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名古屋から3時間のガチ離島に行ったら感動したのでひたすら語る紀行録。

さあ、タイトルを見て今回の舞台がどこか予想してみてくれ。

Q. 日間賀島?
A. いいえ。

Q. じゃあ篠島。
A. 残念。

Q. 竹島?
A. でもない。

答えはここ、

神島だ。

Q. どこやねん

そらそうだ。神島この島を知っている人は少ないだろう。橋や観光フェリーで行けるような観光地ではないからだ。

つまり私が好きなやつだ。

これは、そんな神島へ弾丸旅行に行った夏の記録である。


いつも通り早朝から多治見を発つ。
特急とバスを乗り継いで5時間かけて伊良湖へ。
あ、いや、5時間ってのはタイトル詐欺ってわけじゃなくてですね。

伊勢湾の入口にある神島へ向かうには2通りの方法があって、行きは渥美半島を横断する右側のルートを採ったからこうなったんです。
だからちゃんと3時間で行けます!

そして、伊良湖岬へ到着。
灯台の右側に浮かぶのが神島だ。

ここまで来ればあと少し。

フェリーターミナルへ向かう。神島行きの次の便は…
3時間後。
いや遠いわ!!

灯台くらいしか見る物もないのに3時間はさすがに待っていられないので、
一旦神島を通り過ぎて鳥羽へ向かう便に乗ることとした。

伊勢湾フェリー。こう見えて国道だ。
俗に言う海上国道という奴である。

このフェリーは神島を経由しないため、泣く泣く通り過ぎることになった。

実は、神島へ向かう航路は2本ある。
片方は今諦めた伊良湖から向かうルート、そしてもう片方は対岸、鳥羽から向かうルートだ。

神島の所属は三重県であるため、どちらかと言えば鳥羽ルートの方が正規ルートである。

だが見ての通り鳥羽ルートのほうが遠いので、できれば伊良湖ルートの方がよかったな…


昼過ぎ、鳥羽にて。

まあ仕方がない、そんなこんなで鳥羽到着だ。
三重の観光地四天王、鳥羽水族館を擁する街だ。残り3つはナガシマ・鈴鹿サーキット・志摩スペイン村だ。伊勢神宮は王。異論は許可する。

サクッと食事や観光を済ませ、帰りの特急のチケットも購入して2時間を潰し、そして、

いざ、神島へ出航だ。


午後二時、神島港にて。

というわけで午後2時半、やっと本日の目的地に到着した。
ここは神島港。
島へ往来する唯一の港だ。

人口250人程度の島ながら乗船者はかなり多かった。およそ30人くらいだろう。
うち観光客らしき人は私たちを含めても10人ほどだった。少ない。

とはいえこれでも増えた方で、丁度先日発売された某有名ゲームパラノマサイトの舞台となったことで、聖地巡礼客が来るようになったらしい。

いちおうモザイク

実際同じ便で来ていた10人の観光客のうち8人はそれ目的らしかった。残り全員じゃん。

いかにも島らしい迷路みたいな集落を進む。
集落は尾根と尾根の間、谷に形成されていた。

恐らくこれが島最大の谷であるため、水の少ない離島ではここに家を建てるのが合理的だったのだろう。
また道と地形との関係性も興味深い。
この島は他の離島と同様に、一切の都市計画なく作られた街だ。しかし、その道を分類してみると面白いことが分かる。

緑が等高線と垂直に、水色が等高線と平行に敷かれた道である。
無計画で乱雑な迷路に見えて、実は最も効率のよい碁盤の目型に自然と街が形成されているのが興味深い。この面白さが分かる人と結婚したい。

ついでにもうひとつ違和感があった。この集落はほぼ漁業で生活しているというのに、「漁村らしさ」が無かったのだ。建物の作りや街の作りが漁業に特化したものではなかったわけだ。

なぜだろうと調べてみたのだが、これまた興味深いことが分かった。
過去の航空写真を漁ってみたところ1960年代の写真が見つかったのだが、

このように、島の多くが縞模様に覆われていた。これは段々畑だ。
そう、神島は昔、半農半漁の島だったのだ。しかし、徐々にそれは減っていき現在では

その殆どが山に還っている。
1976年に出された論文によると、当時は愛知県で許可されていた底引き網漁が神島など三重県では許可されておらず、結果として魚群探知機などの高価な設備を買わなければ愛知県の漁師たちに勝てなかったという背景が見えてきた。

そのため、当時の漁民は高価な船を買うことにお金をかけねばならず、必然的に家庭や子どもにかける資金は母親が漁船漁業以外で負担しなければならなかったそうだ。
それが海女あま・内職・農業だった。
当時の神島の女性は家で家事しかしないのは甘えだと捉えられ、1日中働くことが必要とされた。その結果として農業が女性の仕事として盛んになっていたわけだ。

しかし人口減少や価値観の変化、定期船の増便により選択肢が増えた結果、神島での農業は完全に衰退した…と分かった。

だから家々の構造がどうも漁業特化型の建て方ではないわけだ。
ほら、面白いでしょう?
都市の視点、面白いでしょう??(うざ絡み)


