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薔薇の牧場(まきば)に舞う者は (2020/01) 新春#04 『GO!³/この家の内から外へ』 【10】 連載:(37)

https://www.livescience.com/(画像提供:EnricoAliberti ItalyPhoto、Shutterstock経由)


◆君主論・再考④◆

『平成ガメラ三部作』=『カエサルの生涯』(2018/08/05)RUCA@名古屋・日本〘前〙


「私達、カエサルを観てると思います。」

 突然、Monica の声が響いた。

 本郷剛・健両名にとって、この後語られたこと、否!この日、この場所での対論は生涯忘れられず、折に触れて何度も思い出すこととなる。

「オウ!なんだ?」
「私は塩野七生さんの書いたものが好きで、彼女が書いたものは殆ど全部読んでいます。講演にも足を運びました。」
「それは母国にいた頃の話だな?」
「はい、彼女はイタリア在住ですしイタリア政府から国家功労勲章も授与されていますから、私の周りでも彼女を尊敬している人は大勢います。」

「彼女の代表作と言えば、
ローマ人の物語
だな?」
と玲音(レオン)。

「そう!あの作品、私何度も読み返しました。
日本の新潮文庫:全43巻のうち、

『ユリウス・カエサル(ルビコン以前)✕3巻』
『ユリウス・カエサル(ルビコン以後)✕3巻』

は、作品中の白眉です!!
「その上で、
『平成ガメラ三部作』を通して観ると、
『カエサルの生涯』に、綺麗に対応しています。
「カエサルの生涯は大きく3つの次期に分類できます。

①【カエサル:成年期〜執政官就任】
②【カエサル:ガリア遠征】
③【カエサル:ルビコン渡河〜暗殺】

カエサル(Caesar)の功績とは?」
 玲音の問いに、Monicaは応えて曰く、

共和政末期のローマに、
〘帝王切開(Caesar-ean Section)〙を施し、
『帝政ローマ』への路を切り開いたこと

です。」
 
「詳しく言うと?」


◉【カエサル】=【マクスウェルの悪魔】◉


「カエサルの活躍した時代は、通称、
『内乱(革命)の一世紀』
の最終局面の時期でした。
「ポエニ戦争勝利以降、共和政ローマは変質します。
 貧富の差は増大し、ローマ軍の土台:背骨と言われた重装歩兵制は正常に機能せず。
⇨マリウスの兵制改革で傭兵制へと舵をきります。
「それに伴い、元老院主導という少数指導体制の統治能力も怪しくなってきました。
《元老院体制》とは《厳密な年功序列制》です。
 各議員に均等に権力を持つ機会:例えば《執政官》に就く機会が均等に与えられる、というのがルールでした。
「実力主義による抜擢などは許されません。そういう特例を認めたが最後、元老院システムは機能しなくなってしまうのです。
「困ったことに、この年功序列による元老院システムで、かのポエニ戦争をローマは戦い抜き、大勝利を収め、地中海の覇者となったのでした。
『ローマを動かす真の権力機構=元老院』
という固定観念が定着するのも無理のない話ではあったのです。」

 Monicaは、そこで一旦言葉を止めドリンクを口にした。

「ポエニ戦争前までは、ローマの勢力はせいぜいイタリア半島の範囲でした。その領域の住人は言うなれば自分達と同類です。ポエニ戦役まではその理解し易く、扱い易い同族のことだけを考えればよかったのです。
 その前提ならば、年功序列で権力の『盥回し』のようなシステムであっても破綻をきたすことはなかったでしょう。
「しかるに、地中海全体を統治するとなると話はかわります。
 異なる宗教を信仰する多民族をどうするか?
 食えなくなった民族は難民として移住してきます。その難民にローマ市民権をどう与えるか?

