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半神の少女 第7話「アレス襲来再び」

第7話「アレス襲来再び」

タルタロス(奈落)

荒れ果てた闇の空間。
無数の鎖に縛られているのは、ゼウスの父にしてタイタン族の王、クロノス。
父ウラノスの王座を奪ったが、我が子にその座を奪われることを恐れ、子供が生まれる度に飲み込み続けた。
そして息子ゼウスにその座を奪われ、ここに幽閉されている。

クロノスの前に現れる一筋の雷光。
そこから姿を現す―― ゼウス。

ゼウスが静かに歩み寄る。

ゼウス
「……父よ。お元気であったか?」

クロノスが俯いたまま笑う。

クロノス
「くっふっふっふっふ……」

ゆっくりと顔を上げる。

クロノス
「この有様が……“元気”に見えるか?我が息子よ……」

鎖が重く鳴る。

クロノス
「肉体は封じられ……この奈落に繋がれ……身動き一つ取れぬわ」

ゼウスは表情一つ変えずに言う。

ゼウス
「こうして様子を見に来ているのだ。私なりの“親孝行”と思われよ」

クロノスが再び笑う。

クロノス
「くっふっふっふっふ……よく言う……」

ゼウスが背を向け歩き出す。
その時クロノスがぽつりと呟く。

クロノス
「……ところでゼウス」

ゼウス、足を止める。

クロノス
「ヘスティアに“娘”がいるそうだな……?」

ゼウス、振り返らず答える。

ゼウス
「ああ。だが――掟破りによって生まれた子だ」

一拍。

ゼウス
「消すほかあるまい」

クロノスが低く笑う。

クロノス
「くっふっふっふっふ……この父から王座を奪ったように……今度は“身内”を殺すか……?」

ゼウス、ゆっくり振り返る。
その目は冷酷。

ゼウス
「あなたも同じだろう?」

一歩踏み出す。

ゼウス
「自身の父から王座を奪い――己の子を飲み込んだ」

静寂。

ゼウス
「何も変わらぬ」

クロノスが満足げに笑う。

クロノス
「くっふっふっふっふ……それも……そうか……」

ゼウス、雷と共に消える。

オリンポス ― 神殿・玉座の間

白く輝く神殿。
ゼウスが玉座へ歩き、ゆっくりと腰を下ろす。

すると突然――

ズキン

ゼウスが顔を歪め、頭を押さえる。

ゼウス
「……ぐっ……!」

さらに強い痛み。

ゼウス
「……今も……私を縛り付けるのか……?」

低く、怒りを込めて。

ゼウス
「メティス……!!」

その瞬間――頭の奥から静かな女の声。

メティス(声)
「あなたはまた……誤るのね、ゼウス」

ゼウスが歯を食いしばる。

ゼウス
「黙れ……!」

休日・公園

柔らかな日差し。
子供たちの笑い声に、風に揺れる木々。

佳織がベンチに座って、ぼんやりと空を見上げている。
愛梨の冷たい表情が思い浮かぶ。

愛梨(回想)
「……あんな母親……大嫌い」

佳織がゆっくりと目を閉じる。

佳織(小さく)
「母親に見捨てられた……か……」

少し考えて、首を傾げる。

佳織
「……本当に、そうなのかな〜?」

佳織が空を見上げる。

佳織

「私のママは……」

一瞬、言葉が止まる。

佳織
「直接会ったことなんてないし……顔も、声も……ちゃんとは知らない」

佳織が少しだけ笑う。