またこの集落を歩いていると、ある違和感を覚えた。
それが、各建物の玄関に掛かっているこれだ。

一見すると正月飾りにも見える。
これが8月にも関わらず多くの家の玄関に飾られていたのだ。
調べてみると、これは伊勢地域だけに伝わる「蘇民将来子孫家門」という飾りらしい。
その家の将来の安寧を祈るもので、他の地域では廃れたり正月にしか飾らなくなったりした物だが、ここでは年中飾るらしい。この面白さが分かる人と以下略


さて、流石に集落はもういいかな。
というわけで向かいの尾根にある「八代神社」へ参拝する。
先ほど貼った、集落全体を俯瞰した写真は寺の目の前から撮影している。
つまり、この島は谷に集落があり、それを挟む尾根にそれぞれ神社と寺が設置されているわけだ。めっちゃ日本。

だが、キツイ!!
300段くらいあるよこの階段。
調べてみよ。

ほらやっぱ!!

100m横に進んだら41m上がる角度て。
友人と2人でセミ鳴く階段をゼーハー言いながら登頂し、お参りする。

鳥居も社殿も綺麗に建て替えられており、この神社が人々にとても愛されている事がよくわかる。
祭神は綿津見命わだつみのみこと。海の神である。神島は漁業で生計を立てる島なので、やはり重要なのだろう。
さて、この八代神社が神島の「神」である訳だが、この神社には古墳時代から室町時代にかけての数百点の神宝が保管されているそうだ。それだけ由緒ある神社ということだろう。

神島がなぜ「神島」となったか。

それは、この島は古くから神の支配する島と考えられており、伊勢神宮を守る島だと言われていたからである。
私はそこに、不思議な繋がりを見つけた。少し先で後述しよう。


細い道を進み、

見えてきたのは、

なんともノスタルジックな灯台だ。
序盤で訪れた伊良湖岬灯台と対を成すもので、名前はまんま「神島灯台」。

昔から伊良湖ー神島間は航海の難所とされていた場所で、「阿波の鳴門か音戸の瀬戸か伊良湖度合が恐ろしや」と船頭歌に歌われるほどだった。
灯台の前身は江戸時代に建設され、現在のものは明治43年に建てられたものを昭和に改築したものである。建設の2年後、明治45年には世界で初めて無線電話による通信を行い、この無線電話は島民にも利用されていたらしい。すごいね。

そして、灯台は海の暗闇を照らさなければならない。つまり、見晴らしがよくなければならない。

ババーン!

これが神島灯台からの眺望である。
中央に見える陸地が渥美半島。よーく拡大したら伊良湖岬灯台も伺える。
それを挟んで右側が太平洋、左側が伊勢湾となる。

さて、この景色を見ながら先ほどの話に戻ろうか。
「神島は伊勢神宮を守る島」と言われるが、実はこれ、ある法則に照らし合わされるのだ。今からスピるよ。

それは、レイライン。
つまるところ、日本の主要な神社はこの通り中央構造線沿いに存在するという話だ。

中央構造線とは航空写真からでもよく分かるほどの大断層で、日本の骨格とも言える。

ね?見えるでしょ?

そしてお察しの通り、神島は中央構造線上にある。灯台から見えた渥美半島もまたそれによって生まれた地形だ。
もし、遥か昔の人々が中央構造線を意識して神社を作っていたならば、

神島が「伊勢神宮を守る島」という捉え方は、レイラインの考え方を適用すればかなり信憑性が出てくるのだ。

ネ タ バ ラ シ

はい、スピってみました!
こーいう話って面白いんだよ〜〜(笑)
実際には人々が中央構造線沿いに神社を作ったのではなく、中央構造線沿いにはそれに関連して変な地形や凄い地形が多いため、山岳信仰などのアニマリズムが起こりやすかったと考えるほうが自然だ。
神島も、海の中に突如としてこんな綺麗な稜線の島が浮かんでいれば何か神聖なものを感じるに違いない。

とはいえ多くの神社、そして神島が中央構造線上にあるのは事実。この辺を深堀りしてみるのも楽しそうだ。

さて、今中央構造線の話をしていたが、
神島にはそれを示唆するものも多く存在する。
たとえばこれ。

崖の壁面が見事な層になり、しかもほぼ垂直に折れ曲がっている。
これを褶曲しゅうきょくという。
地層に対してとても強い力が働いた証拠だ。
そして、このあとに出てくる場所はこれより圧倒的にインパクトがある。
神島は大地の力を体感できる島でもあるのだ。


それでは、神島灯台のその先へ行こう。
山道を5分ほど歩くと、

何やら変な建物と出会った。
マイクラ初心者が建設したみたいだ。
これは、監的哨跡かんてきしょうあと
戦時中まで使われていた遺跡だ。

対岸の伊良湖から撃った大砲の着弾地点を計測する施設で、現在では内部含め一般開放されている。

そして、監的哨は海の着弾地点を確認しなければならない。つまり、見晴らしがよくなければならない。

ババーン!

………さっきも見た!!!

