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天才推理小説家の事件録 第17話「警大同期会・教官からの謎解き」

第17話「警大同期会・教官からの謎解き」

Restaurant Étoile(エトワール)個室

都内某所。完全会員制レストラン Restaurant Étoile
木目を基調とした高級感ある個室。壁にはさりげない絵画、天井には淡いシャンデリア。
中央に大きな円卓。テーブルクロスは純白。グラスが人数分並ぶ。

個室入口のドアが開き、次々と“同期”が入ってくる。
全員が**管理官(警視)**という異常なメンツ。

宇垣 綾
「……相変わらず、店の格が高いわね」

鮫島 美優姫
「せやなぁ。ここ、一般の人はなかなか入られへん店やろ」

織田 正長
「うつけが。会員制すら知らぬとは」

郷田 猛人
「すっげーなここ。札幌でもこういう店はあるけど、東京は格が違う」

高藤 悠介
「これは……宝条先生にぜひ紹介したい店だ!!」

久坂 遼生
「俺たち……本当に同期だよな?改めて見ると異常すぎるメンバーだ」

神宮 蒼馬
「異常とは失礼な。これが国家の中枢を担う者たちの集いだ」

霊山寺 儀典
「まぁまぁ……堅いこと言わんと。今日は久々の顔合わせやし」

板倉 鉄平
「……せや。今日は飲む日や。仕事の顔は置いとけ」

横井 和也
「俺は料理が楽しみだな。ここ、魚介も強いって聞いた」

鮫島 美優姫
「横井君、魚の話したら止まらへんからなぁ」

横井 和也
「えっ、俺そんな話す?」

神谷 遥香
「する」

横井 和也
「……するか」

全員が着席し、店員が慣れた所作でシャンパンを注いでいく。

店員
「皆様、本日はご来店ありがとうございます。乾杯のご準備が整いました」

遥香が周囲を見渡す。
同期全員が揃っている光景に、わずかに感慨が滲む。

神谷 遥香(心の声)
(……全員、変わってない。肩書だけ立派になって)

綾がグラスを持ち上げる。

宇垣 綾
「じゃあ、最初の乾杯は……同期の代表で、遥香」

神谷 遥香
「……私?」

鮫島 美優姫
「そら、警視庁やし。中心やし。同期の“顔”やろ」

遥香はグラスを持ち上げる。

神谷 遥香
「……えー。今日は久しぶりに同期全員が集まれたことを嬉しく思います」

久坂 遼生
「硬い!硬い!」

郷田 猛人
「警大の式典みたいになってるぞ!」

神谷 遥香
「うるさい!」

全員が笑う。

神谷 遥香
「……それから、全国の現場で皆が無事でいること。これが一番です」

鮫島 美優姫
「ええこと言うやん」

宇垣 綾
「ふふ、珍しく真面目」

神谷 遥香
「うるさい……では同期の再会に――乾杯!」

全員
「乾杯!!」

グラスが触れ合い、澄んだ音が個室に響く。

乾杯の後、料理が運ばれ始める。
同期たちは一気に警大時代へ戻ったようにテンションが上がる。

郷田 猛人
「早朝のランニング、覚えてるか?」

横井 和也
「うわ……地獄。朝5時からだった」

郷田 猛人
「俺、野球部時代よりきつかった」

神谷 遥香
「私は剣道の朝稽古のほうが地獄だった」

鮫島 美優姫
「遥香、竹刀持つと目が変わんねん」

神谷 遥香
「あなただってそうだったでしょ?」

全員爆笑する。

織田 正長
「ところで貴様ら……警大のとき、貴様らが私を“信長”扱いしたのは許していない」

神宮 蒼馬
「当たり前だろ。毎日『うつけが』って言ってたじゃないか」

織田 正長
「私は正統な言葉遣いをしていただけだ」

鮫島 美優姫
「正統な言葉遣いで“うつけ”言わんやろ」

霊山寺 儀典
「まぁ……京都でも言いませんえ」

織田 正長
「む……」

板倉 鉄平
「まあ落ち込むな。今でも“信長っぽさ”は武器や」

織田 正長
「……ふん。分かっている」

神谷 遥香(心の声)
(このプライドの高さ……変わらない)

急に蒼馬が話し始める。

神宮 蒼馬
「ちなみに俺は当時から言っていた。精神の鍛錬が捜査に直結するとな」

霊山寺 儀典
「まぁ……それは一理ありますわ」

宇垣 綾
「やめて、また始まった」

鮫島 美優姫
「この2人の会話、最終的に悟りみたいなんねん」

板倉 鉄平
「……警察大学校なのに僧侶が2人おるみたいやった」

霊山寺 儀典
「僧侶やないですよ。檀家筋です」

神宮 蒼馬
「勝手に混ぜるな」

神谷 遥香
「似たようなものよ」

神宮 蒼馬
「違う」

霊山寺 儀典
「違いますえ」

全員が笑う。

宇垣 綾
「でも一番印象に残ってるのは、遥香が同期をまとめてたことよね」

久坂 遼生
「あー、分かる。こいつだけ教官みたいだった」

神谷 遥香
「その話はいいでしょ!?」

同期たちは笑い、飲み、食べ、語り合う。
警大時代の記憶が、今この場に鮮やかに戻ってくる。

神谷 遥香(心の声)
(……こういう時間も、悪くない)

