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【基礎医学勉強法シリーズ】第4回神経解剖①|脳神経12本を完全制覇する語呂・図解・臨床セット学習法【リーフェ医学情報】


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内容の要約


脳神経12対は名称・機能・通過する孔・臨床症状という4つの軸を同時に覚える必要があり、医学部1・2年生にとって最大の難関のひとつです。
本記事では、定番の語呂合わせから「機能分類」「孔のチャンク化」「臨床所見との紐付け」まで、暗記を論理化する5つの技術を解説します。


「嗅いで視る、動く車の、三つの外、顔聴く咽の、迷う副舌……」

医学部・医療系学生なら、一度はこの呪文めいたフレーズを耳にしたことがあるでしょう。
12対の脳神経を覚えるのは、脳の解剖生理学の基本であり、これを覚えないと疾患に繋がっていかないため、まず最初に暗記すべき項目です。
しかし——名前を順番に唱えられるようになっても、それで終わりではありません。


脳神経の学習では、
①名称と番号
②機能(感覚・運動・副交感)
③通過する頭蓋底の孔
④障害時の臨床症状
という4軸を同時に押さえる必要があります。
これを個別に丸暗記しようとすれば、情報量は軽く100項目を超え、多くの学生が「覚えても覚えても忘れる」状態に陥ります。


しかし、脳神経12対は論理的に整理できる構造を持っています。
番号・解剖学的位置・機能分類・通過孔には明確なパターンがあり、それを理解した瞬間、脳神経は「暗記の地獄」から「整理されたデータベース」に変わります。

この記事では、脳神経12本を最短で制覇するための「語呂・チャンク化・臨床セット」という3軸の学習法を、医学部1・2年生に向けて徹底解説します。
CBT・国試で頻出のテーマでもあるため、1・2年生のうちに完成させておくと、その後の臨床科目の理解スピードが格段に変わります。


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ブログの要点(3点)

  • 脳神経12対は「番号と名称の語呂」「機能分類の語呂」「通過孔のチャンク化」の3層構造で覚えると、丸暗記より圧倒的に効率的に定着する

  • 三叉神経・顔面神経・迷走神経の3つは「混合神経」として国試・CBT頻出のため特に重点的に押さえる必要がある

  • 脳神経麻痺の臨床症状(複視・顔面神経麻痺・嚥下障害など)と解剖をセットで覚えることで、4年生以降の臨床科目で圧倒的なアドバンテージになる


著者:原田
所属:株式会社リーフェホールディングス 経営企画室 部長
資格・経歴:
法学部卒|政治学研究科 修士・博士|政治学者、政治学教員、学生指導歴20年以上 
医学生に特化した個別指導塾「医学生道場」のファウンダー

自己紹介:
幼少期より病気がちで、こんにち無事に生活できているのは、医療とそれに関わる人たちのお陰です。将来の医療者として、社会に貢献できる医療系学生の方を積極的にサポートしていきます。


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はじめに:なぜ脳神経は「暗記地獄」になりやすいのか


医学部1・2年生が解剖学のなかで「最も挫折しやすい領域」のひとつが脳神経です。その理由には、構造的な背景があります。


理由①:情報の軸が多すぎる
脳神経1本ごとに、覚えるべき項目は最低でも以下の4つあります。

  • 名称と番号(例:第Ⅴ脳神経=三叉神経)

  • 機能の分類(感覚/運動/副交感/混合)

  • 通過する頭蓋底の孔(例:上眼窩裂・正円孔・卵円孔)

  • 障害時の臨床症状(例:複視・顔面神経麻痺・嗄声させい

12本すべてに4項目あれば、単純計算で48項目。
さらに細かい筋肉支配や感覚分布まで含めると、軽く100項目を超えます。


理由②:機能がバラバラで例外が多い
脊髄から出入りする脊髄神経が、前根からの運動神経と自律神経、後根からの感覚神経をすべて含むのに対し、脳から出入りする脳神経は、神経によって感覚神経だけのものがあったり、運動神経だけだったり、混合しているものもある——この「機能の不均一性」が脳神経の理解を難しくしています。


