未完成のエレガンス|温かい手
キンと冷たい冬の登校中、
手が温かい理由をたずねると、
こっそり教えてくれた。
「毎朝、焼きたてのパンを食べてるの」
明日から朝ごはんは、
焼きたてのパンにしてほしいと
母に頼みこんだ。
翌日も、そのまた翌日も、
焼きたてのパンを食べ続けた。
あれからどれぐらい経ったのだろう。
まだ温まらない。
冷たい空気にすぐ負ける
貧相で愛想のない手は、
冬を何度も重ね、
ぬくもりや優しさを感じとる
愛温計になった。
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