【エッセイ】シロヤのサニーパンの食べ方
北九州のソウルフード、シロヤの「サニーパン」をご存知だろうか
北九州、いや福岡在住の人で、このパンを知らない人はいないだろうと思う
「サニーパン」は、ぷっくりとしたまぁるい固めのパンに、練乳がたっぷり入っているパンだ
パンの先端に練乳を入れる機械を入れて
練乳を入れているのだろう
パンの先端には機械で空けたと思われる穴がある
さてここで思い出すのは3ヶ月前に急に、勝手に
心臓発作でころりと死んでしまった大好きな伯父の言葉だ
私は伯父のことをおじさんではなく、おじちゃんでもなく、「おいちゃん」と呼んでいる
なぜなら「おいちゃん」という雰囲気の人だったから
「サニーパンはこう食べるんよ!見とってん!」
伯父は自信たっぷりに言っていたが「サニーパン」は非常に食べ方が難しい
中には練乳がたっぷりなため、うまく食べないと練乳をこぼして手がベタベタになるのだ
また、先程述べたように、パンの先端には練乳を入れたために機械で空いた穴がある
そこからぷにゅっと練乳が出てきてしまった日には最悪だ
そして、穴が空いた部分から練乳を入れているので、どうしても穴が空いていないおしりの部分の方に練乳が溜まっている
そのため、穴が空いた方はパンの味しかしない
「サニーパン」は奥が深いのだ
さて、皆さんなら、この美味いが厄介な「サニーパン」をどのように食べますか?
伯父の理論はこうだ
「練乳がいっぱい溜まっているおしり側から食べる」
「なんで?そしたら穴が空いた側まで食べよったら味がせんくなるやん!」
「違う!ソフトクリームと一緒たい!」
「なんそれ?どういうこと?」
「いっぱい練乳が溜まっとるんやったらそれをベロで押し込みながら食べるんよ
そしたら最後まで味がするし、パンを押して練乳を広げるわけやないけ、下の穴からも練乳がこぼれてこんと」
そうだ、ソフトクリームもコーンの部分はソフトが入っていない場合があるため、舌で押し込みながら食べる
それと一緒だというのだ
「なるほどねぇ」
妙に関心してしまった私は、伯父が死んだ後も「サニーパン」を食べる時は必ず、穴が空いていないおしりの部分、練乳いっぱいの側から食べる
もちろん舌で練乳を押し込みながら
「サニーパン」は高級で映えるお洒落なパンではないかもしれない
だが「サニーパン」は地元の人々に愛され、懐かしむことができる間違いなく美味い!素晴らしいパンなのだ
そして私は奥が深い「サニーパン」を食べながら、いつも伯父の事を思い出す
「人生楽しいことしかせん!」と豪語し、いつも幸せそうに生きていた伯父のことを
私はちゃんと「サニーパン」おしり側から食べてるよ
おいちゃんの食べ方を守ってるよ
この文章を書きながら少し涙が零れそうになっていると、母が隣にきて「サニーパン」を頭側、つまり穴が空いた側から食べたした
「ママ、逆よ!逆!逆から食べるんよ!」
「うんや、私は昔からこっち側から食べるって決めとるもん」
「おいちゃんはおしり側から食べるようにって言っとったんよ!」
「いや、私はこっち」
涙が引っ込んだと同時にやはり「サニーパン」は奥が深いとしみじみ思った
「おいちゃん、ママが言うこと聞かんよー」
と私がぷりぷりしながら言うとおそらく伯父なら
「好きなように食べたらいいやないね、もぅー
なんでも自分の好きにしたらいいんたい!」
と言うに違いない
