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【るい旅②】梅の一大産地・和歌山のみなべ町は想像以上に魅力あふれるところでした!

「食材が生まれるところに行ってみたい」
3人旅は、スーシェフるいちゃんの、このひとことで始まりました。私たちは、生産者さんを訪ねる旅で出会った、おいしいもの、楽しいこと、すてきな人たちの魅力をお伝えしています。

この日の南紀白浜は曇りときどき小雨

6月上旬、台風が去った翌日に、和歌山県の南紀白浜に向かった私たち。

今回の旅の一番の目的は、梅の栽培から梅干しの製造・販売まで手がける「梅ボーイズ」さんを訪ねることです。

「梅ボーイズさんの梅干しは、塩味と酸味がしっかりしているので調味料にもなるんです。それに和歌山は、料理の火入れに使っている備長炭も有名なので楽しみ!」と、るいちゃん念願の和歌山旅が始まりました。

梅ボーイズさんは、ご実家の梅農家を継いだ山本将志郎さんが運営されています。
梅農家が梅干しの製造・販売まで行うことはあまりないそうですが、自分たちが育てた梅が梅干しになるのを見届けたいという思いで、「梅ボーイズ」を立ち上げたそうです。

今回、いろいろなところを案内してくださったのは、広報ご担当の角田さん。
収穫のピークに台風にみまわれてお忙しいなか、とっても親切にご対応いただきました。
「梅ボーイズを知ってくださったのはなぜですか?」と、角田さん。
「以前、料理コンクールに参加したとき、もともと好きだった梅干しを使うことになって、いろいろ調べているうちに、昔ながらの梅干しを作られている梅ボーイズさんに行き着いたんです」
最近、スーパーなどに並んでいるのは、はちみつ漬けや塩分控えめタイプが多いですが、梅ボーイズさんは“梅本来の味がする梅干しを残したい。それが日本の食卓にも農業にも大事なこと”という考えで、塩と紫蘇だけで漬けた梅干しづくりを行っているそうです。

とても広い梅畑

梅ボーイズさんは、和歌山県日高郡みなべ町を中心に、複数の畑で南高梅を栽培されています。今回はその中のひとつに連れて行ってもらいました。
最近は“梅干し離れ”と言われていて、梅干しの消費量は減っているとか…。
そんな状況を憂いた山本さんは、耕作放棄地を引き継いだりしながら畑を拡大して、梅干しを広める活動をされています。
「ここ数年は不作が続き、今年の梅の収穫量は例年の5割程度と言われていますが、梅ボーイズはそこまで影響を受けていないんです」と、角田さん。
山本さんが、近年の気候変動に左右されない栽培方法を試行錯誤されているそうです。
「社長さん自ら、いろいろなことにチャレンジされているんですね」
「オーストラリアやインド、イタリアなど海外をまわって、各国の農業の知見を取り入れたりしながら勉強していますね」

熟した梅がシートの上にポトポト落ちてくる
陽が当たって赤くなっている部分は
"太陽にキスされたところ”!

角田さんが案内してくれた畑に入ると、濃密な香りが漂っていました。
「一般的にスーパーなどで売られている青梅は、枝からもいで収穫しますが、その後、完熟して自然に落下した梅は、青梅を追熟させたものよりやわらかいんです。
“超完熟梅”は、よりやわらかくて傷つきやすいので、普通のスーパーには並びません。だからこそ、一番おいしい最高の状態のまま、畑から直接個人の方へお届けしています」
落ちた梅の色や大きさ、やわらかさ、傷などをひとつずつ確認しながら拾い、その日のうちに発送されていて、なんとこの日は午前2時まで作業されていたそうです!!

とても大きく立派な果実に驚きでした…!
コレ!というのを見つけるのはなかなか難しいのです

お話を聞いている間にも、あちこちでポトポトと梅が落ちる音。
私たちも角田さんに教えていただきながら、収穫させてもらいました。
「帰ったらさっそく梅酒を漬けます!」
オレンジやスパイスを使った梅酒のレシピはInstagramでご紹介しているので、そちらもチェックしてみてください!

そのまま食べると
顔がキュッとしぼんじゃうほど酸っぱい!

梅干しづくりの作業場も見学させてもらいました。今は、去年収穫した梅を塩漬けして熟成させたあと、塩を洗って乾燥させているところだそうです。
「梅干しは、どんな料理に使われているんですか?」と、角田さん。
「梅干しの塩味と酸味を活かしてガスパチョに加えたりしています。魚介とも相性がいいので、今は牡蠣と合わせる料理も考えていて…。梅酢も万能で、鯛をしめるときにも使っています」
梅干しのポテンシャルは無限大!
地元のおばあちゃんが作ってくれる梅びしおや、青梅のみそ漬けなども絶品だそうです。

紫蘇漬けに使った紫蘇は乾燥させてふりかけに!
梅酢の入ったタンク
とても美しい梅干し

梅の栽培と梅干しづくりを通して、伝統文化の継承や地域の活性、雇用の拡大などに貢献されている梅ボーイズさん。
社長の山本さんは北海道大学卒業で、初代教頭クラーク博士の「Boys be ambitious(少年よ、大志を抱け)」という言葉が「梅ボーイズ」の由来のひとつとお聞きしました。
その思いに心を動かされた人たちが各地から集まってきて仲間入りし、会社も大きくなった今、“梅仕事”という日本の文化を海外に広めたいという思いもあるそうです。

あの独特な風貌にしてはさっぱり味

余談ですが、畑からの帰り道、
「このお店のウツボの唐揚げがおいしいんですよ~」と、角田さんが教えてくれたお店でランチしました。残念ながら唐揚げは売り切れで、ウツボのたたき定食を。
ウツボ料理は、四国や紀伊半島辺りでは親しまれているようですが、私たちは初体験でした。さっぱりした味で、ほどよい弾力があっておいしかったです!

