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ハコモノ行政の産物「プラティ多治見」を批判する記事

いちど私のアカウント名を見てみてほしい。
恐らく、

と書いてあるはずだ。逆に書いていないなら私は一体何者なんだ…?

兎に角、私は多治見推しだ。

素晴らしい街であるが、しかしながら
ひどい大失敗 改善すべき点もある。

今回の記事は題名の通り、多治見市の肝いり事業である「プラティ多治見」の批判だ。
なぜ大好きな多治見の批判をするのか。

それは、この街が犯してしまった失敗を顧み、そして今後に活かすためである。愛ある批判だと受け取ってほしい。

と、いうわけで。
この記事は
・プラティ多治見の現状
・建物の物理的欠陥
・運営の組織的欠陥
・今後の展望
という順序で進めていく。

どうぞ、お付き合い願いたい。



プラティ多治見の現状

プラティ多治見は、岐阜県多治見市の多治見駅前にあるショッピングモール(笑)だ。

プラティ多治見の外観

再開発により市主導で整備され、タワマンやホテル・立体駐車場も併設する。
グランドオープンは2023年3月。
まだピカピカだ。
3階建ての建屋には屋外に面す広場が多く設置され、その名の通りプラプラするのにはもってこいの場所だ。

この建物の最大の特徴は、多治見駅と直結していることだ。ペデストリアンデッキが架けられ、2階部分で接面している。

左側の建物が多治見駅だ。近い。

多治見駅は県内4位の利用者数を誇るターミナル駅で、更に多治見市の人口は10万人を超えている。このことから、プラティ多治見の立地は素晴らしいと分かる。

しかし……

2023年3月のグランドオープン時、何店舗が入居していたか。

答えは9店舗だ。圧倒的に少ない。
しかも、そのうちいくつかは医療品店や携帯電話販売店、なんならオフィスも複数入っていた。多くの人が利用できるような店舗はほぼ無かったのだ。

もちろんグランドオープンから3日後にはGoogleマップのレビューが悲惨なことになっていた。

ついでに、そのグランドオープン自体2度の延期を挟んでいる。どれだけテナントが来なかったかが伺える。

その後、店舗数はほぼ横ばいで推移したが、初期メンバーであった服屋が夜逃げ。その後、核テナントであるスーパーマーケットも閉店した。

これがまた悲惨で、プラティ側から聞いていた話が事実上の嘘であり、売上が当初見込みの半分しか得られなかったという状況での撤退だった。

その後、別のスーパーマーケットが開業し、次いで屋内遊園施設が開業したのを皮切りに、現在ではテナントが増えつつある。


とはいえ、まだまだ7割程度しか埋まっていない上にそれもジムやオフィスや携帯ショップだ。

ここまで、プラティ多治見の現状をさらっと舐めた。
立地は素晴らしいのに、なぜこのような状況になってしまったのか。それを建築面組織面、2種類の視点から深掘りしていく。


建物の物理的欠陥

さて、この建物には巨大な欠陥がある。もちろん倒壊の危険性とかそういうのではなく、これは導線の欠陥だ。

導線?

どういうことか。
これを説明するためにはまずショッピングモールの構造について語る必要が出てくる。

ショッピングモールというものは、店舗同士の相互関係による相乗効果が重要な要素である。
例えば、服を買いたくてショッピングモールに来たら、その途中にある雑貨屋の商品が気になり、ふらふらと見ているうちに滞在時間が延びてすっかりお昼時になったので料理店へ行く…
…と言ったものだ。

ジャンルの異なる魅力的な店舗が入り乱れるからこそ、ショッピングモールには利益が生まれるわけだ。イオンモールが各テナントにノルマを課しているのもその表れと言えるだろう。

さて、それではこの前提知識を持ったうえでプラティ多治見を見てみよう。

まず、これがプラティ多治見のメインストリートだ。

1階のメインストリート

扉がなく、外から直に入れる構造となっている。これはポイントが高いと言える。しかし、それによって重大な欠陥も孕んでしまった。

次の画像は店舗の出入り口部分を示している。

扉だ。
そう。外部と連絡しやすくするために建物の扉をなくした結果、各店舗の入り口にそれが設置されることとなったのだ。

扉という存在は人間に心理的障壁を与えることが研究でも分かっている。

よって、この扉の存在によりショッピングモールの強みが半減していると言うことができる。


更に大きな問題もある。
このモールは導線が非常に悪いのだ。ハコモノ行政あるあるである。
例えば、1階のスーパーで買い物を終えて2階のフードコートへ行こうと思ったとする。
この時、普通のモールならば、