佳織
「でもさ……」

胸に手を当てる。

佳織
「なんとなく、分かるんだよね」

目を細める。

佳織
「優しい人だって」

子供が転びそうになるが、母親が抱きとめる。
その光景を見つめる佳織。

佳織(ぽつり)
「……捨てるような人じゃない」

少しだけ真剣な表情になる。

佳織
「もし、そう見えるなら……」

拳を軽く握る。

佳織
「きっと、理由があるんだと思う」

強い光が宿る。

佳織
「だから私は――」

立ち上がる。

佳織
「ちゃんと会って聞きたい。なんで会えなかったのか」

一歩踏み出す。

佳織
「それで……」

少し照れながら笑う。

佳織
「いっぱい話すんだ」

空を見上げる佳織。

佳織(小さく)
「待っててね、ママ」

風が吹き抜ける。

少し離れたビルの屋上。
その場所に立つ影――アレス、ポボス、デイモス、レムス。

ポボス(低く、確信を持って)
「……見つけましたな、父上」

デイモス(口角を上げる)
「さっさとやっつけましょう」

レムス(肩をすくめて)
「血気盛んですね、兄上たちは」

風の音だけが響く。
アレスは黙ったまま、佳織を見下ろしている。

影が深く落ちる。

アレス(低く、静かに)
「……」

ゆっくりと一歩前へ出る。

アレス
「……行くぞ」

その一言と同時に――空気が歪む。
周囲の景色が揺らぐ。

アレスの目が光る。

アレス
「逃がさん」

公園・夕方

佳織がベンチから立ち上がる。

佳織
「……よし、帰ろっか」

一歩踏み出した瞬間――

ピタッ……

風が止まり、音が消える

佳織
「……え?」

空気が“ビキッ”と割れる。
黒い裂け目が空中に走る。

裂け目から現れる影――アレス
ゆっくりと地面に降り立つ。

佳織(息を呑む)
「……あ……あなたは、この前の……!」

アレスが無表情のまま見下ろす。

アレス
「ヘスティアの娘よ」

アレスが一歩近づく。
地面がミシリと軋む。

アレス
「俺を覚えていたか」

一瞬の間。

アレス
「だが――」

剣に手をかける。

アレス
「今日がお前の命日だ」

背後の空間がさらに歪み、ポボスとデイモスが現れる。

ポボス(低く、冷たい声)
「俺は恐怖の神――ポボス」

一歩踏み出す。

ポボス
「お前には“死の恐怖”を与えてやろう」

デイモス(楽しげに笑いながら)
「俺は恐慌の神――デイモス!」

腕を広げる。

デイモス
「真の恐慌がどういうものか……教えてやろう!」

ゆっくりとレムスが現れる。

レムス(軽く手を振りながら)
「俺はレムス」

肩をすくめる。

レムス
「まあ、覚えなくていいよ」

薄く笑う。

レムス
「どうせ……ここで死ぬんだから」

佳織が一歩後ずさる。

佳織(心の声)
(何……!?この圧……!体が……動かない……!)

ゆっくりと剣を抜く。

キィィン……

重く響く金属音。
空気がさらに重くなる。

アレス(叫ぶように)
「息子達よ――!」

剣を振り上げる。

アレス
「ヘスティアの娘を殺せ!!」

全員佳織に襲い掛かる。
佳織の目が見開かれる。

佳織
「――っ!!」

空は赤く染まり始めている
アレスたちに囲まれる佳織。息を荒げながらも踏みとどまる。
すると……

ドンッ!!

