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【観劇感想】頑張りすぎ、ギリギリな大人たちへ|『クワイエットルームにようこそthe musical』@Theater Milano-za(新宿)

こんにちは、ヒロミヤです。
2025年、子宮体癌の手術を受けました。療養を経て、今はわりと元気に復帰しています。
これは予定外に観劇に誘われたときの話。
有限会社「大人計画」が社名を有限会社「さておき」に変更するというニュースを見かけたので、記憶がまだ鮮明なうちに書き留めておきます。
お目に留めていただき、ありがとうございます。おつきあいいただければ幸いです。


観劇の誘い

1月のある日。
「もう元気なら、一緒に行かない?」と、友人に観劇に誘われました。
彼女なりの快気祝いのようです。

『クワイエットルームにようこそthe musical』
松尾スズキ作・演出、元々、映画や小説だった作品です。松尾スズキさんご本人が本作のミュージカル化を熱望されていたと聞きました。
気になってチェックしていた作品なので、一も二もなく即返信しました。

「はい、行きたい!」

2023年春、休館直前のシアターコクーン(渋谷)で『シブヤデマタアイマショウ』を観たときに、新宿、そして開館目前のTheater Milano-zaを意識した台詞がポンポン飛び出していました。
そんな松尾スズキさんがそのTheater Milano-zaでどんな舞台を組むのか、とても気になっていたのですよね。


歌舞伎町タワー

さて、観劇の日。
ソワレの開演時間が平日17:30とちょっと早め。(都内とはいえ、勤め人には厳しめの時間設定です。)

幸い、彼女も私も時間のやりくりができました。彼女は出先からの直帰、私は会議あがりに速攻で移動し、西武新宿駅の下で待ち合わせました。
ここから歌舞伎町タワーは徒歩1分。
寒い、寒い……と言い交わしながら歩いている間に着く距離です。
109シネマズ(映画館)のほうには時々行くのですが、Theater Milano-zaは初めて。

ちなみに、西側のエスカレーターで上がっていくと、開放的な窓越しに西武新宿線やJRの一部、それから西新宿の夜景が一望できます。新宿駅西口方面は再開発工事中のところも多いのですが、変貌する街、新宿のダイナミズムが感じられる場所です。
お勧めのビュースポットですよ。

これは別の日、109シネマズからの眺め

チャーミングなステージ


舞台はシンプルに白いボックスを重ねたような背景。
白い箱は、病室でしょうか、ワンルームでしょうか? 
中央のステージの展開を邪魔しない美術。

とにかく素晴らしいのが、歌とダンスのクオリティの高さ!
冒頭の雑踏シーン、賑やかで厚みのあるコーラスからして心を掴まれました。

一見華やかでキラキラした生活を送りながらも、実際はギリギリなヒロイン、明日香
家族との不和、恋人との諍い、仕事上の重圧……ついに、諸々から逃れるように睡眠薬のオーバードーズ。
彼女が緊急搬送された先は精神病院の閉鎖病室、そして閉鎖病棟で出会う人たちとのエピソードの数々。
かなり重いテーマにもかかわらず、芸達者揃いのキャストなので、ポップで軽やか、コメディタッチの仕上がり。

明日香役は咲妃みゆさん。ギリギリではち切れそうなのに、だからこそ魅力であふれているような難しい役どころを説得力たっぷりに演じていました。

明日香の恋人・鉄雄役の松下優也さん。鉄雄役はかなり三枚目な役どころなのですが、優しくも情けない鉄雄を絶妙に愛すべきキャラとして演じ、魅せていたのはさすがでした。

昆夏美さん演じる、摂食障害の少女・ミキ役も素晴らしく印象的でした。もっとソロで歌ってほしかった。ナース・山岸役の桜井玲香さんの声もとても素敵でした。
りょうさん、姿が映画の時の役と変わらず。お見事です。

楽曲自体も、耳馴染みがよいメロディで。
ミュージカルにありがちな、日本語としてはかなり無理のある節回しがほとんどないので、ストレスがない。とても素直に聴ける感じ。
松尾スズキさんのちょっと癖のあるリリックがすっと入ってきて、聞き取りやすいのです。キャストさんたちも、心なしか、のびのびと歌っているように見えました。
作曲は宮川彬良さん。Eテレ『クインテット』でおなじみのかたですね。
終演後も、思わず口ずさんでしまうような、スキップしたくなるような楽曲でした。

画像をあまり撮っていませんでした。
友人としゃべるのに夢中だったようです。

二重の非日常|閉鎖的な病棟と広大な夜景

日常のあれこれはさておき、まずは劇場に駆け込んでよかった。
誘ってくれた友人に感謝です。
「閉ざされた空間」を描く舞台の幕間、ラウンジから窓の外にひろがる見渡すかぎりの夜景を眺めるのも、非日常的でとても不思議な感じがしました。

幕間、ラウンジでドリンクを1杯

ただ平日17:30という早い開演時間のためか、東京公演で私が行った回については、客席のゆとりがまだわりとあるようでした。
続く大阪、岡山公演ではどうだったでしょうか。

誰もが心のどこかに抱えている『もう無理かもしれない』という明日香のようなギリギリの感情。それを否定せず、歌とダンスという生命力あふれるかたちで表現する舞台に、思わず自分の心も解き放たれるような感覚が味わえました。
笑いながら泣いていました。
そういう意味では、もっと多くの人、とくに日々闘うように生きている現役世代に届いてほしい作品です。きっと刺さる人が大勢いると思います。

『クワイエットルームにようこそthe musical』自体は、場所を変えて、2月末まで公演が続いています。キャストさんが皆とてもチャーミングで、毒は念入りにアク抜きされているという印象。
ミュージカルに姿を変えたこの作品が、多くの人に愛されるといいなと願っています。

パンフレット

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