見出し画像

街の活性化にはイノベーションの初発点が必要だと考えた話。

店を作って賑わいを出す。
賑わいがあるから店ができる。
そんな、賑わい↔店
の構図はもはや不可能だ。
衰退という名の怪獣が蹂躙する今、
これからは別の発展体系を模索していかなければならない。
それはなぜか。詳しく書いていこうと思う。


討論会に参加して。

師走も20日。2025年が終わるまであと2週間もなくなったこの日、私は多治見ぎんざ商店街に来ていた。

というのも今日は「銀ぶら市」の日だ。閑静なぎんざ商店街も今日だけは活発な賑わいを呈す。
それでもその人出は最も栄えていた頃より圧倒的に少ないが。

銀ぶら市の様子

ともかく、沢山の露店やイベントが行われ沢山の方々が各々に楽しんでいたのだが、今回の銀ぶら市は普段と少し異なる様相を呈していた。


ぎんざ商店街の中央には大きな空き地が存在する。
その空き地には複数のテントが設置してあり、その一部にはこんなことを書かれた紙が貼ってあった。

「多治見にじいろサミット」

何を言おう私は今日、このイベントに参加しに来たのだ。普段なら見かけない謎のイベント。その議題はこうだ。

「空き地の未来を考える」

空き地、というのはまさにそのテントが建っているこの場所だ。
ぎんざ商店街のほぼ中央部。250㎡はあるだろうか。
去年建物が解体され、平らな砂利が広がっている。

きんざ商店街はシャッター街だ。商店街にある約30の店舗のうち、現在営業しているのはたった5店舗。うちデイサービス系が2店舗だ。
シャッター街と化したのみばかりではなく、この空き地のように現在多くの建物が老朽化し、解体の必要性が出ている。

ぎんざ商店街

今後は他の建物も続々と解体される予定だと聞いた。

そんなぎんざ商店街の中央にある空き地。この場所やぎんざ商店街をどうにか再生できないか、という趣旨の会だ、という訳である。


そして私はタジフェスさんのInstagramでこの会を知り駆けつけた。
あ、タジフェスさん、相互フォローありがとうございます🙇!!


どんな会か

まず、この会はNEXCO様のイベントだ。NEXCOは高速道路の建設・管理を行う企業で、社員のまちづくり研修の一環として今回の会を企画したらしい。

会は高校生向け要素主体となっていたが、ほとんどが大人の参加だった。

NEXCO側の社員さん4名と、市議会議員の方やキッチンカーの店員さん、地元の高校生、多治見DMOの方々、現役警察官…様々な年齢の様々な方が参加していらっしゃった。

会は午前と午後の2回開催。私も含む多くが両方ともに出席していた。

これはそんな会でざっくばらんに、しかし建設的にこの街の未来を考えてきた、その記録である。


話し合いの内容

前置きが長くなってしまったが、ここからが本編である。ぎんざ商店街や多治見の街の発展に向け、何ができるかを話し合ってきた。


まず、NEXCOの社員さん方の自己紹介。次に私たち参加者がひと言ずつ自己紹介をし、2つのグループに分かれた。各6、7人程度だ。

そして話し合いが始まった。
ここからは各発言を意訳しつつ整理していこう。

「昔のぎんざ商店街はもっとずっと賑わっていた。それこそ毎日が今日のぎんぶら市みたいで、まっすぐ歩くことはできなかったほど。」

「私は70年この商店街に店を構えている。昔は本当に元気な街で、しかしだんだんと店が減った。私はまだ頑張るが、まちの衰退は確実に起こっている。」

引用
https://www.discovertajimi.com/ginzadoori-j.html


まず、昔のぎんざ商店街の賑わいは今では想像もつかないほどだったという話が挙げられた。そんなに発展していたこの街はなぜこんなことになってしまったのだろうか。

「多治見市内にはもう1つ、『ながせ商店街』という商店街もありますが、そちらは比較的発展しています。駅から近いのもありますが、こことの大きな違いは駐車場の有無です。車で来れなければ徒歩圏内の人しか来ないわけで、それは商圏の大きさをかなり変えてしまいます。」

「商店街よりショッピングモールのほうが人気なのもそういう側面がありますよね。」

ながせ商店街

駐車場が無いのも一因のようだ。


「あとは…シンプルにお店が無いですよね。お店が無いから行く理由が無いし、人が来ないから店が撤退する。完全に負のループですよ。」

「建物の老朽化もひどいです。このアーケードは完成してから50年経っていて、あと何年持つか…」

そんな厳しい状況な上にのしかかって来る老朽化。しかも、更に障壁があるらしい。

「建て直そうにも法律が邪魔をしてできないんです。」

「新たに建てる場合、アーケードに離して建てる必要があるんです。だから利便性や建設面積が大幅に低下してしまう。」

このように、難しい現状が正面から直撃した結果この場所は廃れたままになってしまっているらしい。この後、話題は市全体へと移っていった。

「この街は土岐川の北と南で大きくズレがある。駅がある川北は整然と整備された現代的でオシャレな街だ。に対してぎんざ商店街のある川南は良くも悪くも古い。だからこそオリベストリートなどの観光資源があるわけだが、それがぎんざでは悪い方向に働いてしまっている。」

川南の街並み

「私は川北に住んでいますが、川南に行くことはめったにないです。川をはさんだ反対側にはうっすらと壁があるように感じます。」

川北の街並み

多治見の街は川の北と南とで大きく異なる。文化も生活も、だ。
ぎんざ商店街ないし川南地区の活性化にはやはりこの差を小さくしていく必要がありそうだ。

では、どうやって活性化したらいいのだろうか。

「これは多治見市内の高校生約800人に回答していただいたアンケートの結果です。その中で、この空き地にあったらいいと思うものを教えていただきました。その多くは勉強や会話のできる机と椅子を求めています。」

