はじめに :空海さんから預かった「謎の巻き物」を読み解く①
私が「逃げ出した弟子」だと知った日
あなたは「空海さん」と聞いて、どんなイメージを浮かべますか?
真言密教の開祖、弘法大師、あるいは歴史の教科書の中の人物……。きっと多くの人にとって、どこか遠い存在ではないでしょうか 。
実は、かつて「左脳100%」で生きていたビジネスパーソンの私のもとに、2年ほど前、空海さんから「謎の巻き物」が預けられました 。今回は、その不思議なご縁の始まりについてお話しさせてください 。
とつぜんですが、あなたにひとつ質問をさせてください。
これまでの人生で、なぜか何度も同じような出来事に遭遇したり、同じ景色に既視感を覚えたりしたことはありませんか?
そのとき、あなたの心にはどんな感情が湧き上がってきたでしょうか。
切なさ、悲しさ、苦しさ……あるいは、どこか心温まる懐かしさだったかもしれません。
もし、そんな不思議な体験に心当たりがあるなら、それは今の人生を生きるあなたにとって、とても大切な「答え」を教えてくれるサインなのかもしれません。
わたしにとって、そのサインの主こそが「空海さん」でした。
わたしは、かつて自動車教習指導員としてドライブテクニックの著書を監修したり、出版プロデューサーとして約20年間にわたり活動してきました。
しかしその一方で、わたしの半生は「見えない領域」からの度重なるアプローチに振り回され続けた人生でもありました。
幼少期から感受性が強すぎたわたしは、周囲の感情に敏感に反応してしまい、ひどい生きづらさを抱えて過ごしていました。
社会人になってからも、なぜか占術のプロから「スキルを伝授したい」と言われたり、霊能者から「すごい力を秘めている」と言われたり……。
当のわたしは「そんな仕事をする気は全くないのに」と、いつも戸惑うばかり。しかも、そうした不思議な人々とは決まって喧嘩別れしてしまうのです。
「なぜ、わたしの人生にはこういう人たちが入れ替わり立ち代わり現れるのだろう?」
そんな疑問を抱えながら過ごす中で、もう一人、どうしても頭から離れない存在がありました。
それこそが、今回親しみを込めて呼ばせていただく「空海さん」です。
30年以上解けなかった「草履」の謎
我が家は幼い頃から、何か行事があるたびにお不動さま(不動明王)へお参りに行く習慣がありました。
同級生が七五三で華やかな着物を着る中、わたしと弟はなぜか、ちょっとお洒落をした洋装でバスと電車を乗り継いでお不動さまへ向かうのです。
けれど、堂内に響くお経の声と激しく燃え上がるパチパチという炎の音は不思議と心地よく、幼いわたしはいつもウトウトと眠りについていました。
そして、本堂の横にある「大師堂」へ足を運んだときのことです。
「お大師様にもご挨拶しなさい」と言われ、大きな空海さんの像を見上げたわたしは、その足元に釘付けになりました。
空海さんの「草履(ぞうり)」を見た瞬間、胸の奥から激しい感情が突き上げてきたのです。
切なくて、悲しくて、苦しい。だけど、どうしようもなく懐かしい──。
小学3年生の頃からずっと、空海さんの足元を見るたびに溢れ出すこの涙と感情の意味が分からず、わたしは30年近くもその答えを問い続けてきました。
衝撃の真実──わたしは「逃げ出した弟子」だった
その謎がようやく解けたのは、今から5年ほど前のことです。
不思議な縁に導かれて裏高野での修行を積んだという、ある実力派の能力者の方と出会いました。これまでの不思議な出来事や、空海さんの足元を見ると涙が止まらなくなることをお話ししたところ、あっさりとこう言われたのです。
「ああ、それはね。あなたが前世で空海さんの弟子だったからだよ」
そ、そうだったのか……! と衝撃を受けるわたしに、その方は笑いながら続けました。
「でもね、途中で修行が嫌になって逃げ出したんだよ(笑)」
その瞬間、すべての点と線が繋がりました。
「わかる、わかりすぎる……!」と、心の奥のつっかえがスッと軽くなったのを覚えています。
その方は「仕方ないよ。空海さん、当時は忙しすぎてあんまり面倒見が良くなかったからね」と優しくフォローしてくれました。
確かに、唐から帰国したばかりの空海さんは、真言宗の開宗や寺院の建立など、やることが山積みだったはずです。
けれど当時のわたしは、きっと過酷な修行から逃げ出し、この世を去るときに「来世は辛い修行なんかしなくても、宇宙の真理が理解できる世に生まれたい!」と強く願ったのでしょう。
今では、それがこの過去世の記憶の感覚と結びついている気がします。
高野山での再会と、手渡された「巻き物」
長年の「草履問題」は解決しましたが、どうしても過去の自分にケリをつけたい。そう思ったわたしは、今から約2年前、「空海さんに謝る旅」に出ることを決意しました。
それまで怖くてどうしても足が向かなかった高野山へ行く前に、まずは空海さんの生誕の地である四国香川県の「善通寺」を訪れました。
しかし、空海さんが誕生したお堂で手を合わせ、立ち去ろうとした瞬間。
突然心臓がギューッと締め付けられるような激痛に襲われ、その場から動けなくなってしまったのです。
冷や汗を流しながらベンチで1時間ほど休み、なんとか動けるようになりましたが、後からその意味を知って苦笑しました。
空海さんは「せっかく来たんだから、もっとゆっくりしていけ」と言いたかったお茶目な引き止めだったようです。
=次回へ続く

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