絵本|はっぱのらっぱ
シャッポをかぶったはっぱくんが旅に出ました。
「どこへ行くの?」
「わたしもまぜて!」
はっぱのあかくん、きいちゃんやあおくんも旅に加わりました。
どこへ行こうか、
行き先は決まっていませんでした。
それでも皆たのしそう!と
風の吹くまま行列に加わりました。
びわのは、たけのは、かえでのは、いちょう、どくだみ、よもぎのは。
はっぱたちは万里のごとく長い長いたいれつを作りました。山を登りながらはっぱたちは、おとなり同士、おしゃべりをしました。
しばらく歩いたところです。
シャッポのはっぱは、はっ!とうなりました。
目の前に大きな崖が立ちはだかったのです。
これ以上、前に進めません。
それなのに後ろのみんなは気づかず、どかどかと差し迫ってきます。
はっぱはくるんと丸まって、らっぱになりました。
「一択バーック!進路変更!」
はっぱたちはカサカサ、カサカサ、音をたてました。
「いちばんうしろのはっぱさん、先頭になってくださーい!」
みんな振り返って、今度はみどりくんが先頭になりました。当然の任命に、みどりくんはたじろぎました。
「ぼ、ぼくが先頭なんて不安だよ」
「大丈夫、この旅は、上も下もないから」
2番目のシダさんが、ぽんぽんと肩を叩きました。
そこからまた歩いていくと、雪混じりの風がびゅううっと吹きました。今度はみどりのはっぱくんが、くるんと丸まって、らっぱになりました。
「みんなーふゆがくるぞー!」
みんなもくるんと丸まってでんぐり返しで急いで山を降りて行きました。
クルンクルンコロン。
山を降りると湖にでました。
そこにはぜんまい状のいきものが集まって右へ左へぞろぞろ動いているのでした。頭を垂れて、周りの誰にも関心はなし、自分の手元だけに集中しているのでした。その手元には小さな光る箱がありました。ぞろぞろのとのそ、不思議と自分の足元だけはちゃんと見えているようでした。
そこは太陽もよく当たり、水もたっぷりある肥沃の土地でした。
「それなのになぜ?」
はっぱたちは思いました。
ぞろぞろのひとりが顔をあげて、言いました。
「『成長しろ成長しろ』って言われると逆に縮こまってしまうもんだよ」
彼らは健康だけれど病気のようでした。
らっぱがくるんと丸まり言いました。
「僕たちの旅に、ついて来たかったらおいでよ」
ぞろぞろはちらっと見上げるだけで、また手元の箱に目を奪われていきました。
ぞろぞろの子どもだけがまんまるの目で見上げたままでした。
シャッポのはっぱのうしろに、ぞろぞろの子どもがひとりついてきました。ぜんまいみたいに曲がった首をぐいとのばして。生まれてはじけての旅をたのしみました。
はっぱたちは歌を歌い、音楽隊をつくりました。
はらっぱはっぱ、らっぱっぱ
シャッポをかぶった、はっぱのらっぱ
はらっぱはっぱ、らっぱっぱ
しっぽをゆらして、けんぱっぱ
息を思いっきり吸うと、
生温かい潮風の匂いがしました。
どこからか声がしました。
「おーい!海が見えるぞー!」