「それでなくとも、属州からの安い穀物の導入で貧富の差が拡大⇨土地を失った農民たちが、
パンと見世物を求めて
ローマに流入し社会不安の温床を形成します。
「権力者たちは、暴力団のように子分達を率い、その子分同士の流血事件が相次ぎます。
「それどころか、権力者同士、
民衆派=マリウス VS 元老院派=スッラ
の覇権争いは凄まじく、5年間で2度も大殺戮を繰り広げる有り様でした。

《マリウス》が殺害した人数
= 現職執政官を含む元老院議員✕     50人
+「騎士階級」(経済界) の所属者✕1,000人
《スッラ》  が粛清した人数
= 元老院議員 ✕   80人
+「騎士階級」 ✕ 4,700人

 スッラなどは、
〘兵を率いてローマ入城は厳禁〙
のルールすら平然と破り、マリウス派の大量粛清=皆殺しを実行しています。
 
 そのため、カエサルも国外逃亡を余儀なくされたのでした。カエサルはマリウスの甥にあたっていたためです。

「健!解るわよね?この時期のローマっていうのは、
エントロピーが極大
だったということが?」

 突然、話を振られて健は驚いた。びっくりした表情を正直に表し、少しの間沈黙した。が、直ぐに顔を挙げ答えた。
「はい!そのままではローマは衰亡してしまう。だから、誰かが、
マクスウェルの悪魔
にならねばならない!のですね?」

すかさず、玲音も口を開く。
「健!一つ聞くぞ。この宇宙を貫く一番強力な法則は何か?言ってみろ。」
 
「多分···多分ですが、『慣性の法則』じゃないかと思います。今の話聴いていて、問題なのはそれじゃあないか?と······。」

「宜しい!よく答えた!!」

 玲音の反応と同時に、Monicaも眉と口角を挙げて健を見やった。それはあたかも、
『お利口さんね!』
と言っているかのようだった。

「ここで、「ルビコン渡河」直前の時点での、カエサルと「元老院派」の対立を整理しますと、

〘カエサル〙▣
 B.C6C以来続いてきた、元老院が主導するローマ寡頭共和政は、超大国になったB.C1Cのローマの現状には適さず。それに代わる秩序の確立を痛感。
→この改革を、ガリア戦役で獲得した名声を背景に、執政官という現体制内で進める路を探る。
⇨当面の課題は、B.C48年度の執政官に選出されること。

▣〘元老院派〙▣
 元老院主導の「少数指導型」 ローマ共和政の堅持。
⇨この体制を倒し新秩序の確立を目指すことを明確にしてきたカエサルを、いかなる手段を用いても失脚に追いやる決意。

※以上、『ローマ人の物語』10「ユリウス・カエサル:ルビコン以前(下)p179より

「ポエニ戦争までの実績を盾にして、現体制を絶対に変えようとしない「元老院派」。
 まさに、『慣性の法則』が作用しています。
 新秩序は難産でした。無事出産させるためには、〘帝王切開(Caesar-ean Section)〙がどうしても必要だったのです。

「改めて、各次期を見ていきましょう。」

①【カエサル:成年期〜1回目執政官就任】=『ガメラ/大怪獣空中決戦』

Caesar:アンチ「元老院」派としての第一歩を踏み出す。
⇨「元老院派」は警戒するが、執政官当選に当り同派のスポークスマン=キケロの警戒心を解き、安心させる。
※それに先立ち、カエサルはポンペイウス・クラッススと密約を交わし三頭政治を開始していた。


ガメラ:人類はガメラを危険視し、短SAMで退治を試みるが、ガメラ:人を喰らい東京を破壊するギャオスを倒し海に消える。人類は一応納得しガメラを受け入れる。だが、敵か味方かは半信半疑。

②【カエサル:ガリア遠征期】=『ガメラ2/レギオン襲来』

★Caesar:ガリア諸部族百近くのローマ化を進める。
⇨B.C52 ガリア総決起するも、オーヴェルニュ族の首領:ヴェルチンジェトリックスをアレシア攻防戦で破り、その後、ガリア制覇とゲルマン民族の押し込めにも成功。
⇨対外勝利:ローマの国民的英雄になる


ガメラ:地球外生物種=レギオンと戦う。
人類との共存不可
⇨巨大な草体をプラズマ火球で吹き飛ばす。
⇨無数の群体レギオンに苦戦しつつも、
⇨マザーレギオンをUltimate Plazma にて粉砕。
⇨自衛官達の敬礼を受ける。
 Ultimate Plazma を発射➔レギオンを粉砕後、大空に飛び去るガメラ。
 人類は今度こそ信じた。
『ガメラは人類の味方だ』と。 
 だが、正しく見抜く女性がいた。 
『ガメラが守ろうとしているのは、〘人類〙ではなく〘地球の生態系〙である』と。
 他方、ガメラと意思疎通ができた唯一の女性は呟く。
『さよなら』
破砕した勾玉を見つめながら。

③【カエサル:ルビコン渡河〜暗殺】=『GⅢ/邪神(イリス)覚醒』

B.C49(01/07) 元老院:Caesarを標的に「元老院最終勧告」を発布。最後通牒!

