【発酵めぐり】~序章・フクロウに導かれて再び小さな旅へ~
秋葉原で出会ったフクロウのビール。その“巣”を訪ねて
秋葉原の高架下で、フクロウのラベルが印象的なビールを飲みました。
「常陸野ネストビール」。
クラフトビール好きなら、一度は見かけたことがある名前かもしれません。
白くて丸いフクロウのラベルは、一度見たら忘れにくい。
私も最初は、そのかわいらしい見た目に惹かれました。
けれど、グラスを口に運んでみると
ただおしゃれなクラフトビールというより、
香りや味わいの奥に、どこか“造り手の背景”があるように感じたのです。
先日訪れた、秋葉原にある
「常陸野ブルーイング 秋葉原」は、
木内酒造が手がけるダイニングバー。
公式サイトでは、常陸野ネストビールのほか、
日の丸ウイスキーや
日の丸ジンも味わえる、蒸留設備併設の店舗として紹介されています。

東京の真ん中で飲む、茨城のビール。
その時は「おいしいクラフトビールだな~」と思っていたけれど、
あとから調べてみると、このビールの背景が想像以上に面白かったんです。
老舗酒蔵がクラフトビールで世界へ。常陸野ネストビールが羽ばたいたワケ
常陸野ネストビールを造っているのは、茨城県那珂市の木内酒造。
もともとは清酒「菊盛」を造る老舗の酒蔵で、常陸野ネストビールが誕生したのは1996年のこと。1823年創業の日本酒蔵が、ビール造りへ挑戦したところから、このフクロウの物語は始まりました。

カナダのDME社というビールの醸造機械のメーカーを知り、そこから彼らの持つビール造りのノウハウを全て提供してもらいビール醸造にこぎつけたそう。
しかも、ただ地元向けに始めたビールではなかった。
常陸野ネストビールは、誕生から間もない1997年、国際的なビールコンテストでアンバーエールが金賞を受賞。その後、海外でも評価を高め、輸出を広げていったとのこと。
地方の酒蔵が造ったビールが、世界へ羽ばたいていく。この流れを知ると、あのフクロウのラベルが少し違って見えてきます。

「ネスト」とは、英語で“巣”のこと。
公式サイトによると、常陸野ネストビールは、茨城県那珂市鴻巣で生まれたことから名づけたそう。
鴻巣で生まれたビールだから、ネスト。
そう知った瞬間、秋葉原で飲んだ一杯と、茨城の土地がつながりました。

さらに調べて驚いたのは、木内酒造が今では日本酒だけでなく、ビール、ウイスキー、ジン、梅酒まで手がけ、ビールやウィスキー造りに欠かせない麦の加工工場(製麦)まで持っていること。
常陸野ネストビールの製造拠点である額田醸造所は、公式サイトで
国内だけでなくアメリカ、アジア、ヨーロッパなど世界約40カ国のファンへ届けていると紹介されている。
日本酒蔵が、ビールを造る。
ビールから、ウイスキーやジンへも広がる。
米の発酵、麦の発酵、そして蒸留へ。
木内酒造は、単なる老舗酒蔵というより、発酵と蒸留の可能性を広げてきた会社なのかもしれない。
秋葉原で飲んだ一杯は、
茨城の酒蔵が積み重ねてきた歴史と、新しい酒造りへの挑戦の証でした。
今度は、その“巣”を訪ねてみたい。
常陸野ネストビールが生まれた茨城へ。
木内酒造という会社が、どんな場所で、どんな思いで酒を造っているのか。
フクロウのビールをきっかけに、次の発酵めぐりは茨城へ向かいます。
村上美保|発酵文化マーケター
日本の発酵文化を旅する「発酵めぐり」を発信しています。
酒蔵、味噌蔵、醤油蔵など、日本各地の発酵の現場を訪ね、文化や人、味の魅力を紹介しています。
神社巡り、温泉、地方の食文化も大好き。
発酵文化の奥深さを、旅の視点から伝えていきます。
▶ 発酵めぐりプロフィール
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