このように垂直な移動ができるようにするはずだ。行きやすいことは売上に直結するためである。

しかし、プラティ多治見は、

このようにかなり複雑な経路を要する。

図上にするとまだ分かりやすいが、実際にはかなり見つけにくい。

フードコートへ向かう道(画面中央)
とても分かりにくい……

このように、とてもじゃないが回遊性が高いとは言えない構造になっているのだ。

このように回遊性が最悪であるのに加え、ことフードコートに関しては更なる失敗を重ねている。

フードコートはテナント0件につき閉鎖されている。

フードコート。すなわち飲食店街だ。
飲食店が成功するために必要なものは色々あるが、主には3つまで絞れる。

① 店の入り口までの徒歩距離が短いこと。

車や通りから店の入口までは近ければ近いほどいい。人間は都会田舎関係なく少しの徒歩を強制されるだけでリピート率が落ちるそうだ。
店の前に車を停めてすぐに入店できるロードサイド型店舗が増加しているのはそのためだ。

ロードサイド型店舗の例

② 外からの視認性がいいこと。

通りを歩いていて「あ、サイゼだ。今日はサイゼにしようかな」と思ったことはないだろうか。いや、別にサイゼじゃなくてもいいけど。でもきっとあるはずだ。
通りやモール内を歩いていて、そこにその店があることに気づかなければ利用者は伸びない。


③ 大きな看板が出せること。

これは②とも被ってくるが、看板はやはり重要な要素である。少なくとも店の入り口に看板がなければそれが何の店/ブランドなのかも分からないし、何より客寄せができない。だから大きな看板が立てられるロードサイド型店舗が増加しているのだ。(2度目)


さて、それではこの3条件をプラティ多治見に当てはめて考えてみよう。

① 店の入り口までの徒歩距離が短いこと。

通りからの距離に関しては先ほど書いた通りとても難解かつ長い。では、車ならどうか。プラティ多治見には立体駐車場が直結しており車なら便利なのではないか。
しかし、決してそんなことはない。
そもそも立体駐車場自体があまり好まれない。どうしても駐車場から店舗までの徒歩距離は長くなるからだ。更に、駐車場から出てからの移動コースは

この緑の線だが、遠い。最も近い連絡通路からでも50mはある。もちろん、立体駐車場で歩く距離も加味すればその倍は歩くだろう。この距離は飲食店にとって死活問題である。無論、他業種でも同様だ。

よって①は当てはまらない。


② 外からの視認性がいいこと。

一言で言おう。最悪だ。
↑の図を見ても分かる通り、プラティ多治見のフードコートは最奥部にある。外と接する面もあるが、これは壁だ。中に何が入っているかなど見えない。どこからもフードコートを視認できないのだ。プラティ多治見を日常的に利用する人でさえこの空間を知らない人が多いはずである。


③ 大きな看板が出せること。

ここまでの流れでお察しだろうが、これも駄目だ。
プラティ多治見の設計はデザイン重視。外に出す看板は限られている。

こんだけ

もはやそこに店があることすら分からないのだ。これではフードコートなど成立しない。
駅前を綺麗に魅せたいという市の思惑は分かるが、商業施設というものは利用されなければ意味がないのだ。これが、行政主導の商業施設が失敗しやすい原因の一つなのかもしれない。利益優先の民間ならまず行わない芸当だ。

最低でもこれぐらいは看板を出すべき


これで、①②③と全ての条件が揃っていないことが分かった。
実際、プラティ多治見は複数の大手チェーンを誘致しようと試みたものの、全てから断られたそうだ。

ついでに言うとフードコートの席数は面積的に最大約100席で、入居可能店舗は6店舗なのだが、この席数が足りない。
全店舗が入居して常にフードコートが満員だと仮定しても赤字になるそうだ。運営側も店舗側もウィンウィンならぬルーズルーズだ。


このように、プラティ多治見の構造・導線が最悪だということが分かるが、更に組織面もひどい。


運営の組織的欠陥

プラティ多治見は2023年3月に多治見市の肝いり事業として建設された。
駅南にあった商業施設の老朽化に伴い、多治見市の新たな顔として建設が進められた。

建設中のプラティ多治見複合施設(左上)

しかし、これは選挙に対するアピールの側面が非常に強かった。

プラティ多治見開業の1ヶ月後には地方選が行われたのだ。要は、岐阜県議会議員選挙と多治見市長選挙だ。

多治見市では長年2大派閥による争いが行われてきた。
自民系候補と無所属候補との戦いだ。

当時の古川市長は後者で、彼の退任に伴い新顔2人が出馬した。

それが、自民系の山本氏と古川氏から後継指名されていた高木氏である。

古川・高木陣営は自民陣営に負けぬよう、現市長としての成果を求めたのではないか。古川市政が大きな成果を出していれば、その後任指名を受けた高木氏にも期待が膨らむだろうから。

そういった政治的アピールという理由でプラティ多治見が建設されたのはまず間違いないだろう。

高木氏と古川元市長

そんな中で、プラティ多治見は選挙に間に合うように建設された。
本来は半年ほど早く開業する予定だったが、2度の延期を経てギリギリ3月に駆け込みグランドオープンしたわけだ。