個室の空気は最高潮に温まっていた。
まだ誰も知らない。
この後――“教官”が仕掛けた挑戦が始まることを。

同期会は最高潮。
グラスの音、笑い声、ツッコミ。
店員が料理の皿を下げ、次の皿を運び込む。

郷田 猛人
「いや~、こうして集まれるの奇跡だな!全国バラけてんのに!」

久坂 遼生
「奇跡というか……国家の金の使い方が豪快すぎる」

高藤 悠介
「宝条先生が居たらもっと奇跡だったよ!!」

神谷 遥香
「その名前は封印」

高藤 悠介
「え~?」

全員が笑う。

突然――

パッ……

照明が一瞬だけ落ちる。
完全な闇……というほどではないが、個室全体が一瞬暗くなる。

次の瞬間、パッと何事もなかったかのように照明が戻る。

宇垣 綾
「……え!?」

鮫島 美優姫
「停電!?」

横井 和也
「いや、一瞬すぎる」

霊山寺 儀典
「……“一瞬”だけ、ですねぇ」

郷田 猛人
「いやいや、こういうのやめてくれよ。事件の導入みたいじゃん」

神谷 遥香(眉をひそめる)
「……」

照明が戻ったと同時に、ドアが静かに開き――店員が無表情で、極めて丁寧な所作で入ってくる。
店員の手には、銀のトレー。その上に――黒い封筒が11通。
封筒には金の箔押しで、**「警察大学校」**の校章。

店員
「失礼いたします。こちら、皆さま宛てでございます」

神谷 遥香
「……え?」

店員は淡々と、テーブルに封筒を並べていく。1通ずつ全員の席の前に。

織田 正長
「……こんな演出があるのか」

店員
「当店は関与しておりません。『確実に皆様の前に置いてほしい』とのことでした」

板倉 鉄平
「……ほな誰が頼んだんです?」

店員
「差出人は不明ですが、“お名前”はございました」

霊山寺 儀典
「どなたですか……?」

店員
「鷲尾剛様でございます」

空気が一気に冷える。
遥香が封筒を手に取り、ゆっくり開く。他の同期も、一斉に封筒を開く。

中身は――挑戦状。
紙の質が異様に高い。筆文字のような硬い字体。

「諸君。
これは事件ではない。
だが、捜査と同じだ。
“矛盾”を見抜き、“真実”に辿り着け。
30分以内に答えを出せ。
出せなければ、諸君は現場で一生迷う。 ——鷲尾 剛」