『内戦の真の悲惨さとは、その犠牲になって死んだ人の数ではない。犠牲にされたことで生まれる、恨み、怨念、憎悪が、後々まで尾を引いて容易には消え失せないことにある。それがどれほど共同体にとって不利益になるかは、ゆえにそのような事態になるのを可能な限り回避する必要性は、カティリーナ事件当時の37歳のカエサルの演説に、早くも表れていたことであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
 しかし、カエサルは生涯、自分の考えに忠実に生きることを自らに課した男でもある。それは、ローマ世界の新秩序の樹立であった。ルビコンを越えなければ、〘元老院最終勧告〙に屈して軍団を手離せば、内戦は回避されるだろうが新秩序の樹立は夢に終わる。それでは、これまでの50年を生きてきた甲斐がない。甲斐のない人生を生きたと認めさせられるのでは、彼の誇りが許さなかった。しかも、名誉はすでに汚されていた。まるでガリア戦役などなかったとでもいうふうに、〘元老院最終勧告〙に服さなければ共同体の敵、国家の敵、国賊と見なすと宣告されたことで、すでに充分に汚されていたのである。』

※『ローマ人の物語』10「ユリウス・カエサル:ルビコン以前(下)p221〜222

『第13軍団は、カエサルにとっては、特別な軍団ではない。・・・・・・カエサル下第一の精鋭部隊ではなかった。それでも、編成された紀元前57年から、カエサルとともにガリア戦役7年間を闘い抜いてきた兵士たちである。その部下たちに向かって、最高司令官は話し始めた。
 ローマ市民である兵士たちに向って、同じローマ市民と闘うよう求めるのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カエサルにつづいてルビコンを越えることで、自らもまた国賊になってしまう兵士たちだが、この兵士たちの心境は、次の百人隊長の言葉に示されるかと思う。
〘この内戦が終われば、カエサルは名誉を回復し、われわれは自由を回復する〙』

※『ローマ人の物語』
10「ユリウス・カエサル:ルビコン以前(下)p231〜232

『ルビコン川の岸に立ったカエサルは、それをすぐには渡ろうとはしなかった。しばらくの間、無言で川岸に立ちつくしていた。従う第13軍団の兵士たちも、無言で彼らの最高司令官の背を見つめる。ようやく振り返ったカエサルは、近くに控える幕僚たちに言った。
〘ここを越えれば、人間世界の悲惨。越えなければ、わが破滅〙
 そしてすぐ、自分を見つめる兵士たちに向かい、迷いを振り切るかのように大声で叫んだ。
〘進もう、神々の待つところに、我々を侮辱した敵の待つところに、賽は投げられた!〙
・・・・・・紀元前49年1月12日、カエサル、50歳と6カ月の朝であった。』

※『ローマ人の物語』
10「ユリウス・カエサル:ルビコン以前(下)p234

★ガメラ:1999年夏、ギャオスを追って突如、ガメラが渋谷に飛来!ギャオスは倒すが、戦場となった渋谷は炎の海、大惨事を引き起こす。
『ガメラは人類の敵〘国賊〙と断定』され討伐の対象となる。
 だが、かつてガメラと意思疎通ができた女性(藤谷文子)、ギャオスの生態研究に携わった鳥類学者(中山忍)は、ガメラを信じようとする。
『レギオンを倒すために、やむを得ずマナを大量消費した(エントロピーを極大まで増加させた)結果、なりふり構わずその後始末をしなければならなくなったのだ。』と。
『勾玉を破砕』=『ガメラも賽を投げルビコンを渡った』のだ。






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