「私は高校生ですが、確かにそうです。まなびパークやプラティでは足りません。気軽に食べ飲みできるものもないのでちょっとした飲食店もあったら嬉しいです。」

学生さんは机椅子と軽食を求めているようだ。

「先日、スペイン語を話している外国人観光客たちが古い建物の前で記念撮影をしていました。ほら、そこの。
レトロさを売りにしていくのはどうなのでしょう。観光需要ができたら賑わいもできるのではないでしょうか。」

「その建物、今度解体されますよ。」

「え!」

「老朽化が酷く、倒壊リスクや雨漏りで流石に危ないらしくて、そこからあそこまで、5件全部取り壊しです。」

レトロさを売りにするのはアリだが、やはりリスクも大きいようだ。

「個人的には、何か新しいものを作るのではなく、このままで良いと思うんです。
新しいものはいくらでも作れるけど、古いものを作ることはできません。それは今の良さを破壊することになります。もちろん、何もしなくていいわけではないですけど。」

「そういえば、この近くにある銀座センター街は再生を果たしましたよね。あれはなぜなのですか?」

銀座センター街とはぎんざ商店街の隣にあるディープな路地だ。
この通りでは一時テナントが1店舗まで減少したが、数年で10店舗ほどまで回復した。

銀座センター街

「安さですね。あの街はテナント料をとんでもなく安くしたんですよ。すると出店者は事業失敗のリスクを減らせる。それが原因かと思います。」

リスクを減らす。これは重要なワードになるのではと思った。

「私はキッチンカーで働いていますが、新しいことをするのにはやはりお金がかかります。高校生などがこの空き地でお試しに店を開くことができる、というのはどうですか?」

「それは素敵な発想です。私も今、創作してみたい人のためにその背中を押す場所の建設を構想中でして、それに近しいものを感じます。やってみたい!という力や気持ちを出していける場所があれば必ず面白いことが起こるはずです。」

高校生などの「やってみたいけどできない」ことを、この場所でやれるようにするというのはとても面白い発想に感じた。

「多治見DMOとしても似たような発想になっていて、やってみたいと同時に1つ壁があります。人通りがあまりに少ないため店を出しても恐らく上手くいかないということです。
まずは人が来ないと何も始められません。」

「しかし人を呼ぶためには店が必要です。」

「人がいないと店を作ることもできない。」

卵が先か鶏が先かの議論になってきたが、まさにその内容は今この国の多くの地方で起こっていることだろう。
店ができて賑わいができたら店が増えるという好循環は夢のような話だが、裏を返せば悪循環になる。そしてそれが起こり、歯止めが利かなくなった結果この商店街があるのではないか。

「先程リスクを減らすという話が出ましたけどまさにそうで、そのプレオープンが失敗しても大人たちが支えられるような体制が必要なんですよね。」

ここまで聞いて、私は1つの考えに行き着いた。

「この問題の解決のためにはまず固定観念を捨てる必要がありそうです。
店を作って賑わいを出す。
賑わいがあるから店ができる。
そんな、賑わい↔店の構図はもはや不可能です。これからは別の発展体系を模索していかなければならない。」

「そのためには新しいイノベーションが必要で、それは若い力から生まれます。
高校生などの若い人がやりたいことをやる。それは失敗するかもしれません。しかし私たちはそれを支援し続ける。そうしたらそのうち『学び』になり、それが『成功』に結びつきます。
この商店街ないし多治見の街を発展させていくためには、そんな力を支援し続け、イノベーションの初発点・発信源になることが大事なのだと思います。」

…と。


こうして、会議は終わった。合計3時間を超える長い議論だった。


本編を書き終えて

私の意見は上記の形でまとまった。
気づけば文字数は4000字に届きそうだ。
ぎんざ商店街も、多治見市も、沢山の問題を抱え続けている。
それに、私の考えは絵空事なのかもしれない。
しかし、今のままでは何も変えられない。
何かを変えるためには、今までの価値観やシナリオといったものを根底から書き換える必要が出てくる。

これは会議に参加していた別の方の言葉を借りるのだが、
「一気に大きなことをしようとしなくていい。1つ1つ、1歩づつ小さな変化を起こせばいい。それは最終的に大きな変化になるから。」
その通りだ。

まずはこうして話し合うこと。見て見ぬふりではいけない。衰退とは徐々にしていくもので、気づきにくい。しかしある時ふと振り返ると全てが壊れているのだ。

だからその怪獣に対抗するためには議論と革新が必要だ。

その意味で今回の討論会は私にとってとてつもなく有意義なものとなった。

どうか、この議論が絶えないことを願っている。そしてあなたの街にもきっと衰退という怪獣は迫っているはずだ。
それに気づいているかは分からないが、どうか議論を続けてほしい。
そして行動をしてほしい。

それは必ず、衰退という怪獣と戦う剣や盾になるから。






最後に、
NEXCOの皆さん、一緒に議論して下さった皆さん、本当に有意義な時間となりました。ありがとうございました!🙇




愛しい都市ブログ本体へ


SNSリンク
(Twitter・MIXIはほぼ動かしていません)

Threads

いんすた

YouTube

ニコニコ動画

Mixi(要ログイン)

Twitter(新X)


いいなと思ったら応援しよう!