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イラン支援48兆円は悪か

18日の新聞の中で特に注目を集めたのは米国がイラン覚書署名の見出しであった。

米政府高官は17日にイランとの戦争終結に向けた14項目の覚書全文を明らかにした。その中で再度「イランは核兵器の調達や開発をしない」と明記された。

60日間の交渉期間を定め、最終合意すれば3,000億ドル(約48兆円)の復興資金や制裁の解除がつけられた。

しかし昨日、トランプ氏は自身のSNSサービスの中で3,000億ドルの支払い報道を否定した。

「米国がイランに3,000億ドルの支払いという事実はどこにもない。それはフェイクニュースである。米国にあるのは”成功”、”低い原油価格”、そして”勝利”である。株式市場を見てほしい。愚かな民主党のプロパガンダがまた出てきた。」と述べた。

米国の支援

今回のイラン戦争の中で特に注目されたのは米国によるUAEとイスラエルへの支援であった。まず、UAEに関してはOPECプラスを抜けることで独自でのクォータの設定と自由な取引が約束できるようになった。

かつてのOPECプラスの持っていた上下双方向の価格と供給の調整機能は失いつつある。UAEが抜けたことで、OPECプラスの持つ、世界シェアは約38%から約4ポイント低下することとなる。

既に、カタール、アンゴラの脱退例はあったが、主要原油産出国の離脱はOPEC創設以来の初の出来事。

今回の離脱に関して、日本にとってはホルムズ海峡に依存しない輸入ルートの確保は朗報と言えるかもしれないが、調整が効かなくなったことは、ノンカルテル時代に突入したという事である。

今回の出来事に関して、UAEの判断として分析できるのは、米国寄りでありながら資源を糧に独立の主張を通すことで自国の主張を強めたいのではないかと考えられる。
また、今回の戦争に関してUAEは周辺国の域を出ないのにも関わらず、その損害は大きい。UAEとしても地政学的なリスクから独立を余儀なくされたことも考えられる。

そしてこの機に、イスラエルと米国はUAEに対して軍事支援を行っている。

イスラエルは、ドローン検知システムやミサイル防空システムなどの技術支援に加えて、イスラエル軍の派遣など人的支援も行っている。

また米国はイスラエルとの共同軍事支援を発表しUAEを中心とした中東諸国に対して86億ドルの武器売却を行っている。

ここまで米国とイスラエルは金銭的な側面や地政学的なリスクを負ってまで軍事支援を行っているのである。

一方、今回の話で出てくるのは米国がイランに対して復興金の3,000億ドルの支援を否定したことである。

基本的に復興国に金銭的な支援を行う事は先進国にとってデメリットは少ない。例えば、復興の際に必要となるインフラ技術は先進国の企業の利益に繋がり、その後の国交や資源国であれば優先的な輸入も視野に入る。

要は復興というのはお金を循環させるシステムである。

かつての江戸時代がそうであったように、江戸の社会は常に循環してできていた。燃えて家屋が無くなれば家を建てていたように、明日は我が身の状況で宵超しの銭は持たないという言葉ができるほどの世界である。

そんなイランへの支援を否定した米国は思惑に何があるのか。

まず考えられるのはイスラエルとの国交とイランへの支援が米国の覇権、まさに筋を通すことに大きく関係してくるからだと考えられる。

オバマ大統領時代にイスラエルとの協定によって年間38億ドルの支援を行っている。これはトランプ政権でも引き継がれている。さらにはイラン戦争で追加の支援策を行っているので今回のイランへの復興金は必要経費と言っても過言ではない。

しかし、米国がイランへの支援を表明してしまえばイスラエルとの国交や米国の態度を疑問視する声は国内外問わず発生してくるはずである。ここは経済的な優位性ではなく筋を通す世界のアメリカを演じたい気持ちがあるように見える。

また、今回のトランプ氏の表明はあくまでも米国としての支援であって他国や米国内の企業による復興支援は制限される情報は出ていない。そうなれば海外勢はチャンスであり、米国としても二次利益が得られる可能性は高い。

自分たちの国の筋は曲げずに経済的な利益を得ようとするのは案外難しくなさろうである。

イランの姿勢

一方のイランの態度はどうであろうか。

こっちは反対に裏切られたと判断する。米国はイランに対して停戦を要求し、その上での復興金の支払いやホルムズ海峡の封鎖停止を述べているのである。

であるからして、イランとしてはトランプ氏の意見は到底飲み込めるものであはない。

また、米国は復興金を出していないという事実が残ってしまえば、今回のイラン戦争の敗者はイランであり、米国は覇権国として勝国として終わってしまう。

ここは何としてでも耐え抜き、米国が復興金を含めて意見を述べてほしいと望むはずである。

そしてイランにはカードはまだある。ホルムズ海峡の封鎖は世界経済に大きな打撃を与えていることに加え、この話題が長期化すれば瞬く間に市場でのオイル取引は上昇傾向に動く。

長期化を避けたい米国と米国に物を言うイランの議題は一定の解決策を提示しようとも泥沼化は避けられない。


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