「“新人はメモ取れ”って怒鳴られたから、全部録音したら怒られた話」
「新人はメモ取りなさい!!」
最初にそう怒鳴られたのは、配属3日目だった。
その日から私は、
“先輩の言葉”を一字一句、メモするようにした。
でも、メモを取っていると、今度はこう言われた。
「今、話してるんだけど?」
「それ、メモ取るタイミングじゃなくない?」
どっちなんだよ、と思ったけど、
そんなこと言えない空気だった。
「一回で覚えれるよね?」
「言ったよね?」
「さっきと説明変わってた?」
「は?あなたは今まで何を見てきたの?」
一日で言われた言葉、全部覚えてる。
全部、録音してたから。
「だったら、録ればいいじゃん」
誰にも聞こえない声で、そうつぶやいた夜がある。
もう、どうしたら正解なのかわからなかった。
だったら、“全部残しておけばいい”と思った。
「これから、全部録音しよう」
そう決めたあの日から、
地獄のような日々が、始まった。
…次の日も、その次の日も、
「“一回で覚えろ”って言ったよね?」
「それメモ取ってるだけで理解してないでしょ?」
「私の時間、奪ってるって分かってる?」
私は無言で、スマホの録音ボタンを押した。
録音をしていることで、
少しだけ、自分が守られてる気がした。
「……全部、残してるからな」
心の中でそうつぶやいたとき、やっと呼吸ができた気がした。
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