郷田 猛人
「……うわ」

久坂 遼生
「これ……」

神宮 蒼馬
「……来たか」

霊山寺 儀典
「……はんなりしてへん」

鮫島 美優姫
「誰がこんなタイミングで……って思ったけど」

遥香が読み終えて顔を上げる。

神谷 遥香
「……差出人は鷲尾教官ね」

宇垣 綾
「今は警大の校長やってるんじゃなかったかしら」

織田 正長
「教官というより、もはや“殿”だな」

板倉 鉄平
「……相変わらず趣味が悪い」

横井 和也
「でも、なんで今日……?」

高藤 悠介
「校長が同期会を把握していた……ということか!?」

神谷 遥香
「……可能性は高い」

鮫島 美優姫
「せやけど、“答え出せ”って何の答えよ?」

紙の下段に、さらに一文。

「個室内にある“鍵付きの小箱”を開けろ。
箱の中に『真犯人の名』がある。
鍵番号4桁は推理で導け」

宇垣 綾
「小箱……?」

霊山寺 儀典
「ほな……部屋のどこかに箱が?」

郷田 猛人
「うわ、宝探しじゃん」

神宮 蒼馬
「いや。これは“捜査”だ」

織田 正長
「うつけが。お前は何でも捜査にするな」

神宮 蒼馬
「捜査とは全てに通じる」

鮫島 美優姫
「始まった」

遥香が立ち上がり、個室を見渡す。

神谷 遥香
「……探すわよ。鷲尾教官が“部屋のどこか”って言ってる以上――絶対ある」

横井は料理が並ぶ棚の横を見る。

横井 和也
「……これ、棚の下。木目が不自然」

霊山寺 儀典
「あ、ほんまや。そこだけ角が“新しい”」

郷田 猛人
「おお!横井ナイス!」

横井 和也
「だろ?漁の網もこういう違和感で見つけるんだ」

久坂 遼生
「違和感の例えが海」

棚の下に黒い小箱がある。真鍮の鍵穴に、4桁のダイヤル式。

宇垣 綾
「……あったわね」

鮫島 美優姫
「ホンマに用意してたんか……」

高藤 悠介
「……恐ろしい人だ……!」

神谷 遥香
「……番号よ。問題は」

全員で推理を開始。

神谷 遥香
「4桁……何かヒントは?」

織田 正長
「紙だ。紙面に隠し文字があるはずだ」

郷田 猛人
「いやいや、こういうのは筋肉だろ。腕立て回数とか!」

横井 和也
「違う。番号は魚の分類数とかじゃないか?」

鮫島 美優姫
「魚の分類って何やねん!」

神宮 蒼馬「4桁……つまり西暦。警大入学年だ」

遼生は4桁の数字を押す。

久坂 遼生
「……不正解だな」

神宮 蒼馬
「……」

霊山寺 儀典
「“真犯人”って書いてあるあたり……今日の参加者の誰かが犯人いうことやろか?」

板倉 鉄平
「もしそうなら、お前や」

霊山寺 儀典
「何でですの?」

板倉 鉄平
「坊主やから」

霊山寺 儀典
「理屈が雑すぎますえ」

宇垣 綾(腕を組み)
「照明が落ちたのが合図……その瞬間に何かが起きた……」

久坂 遼生
「照明落ちたのは1秒未満だぞ。何ができる」

高藤 悠介
「1秒でできること……!!」

神谷 遥香
「そんなわけないでしょ」

鮫島 美優姫
「鷲尾教官って、警大の時もこういうことやっとったね」

郷田 猛人
「ああ、“誰が一番最初に気づくか”みたいなやつ」

織田 正長
「何に気づくかだ」

横井 和也
「何に……?」

沈黙。

全員が紙を見返し、箱を見返し、天井を見る。しかし――誰も答えが出ない。

久坂 遼生
「……ちょっと待て。これ、本当に4桁で解けるのか?」

織田 正長
「解ける。解けぬなら“うつけ”だ」

鮫島 美優姫
「あんた一番うつけ言うてるやん」

板倉 鉄平
「……こういうのは“型”がある」

霊山寺 儀典
「“答え”があるようで、ないんちゃいます?」

神宮 蒼馬
「いや、必ずある。鷲尾教官はそういう人だ」

郷田 猛人
「……でもさ、もう全然わかんないぞ」

高藤 悠介
「これは……宝条先生案件だな?」

神谷 遥香
「……」

遥香は口を閉ざし、拳を軽く握る。
プライドが邪魔をしている。

宇垣 綾(ニヤリ)
「ねぇ遥香。まさか――」

鮫島 美優姫(ニヤ)
「まさかまさか――」

織田 正長
「まさか――」

全員が遥香を見る。

神谷 遥香
「……分かったわよ……潤に電話する」

全員
「うおおおおおお!!」

小箱の前。同期たちは完全に詰んでいる。

遥香は眉間に皺を寄せ、スマホを握る。
周囲はニヤニヤ、期待に満ちた視線。

宇垣 綾(肩をすくめて)
「ねぇ遥香。いいの?同期全員の前で“宝条先生助けて”って言うの」

鮫島 美優姫(ニヤリ)
「せやせや。遥香のプライド、もう息してへんで」

織田 正長
「うつけが。神谷遥香が屈する日が来ようとは」

神宮 蒼馬
「これは“敗北”ではない。“適材適所”だ」

久坂 遼生
「やたら美化すんな」

郷田 猛人
「俺は早く見たい。宝条先生が何秒で解くか」

高藤 悠介(両手を組み祈り)
「拝める……宝条先生の推理を拝める……」

板倉 鉄平
「高藤、気持ち悪い」

霊山寺 儀典
「まぁまぁ……神谷はん、電話したらええんちゃいます?」

横井 和也
「早くしよう。時間制限30分って書いてある」

神谷 遥香
「……分かったわよ」

遥香は俯いて言う。

神谷 遥香(小声)
「……潤なら、こういうの一瞬で解く」

宇垣 綾
「はい出た。“潤なら”」

鮫島 美優姫
「ほら~認めた~」

神谷 遥香
「認めてない」

遥香はスマホを取り出し、通話ボタンを押す。

Restaurant Étoile 別個室(会食)

同じレストラン、別の個室。

潤はスーツ姿で端正に座り、
出版社の編集者らしき男女、そして文化人風の人物と会食中。

テーブルの上には料理が並び、静かな会話が流れている。

潤は微笑みながら相槌を打っている。

編集者(男)
「先生、次回作の構想、もう少し聞かせていただけますか」

宝条 潤
「ええ。今回のテーマは――“矛盾”です」

その瞬間、潤のスマホが震える。
潤は画面を見る。

宝条 潤(心の声)
(遥香……?)

