1回目の世界一周 2018 きっかけ ~世界一周とのめぐりあい~
「世界一周旅行」、それは膨大なお金と膨大な時間を使って行う、多くの人にとってまさに「究極の旅行」である。通常の海外旅行ならまだしも、フツーに生きている人にとってはそもそもそういう発想にならないし、思いついたとしてもお金も無ければ時間も無い、「いつかやれたらいいな〜」で終わってしまう夢物語のようなものだ。
私は大学在学中に中学校の社会科の教員を目指しており、「教科書に載っていることを自分の目で確かめたい」という想いから2015年(当時20歳)までには日本の47都道府県を一応訪問することができたし、2016年の台湾への初海外旅行をきっかけにタイ、香港、マカオへ海外旅行をするようになった。さらに、大学在学中に1年間休学して世界一周することを本気で考えたこともあった。だが、それ以上のことは何もできなかった。アルバイトの塾講師の仕事が楽しく充実しており、長い間その仕事を休んで旅行に行くことなど考えられなくなってしまっていたのである。2016年度の終わり(当時21歳、大学3年次)には「教員になれる確率を少しでも上げるため」という名目で大学院への進学も決めてしまった。本当のところは塾講師の仕事をもう少し続けてみたかったこと、このまま教員になることへ何となく不安を感じていただけであった。だから大学院へいって地理学を学ぶことまでは決まっていても、具体的に何を研究したい、するということはまったく決まっておらず、振り返ってみると、当時の私は「教員になるために」ではなく「アルバイトの塾講師を続けるために」という観点で動いてしまっていたのであろう。自分が本当にやりたいこと、やるべきことをすっかり見失っていた。
そんな中、それまでの自分の考え、行動を一変させるような2つの大きな出来事があった。そしてこれこそが自分を最初の世界一周へと導くきっかけとなる。
1つ目は海外旅行で3万円以上を無駄にしてしまったことである。2017年の3月中旬にソウルや板門店へ行くつもりで航空券、ホテル、ツアー、レンタルWIFIを予約していたのだが、どういうわけか飛行機の時間を勘違いしてしまい、飛行機に乗り遅れてしまった。成田空港に着いてから発覚したのだが、お陰でキャンセル料やらなんやらで多額のお金を無駄にしてしまい、成田空港からの帰りのバス・電車の中では頭の中が真っ白になってしまった。ソウルへ行けなかった理由があまりにも恥ずかしく、母には「飛行機が欠航になった」と嘘をついた。
さて、あまりにも初歩的かつ幼稚的なミスで多額のお金を無駄にしてしまったわけだが、家に着き、ベッドの上に横たわっていると、ふとこれまでの自分の生活に対して疑問を感じた。「このまま今まで通りアルバイト中心の生活を続けて大学院までにも行って、それで本当に自分のためになるのだろうか。このような海外旅行をあと何回かやっただけで教員になったとして本当に自分の想い描いていた通りに授業ができるのか」と。2~3日間飛行機の件でショックを引きずりながら色々考えていると、「世界一周」のことがふと頭にうかんだ。世界一周という言葉を覚えたのは確か中学生くらいの時だったと思う。高校生の時に海外旅行をすることを思いついてからは「大学生になったら3年目を休学して半年~1年間世界一周しよう」と本気で思ったこともあった。結局、大学在学中は塾講師のアルバイトに夢中になったこともあり、休学してまで世界一周することはなく、この時までには世界一周の事なんてすっかり忘れてしまっていた。そんな中、この事件がきっかけで世界一周のことを思い出したのである。「大学院に進学したとして一年次の夏休み中の2〜3週間くらいであれば世界一周できるかもしれない…。それは可能なのか。可能ならばやってみたい…」と思い、ある日のアルバイト後の深夜の1~2時間でとりあえず行きたい場所、ルートを手帳に書き写した。
東京,シンガポール,クアラルンプール,バンコク,香港,デリー,アンマン,ローマ,ベルリン,ロンドン,パリ,マドリード,リオデジャネイロ,ブエノスアイレス,サンティアゴ,リマ,メキシコシティ,ニューヨーク
これが一番初めに思いついたルートであったように思う。構想したルートが実現可能なのか、インターネット上でシミュレーションして、新しいルートを出したり料金を計算したりした。その結果,ワンワールドの4大陸世界一周航空券を購入した場合、
東京,デリー,クアラルンプール,アンマン,ロンドン,ベルリン,ローマ,マドリード,ブエノスアイレス,リオデジャネイロ,サンティアゴ,ボゴタ,リマ,メキシコシティ,ニューヨーク,東京
というルートでおよそ46万円かかるということが分かった。期間については無理をすれば3週間ほどで行けるものの,せっかく遠くまで行くのならもう少しゆっくりしたいと思い、再考した結果、1カ月以上必要であることが分かった。1ヶ月少々であれば夏休みだけを使い何とかなるだろう。
問題は費用である。航空券に46万円かかるということはこれに加え観光代やホテル代などを足して80万円,準備などを含めれば合計100万円を超えるのではないか。そんな大金をたった1年半で準備する事などできるのか。大学生になってからアルバイト代で相当稼げていたこともあり、金遣いが荒くなっていた。そんな時、部屋にあった「30万円貯まる貯金箱」が目に留まった。これはたしか大学2年次の時にふざけて購入したもので、少しだけ500円玉貯金をしていた。1万円ちょっと貯まったところですぐにやめてしまったのだが、今ならこれを使って貯金できるかもしれない。500円×365日=18万円、それに毎月2~3万円ずつを現金で貯めてそれで約46万円の世界一周航空券を購入する。そして出発までの残りの3~4カ月でそれ以外の旅費を貯めるという作戦を立てた。よし、これで行こう。その日から世界一周に向けた挑戦が始まった。とはいっても、この時(2017年4月)は塾講師のアルバイトのことを考えると、まだ世界一周に行くという強い気持ちを持てず、500円玉貯金はきちんとやっていたものの,結局お金を貯めるだけで世界一周なんて行かないんだろうな~と思っていた。しかし、世界一周を決心するきっかけとなる2つ目の出来事に遭遇する。それは教員を目指す上で誰もが体験する「教育実習」であった。
(準備編に続く)
