴な例えかもしれないが、意図的に毒を入れれば完全な犯罪になる。言葉遊びになるかもしれないが、意図的である、ということは、意図しないこともできる。だが、意図しない異物混入というのは、製造現場でコントロールするのは難しく、そのリスクを回避できない可能性が高い。要は、リスクをコントロールできない、という状態だ。その点で、森永ヒ素事件はまさに、プロフェッショナルとしての力量が問われるはずのメーカーにとっては最も恥ずかしい、起こしてはいけない事故を招いてしまった、といわけだ。

 もちろん、会社は個人のものではなく、あらゆるステイクホルダーが関わっている。株主の手前、手放しで金銭を供与するのは背任行為になるかもしれない。だが、弁解の出来ない自らのミスにより、人の一生を奪っておきながら、自分たちの権利ばかり主張するのはエゴでしかない。もちろん法的には問題ないかもしれないが、人道的にはかなりレベルの低い人たちが経営していることをさらけ出す結果となってしまった。そんなくだらない人間たちつくるような製品は口にしたくない、というのが素直な反応だ。また、毒ミルクでも飲まされかねない。もちろん、筆者は消費者と言っても1億2千万分の1でしかない。いや、妻には「我が家では森永製品を絶対に買わな」と申しつけた。森永乳業経営陣に通じている人物もよく知っている。その人にも、縁を切るように勧めるつもりだ(私と縁を切りたくなければ)。

 年を追うごとに障害の重度が上がっている原告は、森永に誠心誠意謝ってほしくて訴えを起こした。被告が積極的に「除斥期間」を持ち出し、結果責任を回避しようとする姿勢を見せつけられ、落胆したことは想像に難くない。患者の思いを踏みにじる行為は絶対に許せない。筆者も憤りを隠せず、同社を社会的責任からほど遠い企業と烙印を押したい思いだ。

 そもそも除斥期間って変な制度だ(筆者も一応、法学部であり制度そのものは知っているが)。仮に法律関係の安定のためにある、としても、一律に援用できる、というのはいかがなものか。その点、除斥期間を認めた裁判官の良識も疑われる。人の身体にかかわる場合にはもう少し、考えて判断してもらいたいものだ。控訴審で再度問い直されることを期待したい。

 最後に、もう一度言う。“毒”入り飲料をつくるようなメーカーの製品は絶対に買わない。