宝条 潤
「……すみません」

編集者
「どうぞ」

潤が通話に出る。

神谷 遥香
「潤……今、話せる?」

宝条 潤
「遥香? どうした、声が真面目だ」

神谷 遥香
「真面目に困ってるのよ」

宝条 潤
「……遥香が困るなんて珍しくもないけど」

神谷 遥香
「うるさい。今、同期会してる」

宝条 潤
「……えっ? 同期会?」

遥香は通話しながら、周囲の同期を睨む。
同期たちは口を手で覆いながらクスクス笑っている。

宇垣 綾(口パク)
「言って♡言って♡」

鮫島 美優姫(口パク)
「助けてって♡」

遥香が2人をにらみつける。

神谷 遥香
「警大時代の教官が……挑戦状を寄越したの」

宝条 潤
「……挑戦状?」

神谷 遥香
「そう。照明が一瞬落ちて、封筒11通。小箱があって、4桁の鍵番号を推理で当てろって」

宝条 潤
「ふふ……面白い教官だな」

神谷 遥香
「笑ってる場合じゃない!」

宝条 潤
「はいはい。で、遥香たちは?」

神谷 遥香
「全滅よ」

宝条 潤
「えっ?」

神谷 遥香
「えっじゃない!!」

潤は一瞬黙る。
頭の中で状況を整理しているような静かな間。

宝条 潤(心の声)
(警大同期が11人揃って……誰も解けない?)

宝条 潤
「……なるほどね」

神谷 遥香
「来られる?」

宝条 潤
「え?」

神谷 遥香
「来られるなら来て。もう時間がない」

潤は周囲の静かな空気を感じる。店内の雰囲気、料理の香り、そして――隣の廊下からかすかに聞こえる笑い声。

宝条 潤(心の声)
(……この声、どこかで……)

潤はふと店名の入ったメニューカードを見る。

Restaurant Étoile

宝条 潤
「……遥香」

神谷 遥香
「何よ?」

宝条 潤
「今どこにいる?」

神谷 遥香
「Restaurant Étoileの個室」

潤は小さく息を吸う。

宝条 潤
「……同じ店にいる」

神谷 遥香
「……は?」

宝条 潤
「僕も今、会食でÉtoileにいるよ」

神谷 遥香
「……っ!!」

遥香のスマホ越しの声が少し漏れ、同期たちが反応する。

宇垣 綾
「え?」

鮫島 美優姫
「は?」

郷田 猛人
「まじで?」

高藤 悠介
「運命だ……!!」

板倉 鉄平
「……出来すぎやろ」

霊山寺 儀典
「ほんまに……?」

織田 正長
「うつけが。神がかった偶然だ」

久坂 遼生
「偶然じゃなくて、鷲尾校長の仕込みじゃないか?」

神宮 蒼馬
「……ふむ」

潤は落ち着いて言う。

宝条 潤
「分かった。すぐ行く」

神谷 遥香
「……お願い。ほんとに」

宝条 潤
「うん」

潤は通話を続けたまま、席の相手に向き直る。

宝条 潤(微笑み)
「申し訳ありません。ちょっとお手洗いに」

編集者
「あ、はい。どうぞどうぞ」

宝条 潤
「ありがとうございます」

潤は自然な所作で立ち上がり、
スマホを耳に当てたまま個室を出る。

潤が廊下へ出た瞬間――遥香たち同期の待つ個室の扉が、すぐそこにある。潤がスマホを切り、静かに個室の前に立つ。

扉の向こうから、やけに耳慣れた声と笑い声――警大同期の“威圧”が漏れている。

宝条 潤(心の声)
(……これ絶対、入った瞬間詰められるやつだ)

潤は一拍置いて、ノック。

宝条 潤
「失礼します」

扉が開き、潤が入室する。

個室内

潤が入った瞬間――11人の管理官たちが一斉に潤を見る。圧が強い。
綾は一歩前に出て潤へ近づこうとする。

宇垣 綾
「潤く――」

その瞬間、遥香が反射で綾の前にスッと割り込み、壁になる。

神谷 遥香
「来てくれてありがとう」

宇垣 綾
「……ちょっと」

神谷 遥香
「ありがとう、潤」

宇垣 綾
「私が先に――」

神谷 遥香(満面の笑顔)
「ありがとう、潤?」

宇垣 綾
「……っ」

鮫島 美優姫(ニヤニヤ)
「お〜〜っと〜〜」

郷田 猛人
「ブロック早っ!」

板倉 鉄平
「さすが神谷、動体視力やばいな」

霊山寺 儀典
「ほな……護衛対象みたいになってますえ」

宝条 潤
「……えっと」

宝条 潤(心の声)
(すごい勢揃いだな……今まで出会った人達もいるし……というか、俺が解決した事件の関係者が全国に散らばってるのおかしくない?)

