【感情の箱】愛に色があるなら
愛は赤い。
真っ赤に熱く燃えたぎり、大きく強く近寄り難い。口にするには熱すぎる。受け取るには畏れ多い。
「愛している」と言葉にしたことは1度もなかった。言われた時には拒絶した。
軽々しく「愛」という言葉を口にしてはいけない。そう信じていた。
愛とは何か探していた。私の中には愛が見つからない。誰にも言えずに、そう思っていた。
子を産み母となれば、自然に愛が湧きでるだろう。私でさえ愛を知れるだろう。そう思っていた。そして私は子を産んだ。
私がいなければ生きてはいけない、小さな命を腕に抱く時、私のまわりはあたたかだった。
窓から光が降ってくる。さらさら動く風の音がする。景色がやわらかに見える。
毎日が嬉しかった。歓びだった。
小さな命に守られたのは私だった。生きよ、と励ますのは、我が子の泣き声だった。
光は黄金。無垢は白。それから、命の色はサーモンピンク。
言葉や感情を色にして想像するのは自然だった。けれど、愛は赤だと決めつけていたから、私の中に、愛を見つけることはできなかった。
ある日、何がきっかけだったか忘れたが、私の中の母への怒りが爆発した。
ぱちぱちと爆ぜていた小さな炎たちが、急に大きく燃え上がった。
激昂して泣き叫びながら、私は赤色に包まれていた。
この怒りは赤。大きくて強い。何かに似ている。愛と似ている。どうして。
赤は愛。勇気、情熱、力、それから、怒り。
この大きく強い怒りの中に、もぐりこんだらなにがあるだろう。
ブルーグレーの小さな欠片が散らばり積み重なっている。悲しみ。不安。寂しさ。涙。
それらを燃料にして、私の赤は、今激しく燃えている。
その怒りが鎮火するまでには、ずいぶんと時間がかかった。しかし同時に私は、赤い愛とも和解した。
赤でおおわれた愛の中にもぐってみたら、そこはサーモンピンクの世界だった。
その中を、ゆったりとただよってみる。
この世界を守っていた私の赤は、ゆっくりとうちに溶けてにじんでいく。
やわらかなサーモンピンクを、ほんのりと熱く染める。
それはあの日の命の色。あたたかい生命のぬくもり。生きるから生きよ、と泣く命の叫び。ただ、そこに在るよろこび。
『あなたの命が、今ここにあること』を喜び、
『私の命も共に、今ここにあること』が嬉しい。
それが私の愛だった。
あなたとめぐり逢えて、「今ここ」に一緒にいられることが、幸せで大切で愛おしい。
私の愛は、言葉では渡せない。目には見えない。聞こえない。だけど強くあたたかい。
私の中に、愛はあった。
ことばとさん主催の #モノカキングダム2025
にエントリーさせていただきました。
このテーマに向き合ったおかげで、ずっと探していた「あい」について、ようやく言語化できた気がしています。ありがとうございます。
みなさまの、愛の色も知りたいです。
エントリーされている方の作品を、よんで楽しませていただきます!
ことばとさん、ありがとうございます。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします!もっともっとはげみます✨️