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父が遺してくれた最後の約束

父が亡くなって、もう5年になります。

余命1ヶ月と告げられてから、父はわずか3週間で旅立ちました。

あの3週間は、たった3日のように速く、そして何より尊い時間でした。

その短い時間の中で父は、私に「ひとつの約束」を残してくれました。

父と夫は約10年会っていませんでした。
理由はいくつも積み重なっていました。

そもそも私たちの結婚は、家族に祝福される形ではありませんでした。結婚してからも関係はぎくしゃくしたままで、夫は父からの贈り物にもお礼の電話をすることなく、次第に関わりを持たなくなりました。

その10年間、父もつらかったと思います。
でも私も、ずっと心がきりきりしていました。

そんな時間が続いたままの、突然の余命宣告でした。

頭の中が真っ白になりました。

それでも私は思いました。
父が許してくれるなら、最後にもう一度、夫に会わせたい。

母に相談すると、
「お父さんに聞いてみるね」
と言って電話を切りました。

そして次の日、

「連れてきなさい」

と一言。

あとから聞いた話では、父は最初いい顔をしなかったそうです。それでも最後は首を縦に振ってくれたと聞きました。

父の器の大きさに、胸がいっぱいになりました。

当日、病室で父の姿を見て驚きました。
全身が黄疸で真っ黄色になっていました。

それでも父は、横になっていた体を起こし、

「久しぶりだね」

と夫に声をかけました。

本来なら夫から言うべき最初の言葉だったと思います。

きっと父は、あの場の空気で私が苦しまないようにしてくれたのだと思います。

少し話をしたあと、父は姿勢を正して夫の目を見て言いました。

「〇〇くん、
〇〇(私の名前)、〇〇、〇〇(子どもたちの名前)をよろしく頼むな」

余命のことは父に伝えていませんでした。
でも父は、自分の命が長くないことを分かっていたのだと思います。

私はもう、涙が止まりませんでした。

その後、一時退院して実家で一緒にご飯を食べました。

食事のあと父は、もう一度夫を呼び、

「病室でも言ったけど、
〇〇と子どもたちをよろしく頼むな」

と母と兄にも聞こえるように言いました。

そして私に向かって、

「2回約束したから大丈夫だよ」

と言いました。

私は大号泣しました。

さらに父は、

「兄とも仲良くしてほしい」

と夫に伝えました。

そして

「握手しているところが見たいな」

と言って、夫と兄に握手をさせました。

全身が黄疸で、本当はとても苦しかったはずなのに。
それでも父は、自分がいなくなった後の家族のことを考えてくれていました。

私はあのとき、
本当に愛されていたんだと知りました。

父へ。

父との約束、何度か破りかけたこともあったけれど、夫は今も守ろうとしてくれています。

あの日の父の言葉は、夫にとっても大きなものだったようです。
あれから父のことを悪く言うことは一度もありません。むしろ尊敬していると言っています。

最後まで手を抜かず、
一瞬一瞬を大切に生きる姿を見せてくれてありがとう。

父が守ろうとしてくれた家族は、今もちゃんとここにあります。

そして私は今も、父が残してくれた約束の中で生きています。

お父さん、本当にありがとう。

#いまあなたに伝えたいこと

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