理由③:解剖学的に立体的すぎる
脳神経は脳の各部位から発し、頭蓋底のさまざまな孔を経て、顔面・頸部・胸腹部にまで分布します。
2次元の教科書だけでは、立体的な走行を把握しにくい。


これらの困難を解決するのが、本記事で紹介する「語呂・チャンク化・臨床セット」の3軸学習法です。


第1章:定番の語呂合わせで「番号と名称」を完全制覇する


脳神経学習の第一歩は、12本の名称と番号を順番にそらで言えるようにすることです。
これができないと、その先の機能・孔・症状の学習が始まりません。


最も有名な語呂合わせ

医療系学生のあいだで最も広く使われている語呂合わせは、以下のものです。

「嗅いで視る 動く車の 三つの外 顔聴く咽の 迷う副舌」

これは「嗅いで視る 動く車の 三つの外 顔聴く咽の 迷う副舌」という57577の語呂で、まずは名前をしっかり覚えるという形で広く紹介されている定番です。


各語句と脳神経の対応は以下の通りです。

各語句と脳神経の名称
各語句と脳神経の名称


リズミカルな短歌形式になっているため、一度覚えれば一生忘れません。

脳神経をゴロで覚える時には、ほとんどの医療系学生がこの語呂合わせを使っていると言ってもいいくらい有名なゴロであり、これを覚えていない医療従事者を探す方が難しいレベルの定番です。


別パターンの語呂合わせ

人によって覚えやすさは異なるため、複数のバリエーションも紹介します。


「きゅうしどうかっしゃ、さんがいがんない、ぜつめいふくした」という、第Ⅰ脳神経から頭文字をとって並べた語呂合わせもあります。

これは「呪文」のような語感ですが、頭文字だけで構成されているため、シンプルさを好む人には合うかもしれません。


「のっけから嗅いで視る眼科さん外面なぜ迷彩服にした」という看護師国家試験向け書籍で紹介されている語呂も覚えやすいバリエーションのひとつです。


自分に合う語呂を1つだけ選んで、それを徹底的に体に染み込ませる
——これが最も重要です。
複数の語呂を中途半端に使うより、1つを完璧に定着させる方が圧倒的に効率的です。


第2章:機能分類の語呂で「感覚・運動・副交感」を整理する


名称と番号を覚えたら、次は機能分類です。
これは脳神経学習において、名称の暗記と同じくらい重要な要素です。


機能分類の基本構造

12対の脳神経は、機能によって以下の4タイプに分類されます。

  • 感覚神経のみ:Ⅰ嗅神経・Ⅱ視神経・Ⅷ内耳神経

  • 運動神経のみ:Ⅲ動眼神経・Ⅳ滑車神経・Ⅵ外転神経・Ⅺ副神経・Ⅻ舌下神経

  • 混合神経(感覚+運動 ± 副交感):Ⅴ三叉神経・Ⅶ顔面神経・Ⅸ舌咽神経・Ⅹ迷走神経

  • 副交感神経を含むもの:Ⅲ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ


機能分類を一発で覚える定番語呂

機能分類の語呂で最も有名なのが、



「さあさあ名古屋の御藤さん、とうとうゴーゴーゴー、ゴミにうんちふく」


という変換語呂です。これは番号順に「感覚(知覚)/運動/副交感(混合)」を一気に表現する仕組みです。

脳神経12対の機能分類と「さあさあ名古屋」語呂合わせ対応図
脳神経12対の機能分類と「さあさあ名古屋」語呂合わせ対応図

数字を分解すると:

  • さん(3)さん(3)な(7)ご(5)や(8)のご(5)とう(10)さん(3)とう(10)とう(10)ご(5)ご(5)ご(5)

最後の「ゴミにうんちふく」で:

  • =5(感覚)の数値、=3(知覚)、=2(副交感)、うん=運動、=知覚、ふく=副交感

少し複雑ですが、これを覚えると
視神経=3(知覚)、
滑車神経=5(運動)、
三叉神経=8(運動・知覚)、
迷走神経=10(運動・知覚・副交感)、
舌下神経=5(運動)
といった、機能の組み合わせまで一気に思い出せます。