とってもキュートな角田さん、ありがとうございました!
備長炭の原木になるウバメガシの苗。
成長するまで25年!

梅と並ぶ、この地域の伝統的な特産品が紀州備長炭です。

梅ボーイズの山本さんは、梅の栽培に深く関わる耕作放棄地の再生のためにも、備長炭の原木になるウバメガシの苗を育てて植林するプロジェクトも手がけています。

備長炭に魅入られて炭づくりをされている
"みっちー”こと中村道太郎さん

炭づくりのスタッフさんもいるということで、窯のある作業場を見せてもらうことになりました。
熟練の炭焼き職人から技術を学び、備長炭づくりを継承していくことも、梅ボーイズさんの目標だそうです。
初めて炭焼きを見る私たち。
ワクワクドキドキしながら窯に入ると
「気軽にみっちーって呼んでね!」と、なんて気さくな中村さん!!

窯の裏山のウバメガシ
この窯に約2トンの原木を詰める!
見ていると癒される炎

みっちーさんに、備長炭づくりの工程を教えてもらいました。
まず、急な山の斜面から原木を切り出してくるところから始まります。その原木を立てた状態で窯に詰め、レンガと土でふさいだ窯口で火を炊くと、窯の中の原木が自然着火して水分が抜けていき、さらに数日間炊くことで炭化します。その後、窯口を開けて空気を送り、樹皮が燃えて赤熱したら窯から出し、灰をかけて消化します。
……と言葉にするのは簡単ですが、ひとつひとつの作業に大変な労力や知恵やワザが詰まっていて、ウバメガシで質のいい備長炭を作るためには4週間かかるといわれているそうです。

三角形のドームのような窯の天井も見せてもらいました。火穴から出る煙の香りで、窯の中の木の状態を見極めるそうです。
みっちーさんのお師匠さんいわく、
「しょうゆのような匂いからオイスターソースのような匂いに変わっていく」とか。

「備長炭は他の炭より断然長持ちするので、お店でも毎日使っているんです」
「太い炭を割ったものと細い丸炭と、どっちがいいのかな?」と、みっちーさん。
「私は、使い勝手のいい細い丸炭を好んで使っています」
「実際に炭を使っている人の話を聞けるのはうれしいよ~」
と、作業中に突然お邪魔した私たちに、こちらこそ、うれしいことを言ってくれたみっちーさん。なんと、そのうえ、
「鶏のせせりを炭火で焼いて、梅酢で食べるとおいしいよ!」
と、ご自宅から七輪と食材を持ってきて手際よく火をおこし、ごちそうしてくれました!

炭焼き窯の前で食べた炭火焼の焼き鳥は、
香ばしくって忘れられない味。
梅ボーイズさんの梅酢との相性も最強でした!!
パイプが似合いすぎるみっちーさんと、
さりげなく飾られていた野の花
雨もまた美しい山の景色
みっちーさん!ありがとうございました!

梅ボーイズ広報ご担当の角田さんにお聞きしました!
「生産者さんの夕べのごはん」
・アジフライに梅ボーイズの練り梅をトッピングしたもの(おいしそう!)

るい旅レシピ②
梅干しとシラスのタルトフランベ
るい旅では、訪れた土地の食材を使ったレシピを紹介します。
今回は、梅ボーイズさんの梅干しとフロマージュブランを混ぜたペーストを生地に塗って焼くタルトフランベです。

和歌山はシラスも有名ですよね!

梅干しとシラスのタルトフランベ
材料(約30✖20㎝の楕円形2枚分)
<生地>
・強力粉…200g
・塩…4g
・砂糖…3.5g
・ドライイースト…4g
・ぬるま湯…80m
・卵…1個
・バター…50g
梅肉…20g
フロマージュブラン…150g
シラス…200g
枝豆…30粒
九条ネギ…2本分

作り方
1 40度ほどのぬるま湯にドライイーストを入れ混ぜ、砂糖と卵を加えてさらに混ぜる。
2 こね台の上で強力粉と塩を混ぜ合わせ、1を加え、混ぜてひとかたまりにする。
3 手につかず、表面がつるんとなるくらいまで練る。
4 室温にもどした、やわらかい状態のバターを練りこんでいく。
5 ボールに入れラップをして、約30度のところで30分おく(一次発酵)。
6 生地を発酵させている間に梅肉を包丁で細かくたたき、フロマージュブランと混ぜ合わせる。
7 枝豆は塩ゆでしてさやから出す。九条ネギは斜め薄切りにする。
8 5の生地が2倍ほどに膨らんだら、手で押してガスを抜く。二分割して丸め、再度約30度のところで30分おく(二次発酵)。
9 8の生地を手で押してガスを抜き、それぞれめん棒で厚さ5㎜程度の楕円形にのばす。
10 生地の縁から1㎝ほど残して6を均一に塗り、シラス、枝豆を散らす。
11 220度のオーブンで15分焼き、九条ネギをのせ、さらに3分焼いたら完成。

次回は、和歌山で泊まったすてきなホテルとビーチ散歩、しょうゆの香り漂う湯浅町散策の様子をお伝えします! 

▼お世話になった梅ボーイズさんのInstagram

▼梅ボーイズさんの公式ショップ

▼梅ボーイズさんのYouTube

写真/山田智絵 文/草柳麻子