蒼馬がスッと立ち、やけに爽やかに頭を下げる。

神宮 蒼馬
「どうもお久しぶりです先生」

続いて遼生もニコニコで前に出る。

久坂 遼生
「いつぞやの警察官襲撃事件ではお世話になりました〜」

潤は目を見開く。

宝条 潤
「あー!埼玉県警の神宮管理官に千葉県警の久坂管理官!お久しぶりです!」

正長が腕組みのまま、堂々と口を開く。

織田 正長
「久しいな先生。浅井社長の殺人事件では世話になった」

潤はパッと顔が明るくなる。

宝条 潤
「あ〜織田信長警視!」

織田 正長
「正長だ!!」

即ツッコミが炸裂。

鮫島 美優姫(爆笑)
「信長警視てwww」

郷田 猛人
「地雷踏んだ(笑)」

久坂 遼生
「一発でキレるの草」

霊山寺 儀典
「うつけ言うてはる顔してますえ」

織田 正長
「霊山寺!余計なことを言うな!」

神谷 遥香
「潤。今日初対面の同期もいる」

宝条 潤
「……えっ、まだ増えるの?」

神谷 遥香
「増えるのよ」

板倉が軽く手を挙げ、フランクに出てくる。

板倉 鉄平
「はじめまして。兵庫県警の板倉鉄平言います〜!」

宝条 潤
「どうもはじめまして……」

宝条 潤(心の声)
(この人……一見チャラいけど目が笑ってないタイプだな……)

板倉 鉄平(ニッ)
「今日は飲み会って聞いたんで、安心して飲んでます」

神谷 遥香
「彼は飲むとめちゃくちゃ喋るの」

宝条 潤
「え、怖い」

板倉 鉄平
「安心して。神谷の昔話を全部暴露するだけや」

神谷 遥香
「やめて」

横井が丁寧に会釈して前へ。

横井 和也
「どうも、静岡県警の横井和也です。お噂はかねがね」

宝条 潤
「どうもありがとうございます……」

潤は視線を横井の腕に落とす。

宝条 潤
「……すごい筋肉ですね……」

横井 和也
「えっ、そうですか?」

郷田 猛人
「横井それ自分で分かってねぇんだよ」

横井 和也
「郷田と筋トレしてるだけなんだけど」

宝条 潤(心の声)
(同期に筋肉枠までいるのか……)

霊山寺が両手を合わせ、にこやかに出る。

霊山寺 儀典
「京都府警の霊山寺儀典です〜。以後お見知りおきを〜」

宝条 潤
「……どうも……」

宝条 潤(心の声)
(頭を丸めてて……坊さんみたいな人だな……)

霊山寺 儀典(はんなり)
「驚かはりました?これ、宗教ちゃいますえ」

宝条 潤
「いや、驚きますよ普通」

神谷 遥香
「板倉君の実家は神戸の大型重工業メーカー」

宝条 潤
「……重工」

神谷 遥香
「横井君は静岡の旧網元の家系」

宝条 潤
「……網元」

神谷 遥香
「霊山寺君は京都の大規模寺院の檀家筋」

宝条 潤
「……檀家筋」

潤は全員を見渡し、ポツリ。

宝条 潤
「金持ち揃ってる」

宇垣 綾
「あなたも宝条家でしょ」

潤の登場により、空気が一段ギアが上がった。
そして目の前には――例の小箱。

神谷 遥香(小声)
「……潤。お願い」

宝条 潤
「うん。見せて」

潤がテーブルへ進み、黒い封筒から出された挑戦状――暗号文を手に取る。
遥香は潤のすぐ横に立ち、綾は一歩後ろで悔しそうに腕を組む。

同期たちは固唾を呑んで見守っている。

神谷 遥香
「……これ」

宝条 潤
「うん」

潤は紙を受け取り、目を通す。
文字を追う速度が異様に速い。

郷田 猛人(小声)
「早っ」

久坂 遼生(小声)
「もう読んだのか……?」

霊山寺 儀典
「目ぇ、えらい速いですねぇ」

板倉 鉄平
「……あの目、飲んでへん時の俺に似とる」

横井 和也
「それ褒めてる?」

板倉 鉄平
「褒めてへん」

潤が挑戦状を読みながら考える。

宝条 潤(心の声)
(……“これは事件ではない。だが捜査と同じだ”。30分以内。鍵付きの小箱。真犯人の名……)

潤は静かに紙を裏返す。
光に透かすように角度を変える。

宇垣 綾
「……何か見えるの?」

宝条 潤
「うん……でも、これは」

潤は目線を上げ、箱をちらりと見る。

宝条 潤(心の声)
(暗号文じゃない。これは……“教育”だ)

潤は挑戦状を持ったまま、遥香のほうを見る。

宝条 潤
「……ねえ遥香」

神谷 遥香
「何?」

宝条 潤
「鷲尾先生って、どんな人?」

遥香は少しだけ目を細め、懐かしむように息を吐く。

神谷 遥香
「鷲尾教官は――警大の時から変わり者よ。今は警大の校長をやってるんだけど、昔から授業は分かりやすいし言ってることも正しくて、だけど今回のようなことも多かったわ」