副交感神経を含む脳神経の覚え方

特に試験で頻出なのが「副交感神経を持つ脳神経」です。これは4つあります。

Ⅲ動眼神経・Ⅶ顔面神経・Ⅸ舌咽神経・Ⅹ迷走神経

定番の語呂は「みなとく休もう」で、み→3、な→7、と→10、く→9、「休もう」で副交感神経が連想されるというものです。


注意点として「みなとく」の「み」を三叉神経と覚えてしまう人がいますが、これは動眼神経(第Ⅲ脳神経)であることを間違えないように気をつけてください。


第3章:頭蓋底の孔を「チャンク化」で攻略する


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脳神経学習の中盤で最も重要な技術が、通過する頭蓋底の孔の整理です。
これは個別に暗記するのではなく、「グループ単位(チャンク)」で覚えるのが鉄則です。


チャンク化で覚える頭蓋底の孔

上眼窩裂にはⅢ・Ⅳ・V1・Ⅵ、内耳孔にはⅦ・Ⅷ、頚静脈孔にはⅨ・Ⅹ・Ⅺが通っています。
番号でくくると、覚えるのに必要な数が減ります。
電話番号もそうですよね。
かたまりにして覚える、これを記憶法でチャンク化という——この発想が脳神経学習の最大のブレイクスルーになります。


孔と通過する脳神経の対応表

孔と通過する脳神経の対応表

「視神経管と舌下神経管は覚えるまでもありません。あたりまえ。上眼窩裂サンシーゴノイチロク、内耳孔ナナハチ、頸静脈孔キュージュージュウイチ。正に上顎、下顎にタマゴ」

——この一連のフレーズを唱えられるようになれば、頭蓋底の孔の問題はほぼ全制覇です。

視神経管・舌下神経管はあたりまえ
視神経管:視神経(第Ⅱ脳神経)が通る。
舌下神経管:舌下神経(第Ⅻ脳神経)が通る。
名称そのままなので覚える必要がない、という意味です。

上眼窩裂(じょうがんかれつ)サンシーゴノイチロク
サン・シー・ゴのイチ・ロク = 第(動眼)、第(滑車)、第Ⅴ₁(眼神経)、第(外転)神経が通る。

内耳孔(ないじこう)ナナハチ
ナナ・ハチ = 第(顔面)、第(内耳)神経が通る。

頸静脈孔(けいじょうみゃくこう)キュージュージュウイチ
キュウ・ジュウ・ジュウイチ = 第(舌咽)、第(迷走)、第(副)神経が通る。

正に上顎(せいにじょうがく)、下顎にタマゴ(かがくにたまご)
(正円孔)= 上顎神経(第Ⅴ₂)が通る。
タマゴ(卵円孔)= 下顎神経(第Ⅴ₃)が通る。


三叉神経の3枝を特別扱いする理由

三叉神経(第Ⅴ脳神経)は、3つの枝に分かれて別々の孔を通るという特殊な構造を持っています。これがCBT・国試で頻出の理由です。

  • Ⅴ₁眼神経:上眼窩裂を通過

  • Ⅴ₂上顎神経:正円孔を通過

  • Ⅴ₃下顎神経:卵円孔を通過

「正円孔:正にV2、卵円孔:卵はゴミ(V3)」という語呂で覚えると、三叉神経3枝と孔の対応がすっきり頭に入ります。


第4章:12本の脳神経を「機能・支配・臨床」セットで攻略する


各論として、12本それぞれの最重要ポイントを「機能・支配・臨床症状」のセットで整理します。


Ⅰ 嗅神経(感覚)

  • 機能:嗅覚

  • 通過孔:篩骨篩板しこつしばん

  • 臨床:嗅覚障害(前頭蓋底骨折・頭部外傷で損傷されやすい)

Ⅱ 視神経(感覚)

  • 機能:視覚

  • 通過孔:視神経管

  • 臨床:視野障害・視力低下(視神経炎・緑内障など)

