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「化かされナイトヒル」第23話

あやめに預けたシビックが出来上がった。
走りの特性などはなるべく操りやすくはしてくれたが、それでも出力が大幅に上がりドライブフィールは変わったので何度か実走して自分のフィーリングを車に合わせていった。
実際戦闘力は格段に向上している。
いつものコースでタイムを計ったらかなり短縮されていた。
タクヤはあやめに礼を言った。
「ありがとうな。あやめ」
「いいよ。あたしのやりたかったことだし。勝ってきな、タクヤ」
「ああ」

そしてついにざくろにバトルを申し込むことになった。
タクヤは生まれ変わったシビックをざくろの神社に走らせた。
神社の戸を叩くと、いつもの笑顔でざくろが出迎えてくれた。
「いらっしゃいタクヤ。だいぶエンジン音とか排気音が変わってたわね」
「まぁ、その理由は後で話す」
「とりあえず中に入って。温かいお茶用意するから」
そうして、ざくろの家の居間にタクヤは通された。
居間にはコタツが置いてあった。
「入っていいわよ。寒かったでしょ」
コタツの中に入ると確かに温かかった。
「で、用事があるんでしょ。どうしたの?」
お茶を淹れながらざくろが聞いた。
「単刀直入に言う。俺と、バトルしてくれないか」
ざくろは一瞬きょとんとした。
「どうしたの?藪から棒に」
タクヤが言った。
「俺は、ざくろやいろいろな人とバトルを通して関わってきた。ざくろと出会ってから今までいろいろな経験をしてきた。その時間は、俺にとって宝物だった。だから、ざくろに恩返しがしたい。成長した俺を見てほしいんだ」
そこまで言うと、タクヤはざくろが真剣な表情で話を聞いているのに気付いた。
「そうね。わたしと出会った頃と比べてタクヤは見違えるほどに成長したわ。それを証明したいってわけね。わかったわ。来週末、バトルしましょ。二人が出会った、あの峠で」
「ああ。ありがとう、ざくろ」
「ううん。その代わり、わたしも容赦なくいくわよ」
「望むところだ」
「まぁ、とりあえず今は温かいお茶でも飲みましょ。すだちからみかんいただいてるのよ」
「俺ももらったなぁ・・・」
「あら、すだちタクヤのところに行ったのね」
「先週突然来てな・・・」
お茶に口をつけるとあたたかい感触が広がってきた。
ざくろは自分にとってなんなのか今までずっと考えていた。
明確な答えは出ていない。
だが、もうただのライバルなだけの存在ではない。
いろいろと教えてくれたり一緒にカーライフを楽しんだ。
自分にとって大切な人なんだ。
だから、今の自分のすべてを見せよう。
そして、勝ちに行くんだ。
お茶を飲みながらタクヤは内心そう考えた。

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