鮫島 美優姫
「せやったね」

神谷 遥香
「鷲尾教官は、必ず最後にこう言うの。正しいだけの捜査は、必ず誤るって」

宝条 潤
「……なるほど」

潤はもう一度挑戦状を見る。

宝条 潤
「“解かせる”ことが目的じゃないんだね」

神谷 遥香
「え?」

宝条 潤
「これは……解けなかった理由を自覚させるための問題だ」

全員
「……!」

空気がピシッと締まる。


宝条 潤
(心の声)
(鷲尾先生は今、警大の校長――つまり、“日本中の警察を作ってる側”の人間だ……この人が、たった1つの謎を出すだけで、遥香たち全員を“学生”に戻す)

宝条 潤
「……それにしても」

潤は紙の端を指でなぞりながら言う。

宝条 潤
「鷲尾先生、相当楽しんでるね」

鮫島 美優姫
「絶対ニヤニヤしとるわ」

宇垣 綾
「校長室でワインでも飲んでそう」

織田 正長
「うつけが。ワインは貴族の飲み物だ」

久坂 遼生
「語彙が信長」

神谷 遥香
「で、潤……解けるの?」

潤は小さく笑う。

宝条 潤
「……うん。もう半分解けてる」

全員
「ええええええ!?」

潤が紙から目を離し、箱のほうへ視線を移す。
同期たちは一気に前のめりになる――

郷田 猛人
「いや早っ!」

久坂 遼生
「まだ一文字も分かってないんだが俺たち…!」

神宮 蒼馬
「さすが先生…!」

高藤 悠介
「拝ませていただきます!!」

板倉 鉄平
「拝むな気持ち悪い」

潤は挑戦状の紙をテーブルに置き、全員を見渡す。

宝条 潤
「まず――この問題を“暗号”だと思いますよね?」

織田 正長
「当然だ。暗号文と書いてある」

横井 和也
「俺もそう思った」

郷田 猛人
「だって“真犯人”とか言ってるし」

宝条 潤
「そこが最初の罠ですよ」

全員
「……!」

潤は軽く笑う。

宝条 潤
「これ、暗号じゃないんです。仕掛けは文章じゃなくて“空間”と“時間”にあります」

久坂 遼生
「空間と時間…?」

神宮 蒼馬
「時空…!」

板倉 鉄平
「急にSFやめろ」

潤は個室の壁にあるアナログ時計を指さす。

宝条 潤
「まずはこれ」

神谷 遥香
「時計?」

宝条 潤
「……誰か、スマホの時計見てみてください」

横井 和也
「え、今ですか?」

霊山寺がスマホを出し時刻を見る。

霊山寺 儀典
「今…19時22分ですわ」

神谷 遥香
「壁の時計は…19時25分」

宇垣 綾
「……3分ズレてる」

鮫島 美優姫
「え、マジやん」

久坂 遼生
「最初からズレてたのか?」

宝条 潤
「照明が落ちた瞬間にズラしたんでしょう」

郷田 猛人
「えっ、どうやって!?」

宝条 潤
「停電じゃなくて照明制御です。ここのレストランなら可能です。会員制ですし」

織田 正長
「……うつけが。そんなことができるのか」

宝条 潤
「鷲尾先生ならできます。あらかじめお店の人に頼んでおいたんでしょう」

潤が鷲尾の狙いを断言する。

宝条 潤
「ここで重要なのは、鷲尾先生が本当に知りたいのは――**“お前らは基準を取って捜査できるか?”**ってこと」

神谷 遥香
「……基準」

宝条 潤
「そう。現場で一番大事なのは“基準”。証拠も証言も、時間も、全部“基準”がないと捏造される」

板倉 鉄平
「……耳が痛い」

宇垣 綾
「つまり私たちは、壁時計を信じて……全部ズレたまま推理してた」

宝条 潤
「その通り」

神谷 遥香
「でも…鍵番号は?」

宝条 潤
「そこが“教育の本体”だよ」

潤は挑戦状の一文を読み上げる。

宝条 潤
「『鍵番号4桁は推理で導け』だけど、情報がない。普通なら解けない」

久坂 遼生
「そう!それ!」

宝条 潤
「解けない理由は簡単です。情報は紙じゃなくて、皆さんの行動の中にあるんですから」

神宮 蒼馬
「行動…!」

織田 正長
「誰かが既に…何かをしている…」

神谷 遥香
「……待って」

遥香はハッと気づき、綾を見る。

神谷 遥香
「綾、さっき…照明落ちたとき」

宇垣 綾
「え?」

神谷 遥香
「あなた、真っ先にスマホ見たでしょ」

宇垣 綾
「……見た。時間を確認した」

鮫島 美優姫
「あっ、私も見たわ」

郷田 猛人
「俺も!」

横井 和也