でも綺麗だ。
屋上にも登れ、そこからは更によく見える。素敵だった。

ちなみに、先ほど某有名ゲームパラノマサイトの舞台になったと言ったが、もうひとつこの島が舞台の有名な作品がある。
それは、三島由紀夫の小説、「潮騒」だ。今まで巡ってきた八代神社・神島灯台・監的哨跡はどれも作中に出てくるそうだ。
神島は潮騒を使った観光誘致を進めており、港の目の前には潮騒の記念碑まである。ちなみに往来する船の名前も「しおさい」だ。大好きだな。

読んでいないのであらすじのみWikipediaの受け売りを語ろう。純愛だ。いいねぇ。

では、次が最後の目的地だ。
セミに体当りされながら再び山道を歩いていくと、

開けた場所に出た。ここに、先程言ったすごい地形がある。

それがこれだ!

じゃーん!!

これは「カルスト地形」。
石灰岩が雨水などによって浸食されてできる地形だ。

わーい石灰岩♪

でもね、初等教育を終えているあなたなら、よく考えれば分かるはずだ。別に煽ってはいない。

石灰岩はめっちゃ硬い岩で、そんな簡単には浸食されないのだ。

ではなぜこんな地形が発生するのか。
石灰岩の主成分は炭酸カルシウムであるが、これに二酸化炭素を含んだ雨水が降り注ぎ混じることで、化学反応が発生。炭酸水素カルシウムができる。
この炭酸水素カルシウムはとても水に溶けやすいので徐々に浸食されていくのだ。

更に、このカルストが凄いのは

階層構造になっていることだ。
石灰岩の下に砂岩があり、更にその下に石灰岩があるというサンドイッチのように地層が露出しているのだ。
興奮するよね。するよね??

隣にあるニワの浜という浜にはこの砂岩がゴロゴロしており、現在進行形で浸食が進んでいる事がわかる。


ニワの浜でカルストを見ること1時間。写真だと伝わりきらないのが残念だが、本当にインパクトが大きかった。
石灰岩は貝殻やサンゴなどが堆積して生まれた岩だ。それがこの高さまで隆起してきたということ自体やはり強い力が働いたものだろう。これも中央構造線と関連していると推測される。

さあ、流石に発とうか。そう言って後ろ髪を引かれながら歩き出す。


その少し先に進むと、こんな看板があった。

なんこれ。

知ってる人がいたら凄い。
この看板は「海底ケーブル揚陸地点」。(調べた)
離島であるため神島は鳥羽側からケーブルが引かれており、その揚陸地点がここらしい。船舶に対して注意を促す看板なのだそう。

そんな集落への帰り道。ここまで島を一周するルートを辿ってきた。
海岸沿いの砂利道を歩く。
セミの鳴き声と波の音とが6:4で混ざり合って聞こえた。

まるであの日の夏休みに帰ってきたみたいな、謎の感慨が全身を覆った。

忘れていた。

この島はずっと、懐かしさを纏っていた。

私はこの世界の誰よりも夏のど真ん中を歩いていたのだ。



港でしばらく待つと、船は低い鳴き声を上げながらゆっくりと訪れた。

ありがとう、神島。
心の故郷が、また1つ増えることになった。

夕日に照らされた入道雲が遠く橘色に輝いている。
島影は徐々に小さくなり、そして波の音の中に消えていった。




えちょっと待って!!!!!!
予約してた特急列車、船の到着から5分しかないじゃん!!!!!!


もう終わりだと思ったそこのあなた、残念!!

そう、実は我々は大きなミスを犯していたのだ。まず見てほしいのが、この時刻表。

この下部左側、神島から鳥羽へ行く便を見ると、1日6便あることが分かる。
そして我々は最終便の1本前、17:35発ー18:05着の船便に乗り、お土産でも買ってから18:40発の近鉄特急に乗るつもりで予約したのだ。そう、神島へ行く前に鳥羽で!!
よーく見てくれ。
これ、冬季ダイヤだ。
夏季ダイヤはその下。18:35着の最終便だ。私は思いっきり読み間違えたのだ!!

急げえええええ!!!!!!!!!!

メロスもビックリの爆走でフェリーターミナルから駅まで走る。
距離は500m。
それを5分以内で!!
ってか駆け込み乗車は良くないから4分くらいで走りきらなければ、約4000円という大金がムダになる!!



間に合ったああああああ!!!!!

はあ…はあ…
なんか、いつもこんなんじゃない??
いや、私はこれこそが醍醐味だからいいと思うけどさ、たまにはゆったりとした旅がしたい……まあ自分が悪いんだけど。


と、いうわけで。

ただいま、多治見!


とても素敵な島でした。
とりあえず某有名ゲームパラノマサイトはプレイしようと思う。
あとは潮騒……いや、ちょっと三島文学に手を出す気にはなれないかも。

とはいえとても良い島だったので、住民の方の迷惑にならない程度に遊びに行くことをお勧めしたい。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!!!


セミの音と雰囲気を感じたいあなた!
YouTube版もあるから見てね!4K対応だよ!



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