「気合」も「根性」もいらない。ふつうの人が「最後までやり切るプロ」になるための脳の使い方
はじめまして。
私は現在46歳のいわゆる「ふつうのおじさん」の会社員です。
社会人になって20年以上働いてきましたが、日々四苦八苦し、学びながら、どうにか今日まで働いてこられた人間です。
才能もなければ、鋼のメンタルを持っているわけでもありません。
そんな私が今年、社内のメンバーに向けて「プロジェクトマネジメント(PM)」に必要なポータブルスキルの研修を始めました。
なぜ、ふつうのおじさんがこの技術を教えはじめたのかというと、私のような「ふつうの人」が、仕事を完遂するために必要な技術だと実感しているからです。
今日は、研修の第1回で伝えた、根性論を取り去った「脳の扱い方」の話を少し共有させてください。
【なぜ今、ふつうの私たちが「PM力」を学ぶのか?】
今年の3月から、2週に1回のペースで社内の「PM(プロジェクトマネジメント)」に必要なポータブルスキルの研修を始めました。
「PM」と聞くと、システム開発の専門職をイメージする方が多いかと思いますが、ここでいうPMとは、「モノゴトを責任を持って完遂できる人」のこととしています。
限られたリソースを管理し、期限内に成果を収める技術。
この「PM力」は大きく4つの要素で構成されていると考えています。
プロジェクトの実効性に寄与するリーダーシップの源、「マインド・特性」
抜け漏れないタスク設計を行う「コンセプチュアルスキル」
進行の基本となる人とのつながり「ヒューマンスキル」
成功裡に進めるための管理能力「テクニカルスキル」
これらは決して才能ではなく、「すべて後天的に身につけられる」ポータブルスキルです。
いくらテクニカル的に完璧な計画を立てても、実行する自分自身のエネルギーが枯渇していては意味がありません。
今回のnoteでは、これら要素のすべての土台であり、日々のパフォーマンスを決定づける「マインド・特性(レジリエンス)」についてお伝えします。
レジリエンスというと、一般的には「しなやかさ」や「回復力」とスマートに解釈されているかと思いますが、私はもっと泥臭く「日々を乗り切る力」と理解しています。
毎日をなんとか乗り切る。そのための具体的な武器を共有させてください。
【会議中なのに「別の心配事」を考えてしまうあなたへ。脳のメモリを食い潰す「DMN」の止め方】
日々仕事をしていると、「いつも他のことを考えてしまう」「目の前の作業に集中できない」と感じることはありませんか?
実はそれは、やる気の問題ではなく、脳の「DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)」という機能のせいかもしれません。
DMNとは、脳が意識的な活動をしていない時に働く機能です。話を聞きながら別のことを考えてしまったり、作業中に過去の失敗や未来の不安が不意にフラッシュバックしたりするのは、このDMNの働きによるものです。
もともとは原始時代、狩りの最中に外敵に襲われないようにするための危機管理機能だったそうですが、現代ではこれが厄介者となってしまいます。なんと、脳のエネルギーの60〜80%をこのDMNが消費してしまうのです。例えるなら、PCのバックグラウンドで不要なアプリが立ち上がり、メモリを食い潰している状態です。
私たちが身につけるべき「今日を乗り切る力(レジリエンス)」とは、このDMNに振り回される「受け身(Reactive)」の状態から抜け出し、「今に集中する(Proactive)」能動的な状態を作ること。
「DMN」に自覚的になり、意図的に意識を今へと引き戻す。このコントロール術こそが、仕事を完遂させるプロへの第一歩です。
【疲れた脳をハックし、「今」を取り戻すPMの実戦テクニック】
とはいえ、私たちの脳は放っておくとすぐに「今」から逃げ出してしまう性質を持っています。そこで今回は、逃げる脳を強制的に「今」へ引き戻す技術と、疲れ切った脳を効率よく回復させるハックを整理しました。
▼ 意識を「今」に向ける技術
口出し確認: 「今から資料を作るぞ」と声に出すだけで、脳のスイッチが入ります。
脳外ストレージへの退避: DMNが別のタスクを連れてきたら、即座にメモに書き出して脳から追い出す。脳を「保存」ではなく「思考」だけに集中させます。
視界をクリアに: 机の上の不要なものを片付け、ブラウザの不要なタブは閉じる。DMNの大好物である視覚的なノイズを排除します。
▼ 脳のオーバーヒートを冷ますリカバリー
視覚情報の遮断: 手で目を覆って1分間だまる。脳に入る情報の8割以上を占める視覚を断つだけで、脳の休息の質が劇的に高まります。
戦術的呼吸: 「4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める」を繰り返す。自律神経を整え、強制的に能動的な状態へ引き戻します。
脳のガソリン補給: ラムネを食べる。脳のエネルギー源であるブドウ糖をダイレクトに補給しましょう。
【まとめ:悩むのをやめて「とりあえず1mm動く」】
精神分析医のカレン・ホーナイは、「悩んでいる人の最大の救いは悩むこと」という言葉を残しているそうです。
人間は、タスクに着手する代わりに「悩む」という行為に逃げることで、自分を納得させてしまう生き物なのかもしれません。
しかし、不安や後悔というDMNの渦中で立ち止まっていても、プロジェクトは1mmも進みません。プロのPMとは、完璧な人間ではなく、人間が本来持っている「脳の仕組み」を、「技術」でコントロールできる人のことだと考えています。
自分が悩んでいることに気づいたら、まずはその状態を認めて、脳をうまく使って動き出す。
明日、仕事中にふと集中力が切れたら、 まずは目を手で覆って1分間黙るか、ラムネを一粒食べて、目の前のタスクを「資料のタイトルだけ入れる」といった最小単位まで分解して、1mmだけ進めてみるのはいかがでしょうか。
その小さく「能動的(Proactive)」な一歩の積み重ねが、我々をモノゴトを完遂させるプロへと変えていくのだと思います。
参考文献:
『どんなことからも立ち直れる人
―逆境をはね返す力「レジリエンス」の獲得法―』
加藤諦三 著(PHP研究所)
今回のレジリエンスの定義や、「悩むこと自体が救い」といった観点は本書から学びました。折れない心を作るためにとても参考になった一冊です。
この記事を書いた人:
2005年株式会社ブイキューブ入社。実務の人。
カスタマーサポートセンター立ち上げの後、マーケティング、広報担当を経験。
2018年よりイベント制作・運営業務に従事。2021年より、延べ30万人の候補者が参加する採用系イベントのPMを経験している他、大小様々な企業系イベントのPMと制作チームのマネジメント経験を蓄積中。
「麦、米、芋を中心にバランスよくたくさん飲むことを心がけています。」
※ 発信内容は個人の見解です。所属組織を代表するものではありません。
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