空気を裂くように現れたのは蓮と月菜。


「佳織!!」

月菜
「佳織さん!!」

佳織が振り返る。

佳織
「蓮! 月菜ちゃんも!」

蓮と月菜が佳織の前に立ち、自然と“守る構図”になる。そしてゆっくりとアレスを見据える。

蓮(落ち着いた声で)
「……戦いの神にしては、随分物騒な真似ですね。伯父さん」

空気が一瞬凍る。

月菜(静かに続ける)
「まさか佳織さん一人のために……ご自身の息子たちまで引き連れて来るとは」

冷たい視線。

月菜
「伯父さんが……こんな卑劣な方だとは思いませんでした」

アレスがゆっくりと二人を見る。

アレス
「……アポロンの息子に……アルテミスの娘か」

目が細くなる。

アレス
「今……俺を“伯父さん”と言ったか?」

蓮が軽く肩をすくめる。


「ええ。だって、うちの親父と月菜のお母さんのお兄さんですよね?」

月菜が小さく頷く。

月菜
「なので……敬意を込めて、伯父さん、と呼ばせていただきました」

アレスの表情が、わずかに歪む。

アレス
「……」

“苛立ち”が滲んだ顔。

蓮と月菜が同時に一歩前へ行き、佳織の前に立つ。

蓮(低く)
「伯父さんが佳織を殺すなら――俺達も容赦はしません」

月菜
「ここは通しません」

アレスの怒気が一気に膨れ上がる。

アレス
「……その呼び方はやめろ!!」

地面が震える。

アレス
「そいつらもまとめて――」

アレスが剣を振り上げる。

アレス
「殺してしまえ!!」

ポボス、デイモスが笑う。
レムスが静かに動く。

ポボスとデイモスが同時に襲いかかる。地面を抉りながら一直線に突進。

デイモス
「行くぞォォ!!」

ポボス
「恐怖に沈め!!」

2人は一歩も動かず、一瞬だけお互いの顔を見る

コクッ

2人が同時にうなずき、ゆっくりと目を閉じる。

静寂。

次の瞬間――

ドォォォン!

2人の体から光が爆発する。

蓮は眩い“黄金の光”に包まれる。それはまるで――太陽。
月菜は静かで神秘的な“白銀の光”に包まれる。それはまるで――月。

周囲の闇が押し返される。影が消え、世界が照らされる。

ポボス
「……これは……!」

デイモス(目を細める)
「アポロンとアルテミスの力か……!」

蓮がゆっくりと目を開く。瞳が金色に輝く。


「……来いよ」

月菜が静かに目を開く。瞳が蒼白に光る。

月菜
「ここから先は、一歩も通しません」

アレスが腕を組みながら見下ろす。

アレス(小さく舌打ち)
「……チッ」

目を細める。

アレス
「やはり……力が覚醒していたか……」

ポボスの口元が歪む。

ポボス
「ハッハッハッハ!!面白い!!」

デイモスは狂気の笑みを浮かべる。

デイモス
「お前らもまとめて――」

踏み込む。

デイモス
「きり刻んでやるわ!!」

ドンッ!!!

太陽と月の光が交差する。光と闇が激しくぶつかる。

デイモス
「いいぞいいぞォ!!もっと来い!!」

ポボス
「恐怖が薄いな……だが、それも時間の問題だ」


「余裕ぶってんじゃねぇよ……!」

月菜
「左から来ます!」

 激突するたびに衝撃波が走る。

佳織が蓮たちの戦いを見ている。

佳織(心の声)
(2人とも……!)

その瞬間……

レムス(背後)
「よそ見してていいのか?」

佳織がハッと振り向く。

佳織
「っ!?」

レムスが接近していた。

レムス(軽く笑って)
「お前は俺が相手してやるよ」

レムスが剣を抜く。

キィィン……

そして一切の迷いなく斬りかかる。

レムス
「死ねよ」

次の瞬間……

ドォン!!

佳織の体から炎が爆発的に広がる。炎がドーム状に展開。

佳織
「っ……!!」

レムスの剣が炎が叩きつける。しかし突破できない。

レムス
「……は?」

さらに連撃。

レムス
「チッ……!!」

レムスが連続斬撃を入れる。
しかし―― すべて弾かれる

佳織が歯を食いしばる。

佳織
「負けない……!!」

炎がさらに強く燃え上がる。

レムスの苛立ちが表に出る。

レムス
「あ〜もう……」

剣を振り払う。

レムス
「鬱陶しいな〜!!」

炎が一瞬だけ大きく揺らぐ。

佳織(心の声)
(怖い……!でも……ここでやられたら……!)

戦場から少し離れた場所。
愛梨が物陰から戦いを見ている。

愛梨(呆然と)
「……何なの……?」

愛梨が目を見開く。

愛梨
「……あれ……」

一歩、無意識に前へ出る。炎に包まれながらも耐える佳織を見つめる。

愛梨(小さく)
「……あの子……」

炎のバリアが揺らぎ続けている。しかし佳織は歯を食いしばり耐えている

レムスは何度も斬りつけるが――

レムス
「チッ……壊れねぇ……!」

剣を振り下ろす。しかし、弾かれる。

レムス
「なんだよこの防御……!!」

アレスが後方から静かに声をかける。

アレス
「……どけ、レムス」

レムスが振り向く。

レムス
「父上!?」

アレスがゆっくりと歩み寄る。

アレス
「前は破れなかったが……」

剣を構える。

アレス
「今は違う」

アレスが圧倒的な斬撃をくらわす。

ドォォォォン!!!

