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タイで運転免許を取ってみたら、「ゴーホーム」と言われた話

タイへ駐在していた約5年半の間、会社の規則で車の運転は禁止されていました。

理由はいくつかあります。

・交通ルールが日本ほど明確ではないこと
・運転技能にばらつきがあり、極端に運転が苦手なドライバーも一定数いること
・事故時の保険制度が日本ほど整備されていないこと
・言葉の壁もあり、万が一事故を起こすとトラブルが大きくなりやすいこと

会社の指示で海外勤務をしている以上、ルールは守らなければなりません。

とはいえ、私は定期的にハンドルを握らないと落ち着かない性分です。

クルマ好きにとって「運転禁止」は、実は駐在生活でいちばんつらいルールだったかもしれません。

それでも、タイの運転免許だけは取得しました。

運転しないのに、なぜ免許を取ったのか。

理由は意外と実用的です。


タイで運転免許を持つメリット

タイの運転免許証には、運転以外にもいろいろなメリットがあります。

・パスポートを持ち歩かなくても身分証明書として使える
・国立公園や公共施設、遊園地などでタイ人料金が適用されることが多い
・タイ人の友人との距離が少し縮まる

タイでは外国人料金とタイ人料金の「二重価格」が設定されている施設が珍しくありません。

施設によっては外国人料金がタイ人料金の何倍もすることがあります。

運転免許証を提示すると、「タイ国内で生活し、働いている人」と判断され、タイ人料金が適用されるケースが多くありました。

家族のパスポートとビザを一緒に見せると、家族全員がタイ人料金になることも。

もちろん、そこはタイらしく窓口の担当者次第。

昨日はOKだったのに今日はダメ、なんてことも普通にありました(笑)。


日本で準備しておいて本当に良かったもの

タイで免許を取得するなら、絶対に日本で準備しておいた方がいいものがあります。

有効期限内の国際運転免許証です。

これがあるだけで手続きはかなり簡単になります。

私が準備した書類は、

・国際運転免許証
・日本の運転免許証
・居住証明書
・ワークパーミット(労働許可証)
・健康診断書 (駅前のクリニックで簡単に取れます)

だったと記憶しています。

(2018年当時の話なので、現在は変更されているかもしれません。)

もし国際免許がない場合は、日本大使館で運転免許証の英文証明書を取得する必要があり、手間が一気に増えてしまいます。


最大の難関は「適性検査」

書類さえそろえば、あとは日本でいう運転免許センターのような施設へ行くだけです。

外国人向けに英語版のガイダンス映像も用意されていて、視力や立体視、視野などの適性検査を受けます。

ところが…

一番苦戦したのが視野検査でした。

顎を固定し、正面だけを見たまま、視界の端で点灯する信号の色を答える検査です。

少しでも視線が横へ動くと、

「ハイ、ウゴイタ。モウイッカイ。」

となります。

最初は簡単だろうと思っていたのですが、人間って意外と反射的に目が動いてしまうものなんですね。

何度やっても、

「ハイ、ウゴイタ。」

「ヤリナオシ。」

そのうち検査官のおばちゃんから

「ネクストタイムNG、ゴーホーム。」

と言われてしまいました。

周りのタイ人は次々と合格していくのに、私だけ進まない。

書類も全部そろえた。

貴重な休日を使って来た。

ここで「ゴーホーム」だけは絶対に避けたい。

そう思って、次こそはと必死に正面だけを見続けました。

結果は…

「ハイ、ゴウカク。」

思わず心の中でガッツポーズでした。


晴れてタイの運転免許取得

適性検査を終えたあとは、書類を提出して写真を撮るだけ。

その日のうちにタイの運転免許証が発行されました。

ちなみにタイの役所は、日本のように丁寧ではありません。

基本的にとても事務的です。

困っていても積極的に助けてくれることは少なく、「分からないならあっちへ行って」という対応もしばしば。

私は駐在一年目だったので、日本語が話せるタイ人の友人が付き添ってくれました。

あの時は本当に助かりました。


海外で暮らして初めて分かること

日本へ帰国してから運転免許を更新したとき、

「ああ、日本の手続きって本当に分かりやすいな」

と改めて感じました。

一方で、タイでは言葉が十分に分からないだけで、役所の手続きひとつにも緊張します。

日本で暮らしている外国の方も、きっと同じような思いで手続きをしているのでしょう。

海外で生活してみると、自分にとっての「当たり前」が、決して当たり前ではなかったことに気づかされます。

タイの運転免許証は、今でもそんな経験を思い出させてくれる一枚です。

あとがき

運転することはできませんでしたが、タイで運転免許証を取得した経験は、現地で暮らしたからこそ得られた思い出のひとつです。

Driver's noteらしく言えば、クルマそのものではなく、その国の文化や暮らしを知るための「一枚の免許証」だったのかもしれません。

あ~来年で有効期限切れてもう更新できない ( ノД`)シクシク…


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