Ⅲ 動眼神経(運動+副交感)

  • 機能:眼瞼挙上・眼球運動(上・下・内転)・瞳孔収縮・調節

  • 通過孔:上眼窩裂

  • 臨床:動眼神経が障害されると片眼だけ動かせなくなり、ものが二重に見える(複視)などの症状が現れる。また瞳孔の大きさを調節する役割を担っているのも非常に重要で、対光反射の異常や瞳孔不同が見られる。動眼神経障害は脳ヘルニアなどの非常に重篤な命に関わる病態の予兆として知られている

Ⅳ 滑車神経(運動)

  • 機能:眼球の内下方運動(上斜筋を支配)

  • 通過孔:上眼窩裂

  • 臨床:内下方を見るときの複視(階段を降りるときに困る)

Ⅴ 三叉神経(混合)

  • 機能:顔面の感覚(V1・V2・V3の3枝)・咀嚼筋の運動

  • 通過孔:V1上眼窩裂/V2正円孔/V3卵円孔

  • 臨床:三叉神経痛・顔面感覚障害

Ⅵ 外転神経(運動)

  • 機能:眼球外転(外側直筋を支配)

  • 通過孔:上眼窩裂

  • 臨床:外転障害による内斜視・複視

Ⅶ 顔面神経(混合+副交感)

  • 機能:表情筋の運動・舌前2/3の味覚・涙腺と舌下腺・顎下腺の分泌

  • 通過孔:内耳孔→茎乳突孔

  • 臨床:顔面神経麻痺(Bell麻痺)・味覚障害

覚えておくべきこととしては、顔面の感覚は三叉神経、顔面の筋肉(表情筋)は顔面神経の支配であること、味覚は舌の前2/3だけを顔面神経が支配しているということ。これは試験で頻出のひっかけポイントです。

Ⅷ 内耳神経(感覚)

  • 機能:聴覚(蝸牛神経)・平衡感覚(前庭神経)

  • 通過孔:内耳孔

  • 臨床:難聴・めまい・眼振

Ⅸ 舌咽神経(混合+副交感)

  • 機能:舌後1/3の味覚・咽頭の感覚と運動・耳下腺の分泌

  • 通過孔:頚静脈孔

  • 臨床:嚥下障害・舌咽神経痛

Ⅹ 迷走神経(混合+副交感)

  • 機能:咽頭・喉頭の運動、内臓の副交感支配(心臓・肺・消化管)

  • 通過孔:頚静脈孔

  • 臨床:嗄声・嚥下障害・徐脈

迷走神経は、唯一腹部まで届く脳神経で、名前の通り、複雑に体中を迷走する神経。内臓の蠕動運動や、心拍数の調整、発汗の調節など機能も幅広くある——これが迷走神経の最大の特徴です。

Ⅺ 副神経(運動)

  • 機能:胸鎖乳突筋・僧帽筋の運動

  • 通過孔:頚静脈孔

  • 臨床:肩の挙上障害・頭部の回旋障害

Ⅻ 舌下神経(運動)

  • 機能:舌の運動(舌筋群を支配)

  • 通過孔:舌下神経管

  • 臨床:舌の偏位(麻痺側に偏位する)


第5章:脳神経の学習を「臨床」に接続する技術


脳神経の解剖学的知識は、臨床医学のあらゆる場面で必須となります。
1・2年生のうちから臨床的意義をセットで覚えることが、長期記憶への定着とCBT・国試対策の両方に直結します。


臨床所見から脳神経を逆引きする練習

国試・CBTでは、症状から障害される脳神経を選ぶ問題が頻出です。代表的なパターンを以下に整理します。

臨床症状と障害される脳神経の一覧
臨床症状と障害される脳神経の一覧

これらを「症状→脳神経」と「脳神経→症状」の双方向で想起できる状態を目指すと、臨床問題への対応力が飛躍的に高まります。


身体診察と脳神経の対応

脳神経の知識は、医師の基本技能である身体診察にも直結します。
脳神経診察は神経内科・救急医学では必須スキルであり、1・2年生のうちから「どの脳神経をどう診察するか」を意識して学んでおくと、臨床実習の理解が大幅に楽になります。