グランドオープンセレモニーの様子。古川・高木両氏も写っている。


さて、このようにプラティ多治見はそもそもがハコモノ行政たる生まれだが、運営もかなり酷いらしい。

プラティ多治見を運営する「株式会社プラティ多治見」は、その半分を市から出資された事実上の行政運営だ。

その状態で民間的なマネジメントができるわけがないし、実際にできていない。
ビジネスというものは対象とする客を絞らなければならないものだが(例えば、「全年齢の人が楽しめるカフェ」なんかを作っても人は来ない。)、
行政はすべての人に平等に接する必要がある。

そのため、行政がビジネスを始めてもうまくいかないことが多いのだ。
プラティ多治見の運営に関してもその傾向が顕著に出ている。
行政出身の者は一部の人にフォーカスするという考えをしない。

実例もあるが、経営に関するそのへんの話をつらつらと書くのは良くないので割愛させていただく。

ここで言いたいのは「プラティ多治見の経営は行政的であり、まんまハコモノ行政の産物だ」ということである。

ただし、これに関しては情報ソースが少ないため、そこまで本気にして聞かないで頂きたい。(株式会社プラティ多治見側にも申し訳ないし。運営としてそういう挙動をしているだけで、個人単位ならきっととてもしっかりした方々なのだろう。)

この上部組織はもともと多治見市総務部であった。その後、経済部に移転し株式会社プラティ多治見の代表も都市開発課の方に代わった。
プラティ多治見の運営は徐々に改善しようとしている。


今後の展望

さて、ここまでプラティ多治見の批判をしてきたわけだが、ここからは希望が持てる話をしていこう。

まず、先述の通り運営が代わった。
多治見市経済部は新しい部署で、市役所ながらベンチャー企業のような精神のある部署だ。
これまでにもお役所仕事的な運営を改善してふるさと納税の納税額を爆増させたなどの経歴を持つ。

そして、実際に少しずつ改善が見られている。
1階にはまとめ売り型の激安スーパーが展開し、
2階には小さな子供向けの大型屋内遊戯施設が誕生した。

これが何を表すか。ファミリー層に焦点を絞った運営を始めたのだ。

その結果として利用者は急激に増加。ベビーカーを押す家族連れが多く訪れるようになった。
テナントも(フードコートを除いて)徐々に増えつつある。

実は、ファミリー層に焦点を絞るのは多治見では大正解だ。

多治見市の人口は減少を続けているが世帯数は増え続けているし、自然減社会増の状況になっている。
つまり、ファミリー層の若者から大きな人気があり、その人口は増え続けている街だということである。

そのため、ファミリー層を取り込むことはとても有意義なことなのだ。


また、これは完全に副産物的な影響であるが学生の利用者も多い。
空きテナントに机と椅子を置いて開放したためだ。
ここは現在学生たちのポジディブな
意味で「たまり場」になっている。
今後は多治見市内に大学も開校するため、更に学生は増えるだろう

その需要も取り込むためには何が必要か。それは、今まで通りの「たまり場」と、「ファストフード」ではないだろうか。

プラティ多治見のテナントが増え、その「たまり場」がなくなる可能性は存分にある。

しかし、それはあまりにも勿体ない。

1区画だけでいいからそういう場所として整備したほうがいいと感じる。
そのたった1フロア分の賃料よりも「たまり場」と化した学生たちが落とす利益のほうが大きいだろう。

そしてファストフード。今までに何件も大手チェーンから断られているのは承知している。その通りフードコートに飲食店を設置するのは構造的にもはや不可能だ。
だから、フードコート以外の場所。グランドフロアなどにファストフードを入れるべきだ。
1店舗でも入ればその利用者が増え、あとは堰を切ったように増えるだろう。

だから、まずは1店舗のファストフードを入れるべきだ。そのためにテナント料を格安にしてもいいだろう。
きっとそれ以上の利益を生むことになるだろうから。
また、フードコートの場所にゲームコーナーを入れるのもありかもしれない。
(風営法による保全対象施設がなければいいのだが……)

プラティ多治見は、ファミリーと学生のモールにするべきだ。

そのためには、行政的なやり方ではなく民間のように柔軟かつビジネス的な運営が必要になる。
構造上の問題はもう建て直せないのだから仕方がない。
あとは、運営側がどれだけ変革できるかに全てが懸っている。


いかがだっただろうか。
ハコモノ行政の産物として生まれたプラティ多治見。構造的にも運営的にもかなり酷い。
しかし、希望を捨ててはいけない。
まず私があなたにお願いしたいのは、「プラティ多治見へ足を運んでみてほしい」ということだ。

利用客が増えれば店舗も増える。
店舗が増えたら利用客も増える。

そのためには、まず1人1人がこの場所を訪れ、利用する必要があるからだ。


多治見市の顔としての「プラティ多治見」。
その逆襲を心から期待している。




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