炎のバリアに直撃。バリアに“ヒビ”が走る。

佳織(呆然と)
「……え?」

炎が揺らぎ、崩れかける。

アレスが笑う。

アレス
「これで終わりだ!!」

剣を大きく振り上げる。

アレス
「死ねえええええっっっっっ!!!」

愛梨がその光景を見ている。

愛梨(心の声)
(……やめて……)

佳織が斬られようとしている。

愛梨(小さく)
「……やめて……」

愛梨が一歩踏み出す。

愛梨
「やめて……!!」

そして走り出す。

愛梨
「やめてええええええっっっっっっ!!!!」

すると愛梨の手から光が爆発し、次の瞬間巨大な“盾”が展開する。

ガァァァン!!!

アレスの剣が弾かれる。
アレスは目を見開く。

アレス
「……これは……」

低く呟く。

アレス
「アテナの防具……アイギスの盾か!!」

佳織が振り向く。

佳織
「……!」

そこには愛梨が立っている
愛梨は自分の手を見つめる。

愛梨
「……これ……」

震える声。

愛梨
「……私……?」

佳織が驚きながら叫ぶ。

佳織
「宇保方さん!?」

蓮も遠くから見て言う。


「え!?マジ!?」

月菜が静かに見つめる。

月菜
「あの方が……」

愛梨はまだ理解できていない。
炎のバリアは消え、アイギスの盾が淡く光っている。

佳織がすぐに愛梨の元へ駆け寄る。

佳織
「宇保方さん……!」

息を整えながら問いかける。

佳織
「どうしてここに……?」

愛梨はまだ状況が飲み込めていない。自分の手を見つめながら答える。

愛梨
「……たまたま、この近くを通りかかって……」

佳織を見る。

愛梨
「そしたら……あなたが襲われてたから……」

少しだけ目を逸らす。
蓮と月菜が走って合流する。


「ホントだ……!宇保方さんだ!」

愛梨が蓮を見る。

愛梨
「あなたは確か……神宮寺さんと同じA組の白石君」

月菜に視線を向ける。

愛梨
「それと……隣にいるのは?」

月菜が一歩前に出て、丁寧に頭を下げる。

月菜
「はじめまして。西高1年の岬月菜です」

顔を上げる。

月菜
「助けていただいて、ありがとうございます」

愛梨が少し戸惑う。

愛梨
「……別に……」

言葉を濁す。

その時――

ドンッ!!

