見出し画像

【カグラバチ 第122話】妖刀計画始動

※ネタバレ注意

この記事は、週刊少年ジャンプ連載中『カグラバチ』第122話「始動」の感想・内容まとめです。未読の方はご注意ください。


前回の話

圧縮された甲鉄艦の攻撃を受けた亜利雨に対し、ヒロトたちは総攻撃を仕掛ける。柴の妖術「悪兒」は対象の肉体情報を書き換える能力で、亜利雨の体重を増加させる。さらに真城の拘束、義之氶の加勢も重なり、ついに追い詰めたかに見えた。しかし“栖”の真価は天敵を排除する殺傷能力にあり、突如現れた異形によってヒロト、義之氶、真城は瞬殺される。柴だけは生かされ、日本側壊滅という絶望的な結末を迎えた。

カグラバチの第10巻が発売されています。
良かったら購入してみてください。

Amazon Kindle


カグラバチ 第122話「始動」感想

■ 国重とすば流、“最高の刀”を巡る対話

第122話は、国重がすば流から貰ったおにぎりを食べる場面から始まる。

国重はかつて、すば流が執筆した本を読んでおり、「出鱈目ばかりだ」と酷評していた。しかし、すば流はそんな国重を「勤勉だ」と評価する。

すば流曰く、国重のような人間は試行錯誤を重ねる中で嘘を見抜き、その過程で確かな論理を構築していく。

そうして洗練された刀鍛冶だけが生き残る――彼の著書には、そうした意図が込められていた。

さらにすば流は、国重ほどの鍛冶師であれば、公に活動すればすぐに名声も地位も手に入り、飢えることもなくなるはずだと語る。


■ “人を護る刀”を打ちたいという信念

それに対し国重は、自らの本心を明かす。

「人を殺す武器を売って生きることには、ずっと居心地の悪さがある」

それでも、自分はその矛盾を抱えたまま、“人を護るための刀”を作ろうともがき続けるべきだと語る。

だからこそ、「人間国宝」のような称号によって自らの生業を真っ直ぐ肯定されることに恐怖を感じているのだ。

国重の抱える葛藤と純粋さが、非常によく表れた場面だった。

一方のすば流は、そんな理想論だけでは生きていけないと現実を突きつける。

「だからって、飢えてちゃもがくこともできなくなるぞ。野望はあるんだろ?」

国重は静かに答える。

「……ああ。最高の刀を打つことだ」

しかし、「最高の刀とは何か」と問われると、国重自身にもまだ答えはない。

だからこそ、何千回でも刀を打ち続ける――その言葉に、未完成であることを恐れない職人としての覚悟が滲んでいた。


■ 妖術局、杁島会談の敗北を受けて

場面は変わり、妖術局では杁島会談後の対応について話し合いが行われていた。

柴は全身20箇所以上の骨折に加え、内臓損傷という重傷を負っていたものの、妖術による治療で事情聴取が可能なまでに回復。しかし、しばらくの戦線復帰は不可能と判断される。

さらに局員たちは、“箕加星”が現在まで生存していたという事実に衝撃を受けていた。

当初、小国側の要求は杁島で採掘された雫天石と、東京・神奈川・千葉の三都県だった。

しかし戦闘後、その要求はさらに踏み込んだものへ変化する。


■ 箕加星の真の目的、“曽我の姫”

場面は柴と亜利雨の会話へ移る。

亜利雨は、かつて箕加星の民が曽我によって海へ沈められた歴史を語る。

彼らはただ安寧を願っていただけだった。

しかし、“曽我の姫”による予言によって謂れのない悪意を見抜かれ、虚地の重力によって滅ぼされたのだという。

そして現在も、その“姫”は存在しているのだろうと問う。

妖術局に戻ると、小国側の最終要求が明かされる。

・杁島

・回収した雫天石

・そして、“曽我の姫”


ここで箕加星の真の目的が浮かび上がる。


■ 曽我の血を利用した“支配”

この国の妖術体系は、長い歴史の中で曽我家を中心に築き上げられてきた。

“曽我の姫”は、その秩序の象徴であり中枢そのもの。彼女を失うことは、日本の妖術界の崩壊を意味する。

さらに亜利雨の父は、曽我を滅ぼす一方で、その血には価値があると語る。

姫に自分の子を産ませ、その後で曽我を皆殺しにする、その発言は、あまりにもおぞましい。

血に妖術が宿り、妖術に伝統が宿る。

彼らの狙いは、曽我の血統を利用して日本の秩序そのものを乗っ取ることだった。


■ 千晃の予言、“地獄”の到来

一方、当の“姫”である千晃は、会談終了時刻に意識を失っていたが、現在は目を覚ましていた。

しかし彼女には、新たな予言が雪崩れ込んできていた。

「……地獄が来る……」

政府は小国側の要求を断固拒否する方針を決定。

さらに、この二年間で創設された“妖術戦略陸軍”の拡大を進めるという。

だが、妖術局側は現実を理解している。

曽我ヒロトという特異点を含む史上最強の部隊ですら、敵の王子一人に壊滅させられた。

しかも、同等の力を持つ存在があと五人いる。
人員を増やした程度では、到底覆せる差ではなかった。


■ 雫天石攻略という唯一の勝ち筋

妖術局には「怪魑」や「餓者の炎骨」といった戦力も存在する。

しかし怪魑は発動条件が難しく、炎骨も長らく適合者が現れていない。

そんな中、蓮見は一つの可能性を提示する。

敵が圧倒的だったのは、雫天石の莫大なエネルギーを妖術へ昇華していたからだ。

つまり逆に言えば、“雫天石こそが敵の最大の強みであり、唯一の攻略点でもある”。

しかし壱鬼たちは、それは二年間研究してもなお解明できていない領域だと返す。

日本人には、そもそも雫天石を扱う体質そのものが存在しないのではないか――。

蓮見は、何かを話すべきか迷っている様子を見せる。


■ 「妖刀計画」始動

最後に場面は柴の病室へ。

重傷で動くことすら許されない状態でありながら、柴は真城の仇を討つため、すでに動き出そうとしていた。

国重は蓮見から杁島会談について“すべて”聞かされていたという。

その直後、映し出される一冊のノート。

そこには――

「妖刀計画」

そして、

“三月二十一日 午前0時00分 妖刀計画始動”

という文字とともに、第122話は幕を閉じる。


■ 総括:絶望の中で始まる“反撃の物語”

第122話は、前話の絶望的敗北を受けて、世界観と物語の核心へ大きく踏み込んだ回だった。 

特に国重の「人を護る刀を打ちたい」という信念は、この先始まる“妖刀計画”の根幹そのものだろう。

また、箕加星の目的が単なる侵略ではなく、“血統”と“秩序”の支配にあると明かされたことで、戦いは国家レベルの争いへと発展していく。

そして最後に提示された“妖刀計画始動”という一文。

ここから本格的に、“カグラバチ”という物語の原点が動き出す――そんな高揚感に満ちた締め方だった。



※この記事にはAmazonリンクが含まれています

いいなと思ったら応援しよう!