  • 視野検査 → Ⅱ視神経

  • 対光反射 → Ⅱ視神経(求心路)+Ⅲ動眼神経(遠心路)

  • 眼球運動 → Ⅲ・Ⅳ・Ⅵ

  • 角膜反射 → Ⅴ(求心路)+Ⅶ(遠心路)

  • 顔面の運動と感覚 → Ⅶ(運動)/Ⅴ(感覚)

  • 聴力検査 → Ⅷ

  • 咽頭反射 → Ⅸ(求心路)+Ⅹ(遠心路)

  • 舌の運動 → Ⅻ


結論 & むすびに代えて


脳神経12対は、医学部1・2年生が必ず通る関門であり、同時に「臨床医学の最重要な土台」です。本記事で紹介した3軸の学習法——「語呂で名称を固定」「機能分類で整理」「孔のチャンク化と臨床セットで深化」——を実践することで、脳神経の学習は丸暗記の苦行から、論理に裏付けられた体系的な知識へと変わります。


改めて要点を整理します。

  1. 語呂は1つだけ徹底的に:「嗅いで視る動く車の三つの外、顔聴く咽の迷う副舌」を完全に体に染み込ませる

  2. 機能分類を別軸で覚える:「みなとく休もう」で副交感を含む脳神経(Ⅲ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)を即答できるようにする

  3. 頭蓋底の孔はチャンクで:「上眼窩裂3・4・5の1・6、内耳孔7・8、頚静脈孔9・10・11、正に上顎・下顎にタマゴ」

  4. 三叉神経3枝は特別扱い:CBT・国試頻出のため、V1・V2・V3と孔の対応を完璧に

  5. 臨床症状とセットで覚える:「症状→脳神経」「脳神経→症状」の双方向想起ができる状態を目指す


そして最も重要なのは、この知識は試験のためだけのものではないということです。
脳神経の知識は、神経内科・脳神経外科・救急医学・耳鼻咽喉科・眼科——医師として臨床に出てから日常的に使い続ける、まさに「生涯ものの知識」です。

1年生の今、机に向かって覚えている脳神経の名前一つひとつが、将来あなたが救急外来で診察する患者さんの脳幹で実際に走行しています。
動眼神経麻痺は脳ヘルニアの予兆になり得る——この事実を意識するだけで、学習の質は大きく変わります。


次回(第5回)は「神経解剖②——脊髄・末梢神経の走行を『地図』として覚える方法」として、脳神経で養った神経学的思考を、脊髄・末梢神経の領域へと拡張していきます。


シリーズを通して読み進めることで、神経系全体が「論理でつながった一つの体系」として見えてくるはずです。


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FAQ(よくある質問)

Q1. 脳神経の語呂合わせはいくつもありますが、どれを選べばいいですか?

A. 結論から言うと、「自分が一度聞いて口に出しやすいもの」を1つだけ選んで徹底的に固定するのが正解です。
複数の語呂を並行して使うと、本番でどれだったか思い出せなくなるリスクがあります。

最も汎用性が高く、医療系学生のあいだで広く共有されているのは「嗅いで視る動く車の三つの外、顔聴く咽の迷う副舌」です。
この語呂は57577の短歌形式になっているため、リズムで覚えやすく、一度定着すれば一生忘れません。覚えにくい場合は、「のっけから嗅いで視る眼科さん外面なぜ迷彩服にした」など他のバリエーションを試して、自分に合うものを選んでください。
重要なのは「1つに絞ること」と「毎日声に出して唱える期間を最低1週間設けること」です。


Q2. 三叉神経の3枝(V1・V2・V3)と通過孔の対応がどうしても覚えられません。コツはありますか?

