貧乏キャバ嬢から原状回復工事代を身体で払わせてって言われた話
新卒2年目の頃、いわゆるブラックな不動産会社で働いていた。よくある“儲かれば何でもアリ”系の会社で、グレーな物件の売買や管理もしていた。
大手のように売買と管理の部署が分かれているわけでもない。私は法人向けの売買営業に精を出しながら、新宿区の賃貸タワマンの管理もしていた。繁華街駅近のタワーマンションには夜の仕事をしている人がよく住んでいる。夜職専門の不動産賃貸屋もある。
私が担当していたマンションもまさにホスト、キャバ嬢御用達だった。はっきり言ってトラブルも多い。酔っぱらいの喧嘩、廊下がゲロまみれ、夜逃げ、滞納、いつの間にか違法メンズエステになっていた。そんなのは日常茶飯事だった。
とある部屋から退去の申し込みがあった。30歳のキャバ嬢。
退去日には立ち会いをする。きちんと引っ越しが済んでいるか、原状回復工事の負担割合をどうするか。そんなことを決めるためだ。
すっぴんのくたびれた女性が出てきた。キャバ嬢とはとても思えない……と言いたいところだが、ほかの部屋のキャバ嬢に何人も対応してきたので、プライベートのキャバ嬢の平均中の平均であることは知っている。
はっきり言って、部屋は大荒れだった。喫煙の跡や、明らかに日常清掃をしていないであろう酷い有様だった。
テナント負担の原状回復工事は40万円。こういうとき不動産会社は悪者にされがちだが、ここまでめちゃくちゃにされた部屋を元に戻すのだから40万円くらいはかかるのだ。
「あのさ、どれくらいかかる?」
意外にも、汚したらお金を払わなきゃいけないという感覚はあるみたいだ。
正直に伝える。
「あー、そっかー……」
気まずい。気まずいけど、こういうときにあえて何も言わないのが、気まずい仕事をするときに大事なのだ。
「あのー、さ、やらしてあげてるから、まけてよ」
え?
え?
マジか、こんなことあるんだ。
ここで弱みを握られたら何されるかわからない。会社にチクられるならマシ、ヤクザとかが出てくるかも……とか思いながらも、本能的に全身を舐め回すように見てしまった。
「フフ、考えちゃった?笑」
あ、いや、さすがにそれは……。
「マジなんだけどなー」
いや、すみませんすみません……。 童貞マインド全開で逃げ帰ったあと、上司に全力で報告。大盛り上がりの大爆笑(不動産屋のノリって嫌ですよね)。
結局そのあと、そのキャバ嬢は音信不通になり取りっぱぐれました。生きてるのかどうかもわかりません。
なんのオチもない、リアルな話です。
