腫れ物
うちの会社は社内恋愛率が高かったのだと思う。
同期同士の結婚がかなり多かった。
同じ部署内でも普通に結婚していた。
一期下の後輩たちは、半数が同期同士の結婚だったのでさすがに驚いた。
同期同士だろうが部署内だろうが、普通に結婚してくれるなら何の問題もない。
だが、そうでない場合もある。
こじれた2人が会社に残ると、ややこしくなるのだ。
社内恋愛で交際し、婚約していた2人がいた。
そこへ新入社員が入ってきた。
♂はその新入社員を好きになり、婚約は破棄。
♀から訴えられ、婚約不履行の慰謝料を支払うことで決着した。
直後、♂は転勤。
♀はそのまま会社に残った。
そして数年後。
♂がまた戻ってきて、同じフロアで働くことになった。
この2人が同じフロアになることを心配した人事課長が、私に言ってきた。
「仕事柄、直接やりとりすることがないように、間に入ってくれないか」
私は業務外、とくにこういうよく分からない気遣いが大嫌いだ。
「もう過去のことなんだから、直接話したところで別にどうってことないんじゃないですか?
伝言係みたいなことはイヤです」
いつまでも腫れ物に触るような扱いをしていることが、腹立たしかった。
完全にプライベートの話だ。
私には一切関係ない。
とはいえ仕事上、♂は経理部、♀は関連会社の経理。
ほぼ毎日やりとりが必要になる。
私が毎日その2人の伝言係?
無理だわ。
面倒くさいので、私が関連会社の支払処理を買って出た。
関連会社は5社。
通常の支払業務に加えて、その5社分も処理する。
伝言係をやるよりは、忙しいほうがマシだろうと思って、何とかこなしていた。
そして、この仕事はずっと続くことになった。
慣れてきた頃、関連会社にいる♀が私に聞いてきた。
「私は何も気にしていないのに、どうして周りは気を遣って2人が接触しないようにしているの?」
そんなことを言う前に、ワビルかレイを言えと言いたかったが、
「そんなに大変なわけでもないので大丈夫です」
と、華麗にスルーした。
会社は、もっと大事なことに気を遣え。
なぜ「腫れ物」が「腫れ物」を特別扱いしなきゃいけないのだ。
私のほうがもっとデカい「腫れ物」だったはずだ。
参考までに
私は社内(職場)恋愛は一度もしたことがない。
会社内なんて小っせぇフィールドで狩りはしない。
私のフィールドは世界規模だ。
「今宵、都会の砂漠に獲物を求めて」
これがアタイのキャッチフレーズだったのよ。
何の?って……え?……エヘヘっ😂
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