A. 三叉神経3枝はCBT・国試で頻出のため、必ず完璧にしておく必要があります。
覚え方のコツは2つあります。
「上から下に並んでいる」と理解する:眼神経(V1)が一番上で上眼窩裂、上顎神経(V2)が中央で正円孔、下顎神経(V3)が一番下で卵円孔——という上下関係と通過孔の位置がほぼ一致しています。
顔の上から下に降りるイメージで「眼→上顎→下顎」と覚えると、孔も自然と頭に入ります。

語呂を活用する:「正に上顎、下顎にタマゴ(卵円孔)」というフレーズで、正円孔=上顎神経、卵円孔=下顎神経のペアを即答できるようにします。
V1(眼神経)は上眼窩裂を通る他の脳神経(Ⅲ・Ⅳ・Ⅵ)と一緒に「3・4・5の1・6」のチャンクで覚えると、三叉神経3枝の整理が完了します。


Q3. 顔面神経と三叉神経の機能の違いがよく混乱します。どう整理すればいいですか?

A. これは医学生・看護学生・歯学生に共通する非常によくある混乱です。

整理のキーワードは「顔面の何を支配するか」です。具体的には以下の通り:三叉神経(Ⅴ)は「顔面の感覚」を担当します。額・頬・顎の皮膚感覚は三叉神経3枝(V1・V2・V3)が分担しています。顔面神経(Ⅶ)は「顔面の筋肉(表情筋)」を担当します。目を閉じる・口角を上げるなどの表情を作る筋肉の運動は顔面神経です。さらに味覚は「舌前2/3が顔面神経、舌後1/3が舌咽神経」という分担になっています。

「顔面神経=顔の表情と前の味、舌咽神経=後ろの味」と整理して覚えるとスッキリします。
臨床的には、Bell麻痺(顔面神経麻痺)では「表情が作れない・味覚障害(前2/3)」が出現し、三叉神経痛では「顔の感覚異常・電撃様の痛み」が出るという違いが、症状から逆引きできるようになります。


参考文献・出典リスト

  1. 坂井建雄・河原克雅(編)『カラー図解 人体の正常構造と機能』日本医事新報社

  2. 坂井建雄・松村讓兒(監訳)『プロメテウス解剖学アトラス 頭部/神経解剖』医学書院

  3. Frank H. Netter『ネッター解剖学アトラス』南江堂

  4. Drake RL, Vogl AW, Mitchell AWM『グレイ解剖学』エルゼビア・ジャパン

  5. Moore KL『ムーア臨床解剖学』メディカルサイエンスインターナショナル

  6. 水野 昇『神経解剖学』医学書院

  7. 医師国家試験予備校MEDICINE「脳神経12対の覚え方 語呂合わせも含めて解説」https://m-e-dicine.com/cranial-nerve/

  8. MediE「【医学生向け】解剖学に必要な脳神経の覚え方は? ゴロ合わせも紹介」https://medie.site/

  9. セラピストプラス「脳神経の覚え方!テストで役立つ語呂合わせとそれぞれの作用について」https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/useful/13298/

  10. 黒澤一弘「内頭蓋底の孔と通過する神経・血管 効率良い記憶法」note解剖生理学マガジン

  11. 厚生労働省「医師国家試験出題基準」(最新版)

  12. 共用試験実施評価機構「CBT出題基準」


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  • 【基礎医学勉強法シリーズ】第3回:筋学|起始・停止・作用・支配神経を4点セットで定着させる技術


学習ツール・参考サイト

  • Anki(フラッシュカードアプリ):脳神経の名称・機能・孔・症状を分散学習で長期記憶化するのに最適

  • Complete Anatomy / Visible Body:3D解剖アプリ。脳神経の立体的走行を任意の角度から観察できる

  • Radiopaedia:頭蓋底の孔・脳神経走行のCT/MRI画像が豊富。画像解剖の参照に有用

  • 医師国家試験予備校MEDICINE:脳神経関連の国試過去問解説あり

神経診察に役立つ書籍

  • 『ベッドサイドの神経の診かた』南山堂:脳神経診察の標準的テキスト

  • 『神経内科ハンドブック』医学書院:脳神経障害の鑑別診断に有用

  • 『プロメテウス解剖学アトラス 頭部/神経解剖』医学書院:脳神経の立体的把握に最適

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