「俺も見た」

宝条 潤
「みんな見た。でも――“最初に見た人”は誰ですか?」

全員
「……!」

空気が一気に真剣になる。同期たちが互いの顔を見る。
綾が静かに手を挙げる。

宇垣 綾
「……私よ」

神谷 遥香
「……」

宇垣 綾
「照明が落ちた瞬間に、反射でスマホを開いた。“止まるはずがないもの”が止まったなら、まず基準時刻」

宝条 潤
「さすが」

綾は潤に褒められて嬉しそうにしている。その様子を遥香がジト目で見ている。

宝条 潤
「鷲尾先生は、たぶんこう考えてる。最初に基準を取った者=現場で生き残る刑事。だから、その人物の“個人情報”を鍵にしたんです」

久坂 遼生
「個人情報…?」

宝条 潤
「誕生日(月日)です。でもそれが誰のかまではわかりません」

宇垣 綾
「……」

綾が目を丸くする。

宇垣 綾
「私の誕生日……でやってみる?」

宝条 潤
「うん」

宇垣 綾
「……0607」

神谷 遥香
「……は?それで開くの?」

宝条 潤
「やってみよう。誰のを入れても4桁になるし、1人ずつ試してみればいずれ開くよ」

綾がダイヤルを回す。

0…6…0…7

カチッ

箱が開く。

全員
「うわああああ!!」

郷田 猛人
「開いた!開いた!!」

横井 和也
「すげぇ…本当に…」

板倉 鉄平
「理屈は綺麗やな…」

霊山寺 儀典
「“教育”やねぇ…」

箱の中には一枚のカード。

カードには太字で。

真犯人:鷲尾 剛

そして下に一文。

『基準を取れ。現場は“正しさ”を欺く。』

全員
「……」

神谷 遥香
「……っ」

遥香は悔しそうにカードを睨む。

神谷 遥香(小声)
「……鷲尾教官……!」

宇垣 綾(苦笑)
「見事ね」

鮫島 美優姫
「腹立つくらい見事や」

織田 正長
「……教育としては完璧だ」

神宮 蒼馬
「先生の思想だ」

板倉 鉄平
「俺ら全員、現場の癖ついて“基準取る”の忘れてたんやろな」

神谷 遥香
「……」

神谷 遥香(心の声)
(潤に助けられた……しかも綾の誕生日……!)

遥香の目が細くなる。

神谷 遥香
「…………」

遥香は潤を見て、絞り出すように言う。

神谷 遥香
「……助かった。ありがとう」

宝条 潤
「え……?うん」

警察大学校 校長室/夜

重厚な木のデスク、壁には歴代校長の写真、窓の外は夜景。
棚には法学書と警察資料、そして一つだけ異質な“パズル雑誌”。

デスクの中央で、椅子に深く座る男。鷲尾剛(56) 警視監――警察大学校校長。
鷲尾が腕を組み、目を細めている。

鷲尾 剛(ニヤリ)
「……フフ……あいつらにあの暗号は絶対解けまい」

鷲尾は机の上のメモを見やり、満足げに頷く。

鷲尾 剛(独り言)
「同期で集まれば昔話に花が咲く……そこへ落とす“基準の罠”」

鷲尾 剛(鼻で笑う)
「現場は“正しさ”を欺く。優秀な奴ほど、己の推理に溺れる。例え仕組みが分かったところで、まさか宇垣の誕生日にしたとは思うまい」

鷲尾はマグカップのコーヒーを一口。

鷲尾 剛
「……せいぜい30分、無駄に悩め」

その時――

ブブッ

鷲尾のスマホが震える。

鷲尾 剛
「……ん?」

画面を確認する。

『暗号が解かれました』
『箱が開封されました』

鷲尾の目が見開かれる。

鷲尾 剛
「……は?」

一拍遅れて、眉間に皺が刻まれる。

鷲尾 剛
「……解かれた?……馬鹿な」

鷲尾は椅子から立ち上がり、スマホを睨みつける。

鷲尾 剛
「奴らに解けるはずはない!!なら一体誰が!?」

机の上にスマホを叩くように置き、部屋の中を歩き回る。

鷲尾 剛
「……違う……あの“鍵”は、俺の意図を読めなければ開かない。俺の思考に……追いつける人間が必要だ」

鷲尾は立ち止まり、静かに天井を見上げる。

鷲尾 剛
「……まさか」

鷲尾は薄く笑う。

鷲尾 剛(静かに)
「……さすが天才推理作家……完敗だ」

Restaurant Étoile

同じ夜。Restaurant Étoile。廊下。

潤は同期会の個室から出て、スマホをポケットにしまう。

宝条 潤(心の声)
(……鷲尾先生、仕掛けづくりを絶対楽しんでたなぁ。でも、遥香たちはいい顔してた。たまには、こういうのも悪くない)

