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連載小説『こかげ日和』 ─こかげ村ものがたり─ 第三話


第三話 ことばのやさしい淹れ方


ことばにも、ちょうどいい温度がある。


   ― AIと紡ぐ小さな午後の物語 ―




【あらすじ】


しらね医院の帰り道、ほのかはまだ胸の奥に残るざわつきを抱えていた。
そんな中、茶屋「はなまる」で出会ったのは、気さくな女性・きよこ。

差し出されたお茶と、静かに置かれていく言葉。
そのやりとりの中で、ほのかの中の何かが、少しずつほどけていく。






 帰り道を歩きながら、
 ほのかはさっきの言葉を思い出していた


 ──無理に明るくしなくていい。

 ──急がなくても怒られないんですよ。

 どちらも短い言葉だった。
 でも、胸の奥に残って離れない。

 風がやわらかく吹く。
 田んぼの水のにおいが、かすかに混ざる。

 歩きながら、
 自分の呼吸が、少しだけゆっくりになっていることに気づく。

「ねえ」

 横から明るい声がした。

 振り向くと、道の脇の茶屋の前で、
 ほうきを手にしたひとりの女性がこちらを見ている。

「あなた、新しく来た子でしょ」


「初めて見る顔だもの」

「……はい」

「やっぱりね」

 女性は、にこっと笑う。

「お茶でも飲んでいかない?」

「えっ」

「いいじゃない。
いっぱいだけ……ご馳走するから」

「……えっと……」

「はいっ。
じゃあ決まりね。さっ、中に入って入って」

 そう言って、彼女──きよこは、奥へすたすたと入っていった。

「あっ」

 ほのかは、少し遅れてその背中を追う。

 入口には、
「はなまる」と書かれた暖簾が、やわらかく揺れていた。

 引き戸をくぐると、
 ふわりとあたたかい空気に包まれる。

 畳の匂いと、
 どこか甘いお茶の香り。

 外とは違う、
 ゆっくりとした時間が流れていた。

「適当に座って」
 きよこは奥へ入っていった。

 奥から、かすかな音がする。

 湯の沸く音。
 湯のみの触れ合う音。

 ほのかは、少し迷ってから、
 手前の椅子にそっと腰を下ろした。

 少しして、
 湯のみが目の前に置かれた。

「はい、どうぞ」

 湯気が静かに立ちのぼっている。

 ほのかは、両手でそれを包み込む。

 じんわりとあたたかい。

「顔に出てたわよ」

 くすっと笑って、
 きよこは目を伏せて、ゆっくりとお茶をひと口飲む。

「もしかして、つぐみ先生に会った?」

 その名前に、
 ほのかの手がわずかに止まる。

「……はい」

「やっぱりね」

 きよこは、静かに言葉を続ける。

「昔ね、あの子、学校に来てたのよ」

「学校……ですか?」

「そう。わたし、前は小学校で教師してたの」

「児童の健康診断の日だったかな。
あの子、学校医として来てたんだけど、ずいぶん無理してる顔しててね」

 ほのかは、黙って聞いている。

「大丈夫です、って言うから」

「大丈夫って言う人ほど、大丈夫じゃないのよ、って」

 湯気が、ふわりと揺れる。

「そしたらね」

 きよこは、少しだけ目を細める。

「ちょっとだけ、寂しそうに笑ったのよ」

 少し間をおいて、きよこが言う。

「不器用だけどね……一生懸命な子なの」



ほのかは、湯のみを見つめたまま、小さく言った。

「……なんだか、分かる気がします」



「それからかしらね」

 きよこは、ふっと笑う。

「言葉を、置いて帰る人になったのは」

 ほのかは、湯のみを見つめる。

 手の中のあたたかさが、
 じんわりと広がっていく。

 うまく言葉にできないものが、
 胸の奥に、ゆっくりと染みていく。

「言葉ってね」

 きよこがやわらかく言う。

「お茶と同じ」

「あたたかいくらいで淹れるほうが、
ちゃんと味がするの」

 ほのかは、そっと息を吐く。

 湯のみを持ち上げて、
 少しだけ口をつける。

 あたたかい。

 ただ、それだけなのに、
 胸の奥のなにかが、少しやわらいだ気がした。




【あとがき】

このおはなしは、ことばをひとつずつ、たしかめるようにして生まれました。

ことばって、うまく言えるかどうかよりも、どんな温度で手渡すかのほうが、ずっと大切なのかもしれません。

あたたかい温度で、そっと。

そんなことばが、どこかで誰かの中に、静かに残っていきますように。




※この物語はフィクションです。空想の中で生まれた小さな物語。
制作にはOpenAIのAI「ChatGPT」を活用しています。
また、物語に添えたイラスト画像もAI技術を使用して制作しています。
もしどこかで似た表現や画像を見かけたら、どうかご無理のない範囲でそっとお知らせください。
静かに、大切に対応いたします。

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