②小児がんの治療は,想像以上に長い

「小児がん」と聞くと、多くの方は「抗がん剤で治療する病気」というイメージを持つかもしれません。

しかし実際の治療は、それだけではありません。
子どもの年齢や、がんの種類、進行の程度によって治療方法は異なり、数か月から数年にわたることもあります。

抗がん剤治療
小児がんで最も多い白血病では、抗がん剤治療が中心になります。
抗がん剤は、がん細胞を攻撃する一方で、正常な細胞にも影響を及ぼすため、
* 吐き気や食欲低下
* 脱毛
* 貧血
* 感染しやすくなる
などの副作用が現れることがあります。

治療中は、子ども自身も、ご家族も、その変化に向き合いながら毎日を過ごしています。

手術や放射線治療
脳腫瘍や骨肉腫などでは、手術や放射線治療が必要になることがあります。
手術で腫瘍を取り除いた後も、再発を防ぐために抗がん剤治療が続く場合があります。

放射線治療では、成長途中の子どもの体への影響をできるだけ少なくするよう、慎重に治療が進められます。

造血幹細胞移植という選択
病気によっては、「造血幹細胞移植(骨髄移植など)」が必要になることがあります。
移植前には大量の抗がん剤や放射線治療を行い、一度骨髄の働きを止めたうえで、新しい造血幹細胞を体に入れます。
感染症や拒絶反応など命に関わる合併症もあるため、厳重な管理が必要です。


抗がん剤の影響で白血球が減ると、普段なら問題のない細菌やウイルスでも重い感染症につながることがあります。

そのため、
* 手洗い
* マスク
* 面会制限
* 清潔な環境を保つこと
も、大切な治療の一つです。
「元気そうだから会いに行こう」と思っても、会えないことがあります。
それは家族を遠ざけたいからではなく、その子の命を守るためなのです。

長期入院で失われる「当たり前」
小児がんの子どもたちは、何か月も病院で生活することがあります。
学校へ行けない。
友達と遊べない。
誕生日を病室で迎える。
運動会にも参加できない。
子どもにとって当たり前だった毎日が、突然なくなってしまいます。

子どもは、大人とは違います。
遊びながら学び、遊びながら成長していきます。
そのため病院には、保育士やチャイルド・ライフ・スペシャリスト、病棟保育士などが関わり、遊びや学びを通して子どもの心を支えています。

好きなことに夢中になる時間。
「子どもらしく過ごせる時間」は、心の回復にもつながる大切な支援です。
治療しているのは、「病気」だけではない
小児がんの治療は、がん細胞をなくすことだけが目的ではありません。

子どもが成長し、自分らしく未来を生きていけるように、体だけでなく心や生活、学びも守りながら治療が進められています。

だからこそ、小児がん医療には医師や看護師だけでなく、薬剤師、リハビリスタッフ、保育士、心理士、栄養士、ソーシャルワーカー、院内学級の先生など、多くの専門職が関わっています。

子どもは病気と闘うだけでなく、「子どもらしく生きること」も守らなければなりません。

それが、小児がん医療の大切な考え方なのです。

出典
* 国立成育医療研究センター
* 日本小児血液・がん学会
* 国立がん研究センター

いいなと思ったら応援しよう!