潤は会食の個室の扉の前で一息つき、ノックする。

宝条 潤
「失礼します」

扉が開く。

編集者
「先生、お帰りなさい。お手洗い長かったですね」

宝条 潤
「すみません。少し面白い“事件”がありまして」

編集者
「事件?(笑)」

宝条 潤(微笑んで)
「ええ。……でも解決しました」

潤は席に戻り、ナプキンを整える。

宝条 潤
「では続けましょう。さっきの話ですが――」

Restaurant Étoile 入口前/夜

会食が終わり、Restaurant Étoileの正面玄関。

夜の都内。
高級店特有の静けさ。
街灯の光が路面を淡く照らす。

潤がコートを羽織り、店を出る。

宝条 潤(心の声)
(……さすがに今日は疲れた。鷲尾先生の件もあったし、編集者にも気を遣ったし……)

潤が息を吐いたその瞬間、背後から軽やかな足音が聞こえる。

宇垣 綾
「潤君」

宝条 潤
「……えっ」

綾は笑顔で潤の横に並び――そのまま自然に潤の腕を組む。

宝条 潤
「うわっ」

宇垣 綾(ニコ)
「会食お疲れさま。…一緒に帰ろ?」

宝条 潤
「え、いや……綾さん、ここ外……」

宇垣 綾
「外だからいいのよ。誰も見てないし」

宝条 潤(心の声)
(見られて困る人がいるんですけど!?)

宇垣 綾
「ね。潤君。タクシー拾ってさ」

宝条 潤
「……あ、ああ……」

その時、店の自動扉が再び開き――遥香が出てくる。

神谷 遥香
「……」

一歩。二歩。遥香は潤と綾を見て、目だけで空気を凍らせる。

神谷 遥香
「……何してるの?」

宇垣 綾(腕を組んだまま)
「何って?」

神谷 遥香
「潤の腕を組んでる」

宝条 潤
「い・・・いやこれは・・・」

潤は焦って腕を引こうとするが、綾が腕にしっかり絡みついて離さない。

宇垣 綾
「邪魔しないで?」

神谷 遥香
「……は?」

神谷 遥香(心の声)
(こいつ……)

遥香は無言で前に出て、潤の反対の腕を組む。

宝条 潤
「えっ!?」

宇垣 綾
「ふふ」

神谷 遥香
「ふふ」

宝条 潤
「……え?え?」

左右から美女に腕を拘束され、潤の身体が固定される。

宝条 潤(心の声)
(……終わった)

宇垣 綾
「潤君、一緒に帰ろ?」

神谷 遥香
「私が先」

宇垣 綾
「先とか関係ない。私は“今”誘ってるの」

神谷 遥香
「私は“最初から”潤の幼馴染」

宇垣 綾
「はいはい、幼馴染マウント」

神谷 遥香
「あなたこそ何マウント?」

宇垣 綾
「実家ホテルマウント?」

神谷 遥香
「……っ」

遥香の眉がピクッと動く。

宝条 潤(震え声)
「あの、2人とも……ここ、店の前で……」

宇垣 綾
「潤君、どっちが好き?」

宝条 潤
「え?」

神谷 遥香
「答えなさい」

宝条 潤
「いや今ここで!?二択!?それは死ぬ!!」

潤は必死に笑顔を作り、震えながら言う。

宝条 潤
「……あのっ!3人で帰ろう!」

宇垣 綾
「……は?」

神谷 遥香
「……は?」

宝条 潤
「え、だって平和じゃない?」

宇垣 綾
「平和じゃない」

神谷 遥香
「平和じゃない」

宝条 潤
「なんで!?」

遥香と綾は同時に、潤の顔を覗き込む。距離が近い。

神谷 遥香
「潤」

宇垣 綾
「潤君」

宝条 潤(心の声)
(……笑ってるのに目が笑ってない……この世の終わりみたいな顔してる……)

宝条 潤
「……っ!」

潤は突然、全身に力を入れ――「スッ」と体をひねり、2人の腕を外す。

神谷 遥香
「え?」

宇垣 綾
「ちょっ」

宝条 潤
「す、すみません!!僕、急に思い出しました!!帰って原稿書かないと死にます!!」

神谷 遥香
「待ちなさい潤!」

宇垣 綾
「潤君!!」

宝条 潤
「無理!!」

潤は夜の街へ――全力疾走!
郷田が遠くから出てきてその様子を目撃する。

郷田 猛人
「……え、宝条先生逃げた!?」

美優姫が後ろから出てくる。

鮫島 美優姫
「フフフ。宙夢にも帰ったら教えたろ」

潤がダッシュで逃げる。

宝条 潤(心の声)
(……俺は事件より修羅場の方が怖い)

背後から遥香の声が追いかけてくる。

神谷 遥香
「潤ーーーー!!」

宇垣 綾
「潤くーーーーん!!」

宝条 潤
「ひいいいい!!」

第17話 完

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