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リュミエールでした

大人になってから再会した。

悩みを打ち明けた時、彼はへんてこな角度からクスッて笑わせてくれた。

おかげさまで心がふわっと軽くなった瞬間だった。

オレンジ色の常夜灯みたいに、あったかい光だった。


ある日、彼が「実は将来、茶刈機に乗りたい」と話してくれた。

私はスマホで乗用型の茶刈機について調べた。
サイズがまあまあ大きいこと、値段が高価なこと、2人乗り用もあることが分かった。

私は「いいお値段するね」と画面を見せながら言った。彼は「隣乗ってよ」と返してきた。

「Would you marry me?」とモールス信号が見えた気がしたが、異国の言葉なのでスルーをした。日本人でよかった。

七夕が近い日だったので、短冊があちこちに飾られていた。

せっかくだし、私も書いてみよっと。

私自身に「今なにを願いたい?」と聞いてみた。でも思いつかなかった。
だからもう一回聞いてみた。
「わたくしごとの願いより、もっと先に思うことはなんだろう?」

数メートル先に風邪をひいていた彼がこちらへ向かってきた。

「かぜ 早くなおりますように」
短冊にコーナーで差をつける走り書きをし、急いで紙ひもを穴へ通し、笹に結びつけた。

願ったり、叶ったりの副作用だったと思う。
3日後、私は発熱し夏風邪になる。

この頃は、かんびな光だった気がする。

けれど、束の間の甘美な光は次第に薄れた。
時間が経つにつれ、目を覆いたくなるくらいの光へと変化し、何億光年も距離が生まれた。


それ以来、私の心の中に黒い惑星が住み着いてしまった。

朝起きると出来事に引っ張られ、答えのない自問自答を繰り返していた。

毎朝飲む緑茶は、渋みのせいか、濃く濁った緑色で侘しい味だった。

涙は頼んでもいないのに、せっせと働き続けてくれた。

眠る時間だけが黒い惑星に布団をかけてくれた。


Open AIに相談しても月並みの返答で、
Open eyesな状況はやるせなくて堪えた。

激励の言葉は、一瞬だけ光る流れ星だった。

けれど、友人が 「話してくれてありがとう」と言ってくれた言葉は凝り固まった感情を解した。

鼓舞する言葉でもなく、味方全振りの肯定的な言葉でもなく、黒い惑星に射した光芒は「ありがとう」だった。


ひとつの感情に振り切れたら楽だろうに。
そうは思いつつ、ひとつの感情に振り切ることなんて無理だった。

大好きなバンドの歌詞に出てくる「割り切れなさこそが体温」という言葉が体感レベルで分かった気がした。

あったかい光も
甘美な光も
目を覆いたくなるくらいの光も
関わりに体温があったんだと。


 変わりゆく関係性の中で、どうしても変わらなかったことがある。

「どうか、長生きしてほしい。
おじいちゃんになって、お茶を刈れるようになってくれたら本当に良いなと思う。

なるべく辛い目に出くわさず、あなたの大事な人に囲まれながら楽しく過ごしてほしい。(あ、でも、たまにウンコくらい踏んでほしい。)

ありがとう。メルシーボークー。
あなたは私のリュミエールでした。」


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