空気が震える。
アレスが怒りに満ちた声で言う。

アレス
「貴様が……アテナの娘か……!」

剣を握りしめる。

アレス
「邪魔をしおってえええええっっっっっ!!!!」

全員が構える。
佳織が一歩前へ出る。

佳織
「待って!!」

佳織がアレスをまっすぐ見つめる。

佳織
「どうして……私を殺そうとするの?あなた……私の従兄なんでしょ?」

アレスが動きを止める。

アレス
「……」

低く答える。

アレス
「お前が“掟破り”によって生まれたからだ」

目を細める。

アレス
「だからわが父ゼウスは――」

一歩踏み出す。

アレス
「お前の殺害を命じた」

風が吹く。

アレスがふと視線を上げる。

アレス
「……俺の娘も、お前と同い年だ」

少しだけ声が低くなる。

アレス
「だから……お前を殺すことには……」

一瞬の間。

アレス
「多少の抵抗がある」

空気が変わる。

アレス
「だがな……」

拳を握る。

アレス
「神である以上――主神には逆らえぬ」

瞳に狂気が宿る。

アレス
「戦いの神としての血が……どうしてもそれを許さぬのだ」

アレスがゆっくりと剣を鞘に収め、背を向ける。

アレス
「……神宮寺佳織」

振り返らずに言う。

アレス
「次こそは……お前の命をもらう」

一拍。

アレス
「悪く思うな」

空間が歪み、アレス、ポボス、デイモス、レムスが消える

佳織が拳を握る。

佳織(小さく)
「……そんな……」

愛梨が佳織を見つめる。その目には迷いと変化。愛梨がその場に立ったまま、自分の手を見つめている。
そしてゆっくりと顔を上げ、佳織を真っ直ぐ見る。

愛梨
「……私」

一拍。

愛梨
「あなたに協力するわ」

佳織が一瞬言葉を失う。

佳織
「……え?」

次の瞬間、表情が一気に明るくなる。

佳織
「ホント!?」

愛梨がすぐに視線を逸らす。

愛梨
「勘違いしないで」

腕を組む。

愛梨
「別にあなたのためじゃない」

少し強めの口調。

愛梨
「母に会って……文句を言ってやりたいだけ」

目にわずかな怒り。

愛梨
「どうして17年も……会いに来てくれなかったのか、問い詰めてやるわ」

佳織が少しだけ笑う。

佳織
「……そっか」

優しく頷く。

佳織
「でも、一緒だね」

愛梨が眉をひそめる。

愛梨
「……何がよ?」

佳織がまっすぐ見つめる。

佳織
「私も、ママに会いたい」

一歩近づく。

佳織
「ちゃんと話したいって思ってるから」

愛梨が一瞬言葉に詰まる。

愛梨
「……」

目を逸らす。

愛梨
「……ほんと、楽観的ね」

その時、後ろから声。


「いいじゃん、それで」

笑いながら近づく。


「理由なんてどうでもさ。仲間が増えたんだから」

月菜が静かに頷く。

月菜
「ええ。歓迎します、宇保方さん」

愛梨が少しだけ戸惑う。

愛梨
「……まだ仲間になったつもりはないわ」

そっぽを向く。

愛梨
「協力するって言っただけ」

佳織が笑う。

佳織
「うん、それでもいいよ!よろしくね宇保方さん!ううん……愛梨ちゃん!」

翌日 カフェ・昼

落ち着いた店内。窓から柔らかな光が差し込む。
テーブル席に集まる――佳織・蓮・月菜・大悟・海斗・愛梨。

佳織hs少し嬉しそうに紹介する。

佳織
「みんな、紹介するね。この子が宇保方愛梨ちゃん」

愛梨が姿勢を正して軽く頭を下げる。

愛梨
「宇保方愛梨です。2人ともよろしく」

大悟が腕を組みながら短く答える。

大悟
「……刈間大悟だ」

軽く顎を上げる。

大悟
「よろしくな」

海斗がニコニコしながら前のめりに言う。

海斗
「橋本海斗だ!」

手を振る。

海斗
「よろしくな、愛梨ちゃ〜ん!」

愛梨が少し引いた表情をする。

愛梨
「……ずいぶんなれなれしいのね……」

海斗が気にせず笑う。

海斗
「え〜?冷たいな〜」

愛梨が冷静に返す。

愛梨
「それに……」

海斗をじっと見る。

愛梨
「あなたのお父さんは、私の母とアテナイの所有権を巡って争った仲よ」

海斗が「あー…」と頭をかく。

海斗
「まあ……その話は父さんから聞いたけどさ……」

肩をすくめる。

海斗
「でもさ、親同士の話じゃん?」

軽く笑う。

海斗
「俺らには関係なくない?」

愛梨が少しだけ目を細める。

愛梨
「……楽観的ね」

海斗がそのまま佳織に視線を向ける。

海斗
「よかったな、佳織ちゃん」

佳織が嬉しそうに頷く。

佳織
「うん!」

海斗がニヤッと笑う。

海斗
「でもさ〜、今日もかわいいね佳織ちゃん〜」

空気が一瞬凍る。
蓮がゆっくりと立ち上がり、指をパキパキ鳴らす。

蓮(低い声で)
「……お前、ちょっと裏に来いや」

月菜がすぐに蓮の腕を掴む。

月菜
「蓮君、落ち着いて……」

佳織が慌てる。

佳織
「ちょ、ちょっと待って2人とも!?」

海斗は全く気にしていない。

海斗
「え?なんで俺が悪い流れになってんの?」

大悟がため息をつく。

大悟
「……お前は通常運転だな」

愛梨がその様子を見て――少しだけ驚く。
ほんのわずかに口元が緩む

愛梨(小さく)
「……変な人たちね」

それを聞いて笑う。

佳織
「でしょ?」

第7話 完


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