Photo by
tasty_whale780
足掛けは癖であり、個性でもある
ある日、ふと教室を見渡したとき、机の下で多くの人が足を掛けていることに気づいた。
それは当たり前の光景だったが、同時にどこか不思議でもあった。
なぜ人は足を掛けるのか。
なぜ同じような掛け方をするのか。
そして、なぜ無意識のうちに繰り返してしまうのか。
足掛けはこれまで「行儀が悪い姿勢」として扱われることが多かった。
しかし私は、それを単なる姿勢としてではなく、「癖」として捉えるようになった。
癖は無意識に現れる。
そしてその癖は、人それぞれ異なる形を持っている。
私はこの足掛けという行為を観察し、記録し、分類することで、その構造を明らかにしようと考えた。
どのように掛けているのか、どのような形をしているのか、どのように変化していくのか。
日常の中にある当たり前の行動を、ひとつひとつ言葉にしていった。
するとそこには、規則性や共通性が見えてきた。
同じ姿勢が向かい合う「ミラー番」、
複数人で連なる「連番」など、
足掛けにはさまざまな現象が存在していた。
足掛けは単なる癖ではない。
それは人の無意識の行動であり、習慣であり、そして環境によっても影響を受ける現象である。
机の形や配置、周囲の人との関係。
それらが組み合わさることで、足掛けという行動は自然に生まれている。
私はこの日常の中にある行為を、「姿勢・動作・接触・配置・評価」という複数の視点から整理し、体系として捉えようとしている。
足掛けは、悪い姿勢ではない。
それは癖であり、そしてその癖は個性である。
何気ない教室の風景の中にも、人の行動の面白さが隠れている。
本書は、その見えない構造を見つけ出すための試みである。

